海がよく見える宿なのだが、昨晩に外を見ていると灯りがぽつぽつ。
あれ? あっちが香住の市街地だっけ? と思ったのだが、起きたらそこは海で、
これはイカ釣り漁船の漁火である。この時期の香住の漁業である。
さて、今日は雨である。旅行中に雨があること自体は織り込み済みだが、
やはり雨が降ってない方がバイクで走るにも散策するにもよいのは言うまでもない。
というので作戦を考えたのだが、朝食前に少し出かけることにした。
なぜ朝食前かというと、この宿、朝食が8時台にしか出ないのである。
到着してから驚いたんだけど、それはそういうものらしい。
雨が降るのは8時以降とみたので、そこまでに出かけようというわけである。
そんなわけでバイクを走らせてやってきたのが下浜地区である。
海岸線に沿って走ると「下浜の動物の足跡化石」という看板がある。
潮の満ち引きなどによっては直接観察もできるようだが、それは見送り。
さらに先に進むと但馬松島ということで、削り残された島が日本三景の松島のようだと。
確かに松島のミニチュアを見ているような感じである。
日本海というのは元々陸続きだったところが海になったもので、
その形成の過程をあらわす痕跡として流痕化石というのがあった。
といっても一見すると洗濯板を逆向けたような岩で、何が流痕? とも思う。
川は流れに沿って削られて溝ができる。その溝の上に硬い岩が形成されると、
川の流れで削られた痕が反転した岩ができる。これが流痕化石である。
この先、地図を見ると「鎧の袖」などの見所があるのだが、
陸上からアプローチできないので海上からしか観察できない。
「かすみGEO TAXI」というチャーター船もあるらしいね。
とはいえ、まぁそれなりに面白いものは見たし、と宿に戻って朝食。
この間、バッテリー外して充電している。ここらで雨が降り出してきた。
雨が小康状態になったときを狙いたいがそううまくもいかない。
カッパを着込んで出発するもそれなりに強い雨である。
出直して向かった先は「ジオパークと海の文化館」である。
無料だが記帳するようにと書かれている。客は自分1人で記帳してたのも自分だけ。
香美町内のジオサイトの解説、海の生物の剥製、郷土資料とけっこう多彩である。
ここには動物の足跡化石の複製も展示されている。
このような動かしにくい化石は複製が有用で、観察するにも便利である。
いろいろな生き物の化石があり、鳥の足跡なんてのも化石になっている。
日本海が形成される過程で足跡が残って、それが後に化石になったらしい。
香美町という点では山のジオサイトもいろいろ紹介されていた。
地滑り地の克服のために棚田にしているとかそんな紹介もある。
海底から山までの模型があったけど、海底には当然カニの模型が置いてあるのだが、
この模型を見て思ったけど、地上に出ている島に洞穴が開くなら、海中にも穴があって、そこが魚などのすみかになるんですよね。
郷土資料という点ではまず北前船の話がある。柴山港を拠点としていた宮下家の話。
柴山は入口に島があり波の影響を受けにくいというので好都合だったという。
年2往復の航海をしており、北陸の年1往復の航海より高効率だったなんて書かれていた。
一方で今の香美町にとってみれば中心的な港は香住漁港である。
これは昭和4年に近代的な漁港として整備されたことによる。これで一気に但馬最大の漁港になっている。
その香住漁港といえば何と言ってもカニである。漁具もいろいろ展示されていたが、
松葉カニを捕る底引き網漁と、香住カニ(ベニズワイガニ)を捕るカニカゴ漁の2つがかなりの割合を占めている。
剥製の展示でも香住の魚に限らずいろいろ展示してるが、カニは重点的に並べられていて、ベニズワイガニの赤さに驚いていた。
とはいえカニは時期が決まっていて、今はちょうどどちらのカニ漁もしない時期である。
カニの時期は賑わうであろう店も、平日というのもあってか、ほぼ閉まっている。
ここだけみると廃墟のようである。世間的にも香住=カニのイメージだろうしなぁ。
カニの時期に大挙来てくれるだけありがたいと見るべきかもしれないけど。
そんなことを思いながら香住の海岸を見ていたのだった。
そんなこんなで宿に戻って、いろいろ乾かしたりしていた。
夕方には雨もやんで、景色の良さを楽しんでいた。
本当は今日の昼に回ろうと思ってたところを、昨日と今日の朝食前にシフトしたので、
結果的には詰められそうな感じはあるけど、元々の意図はそうではなかった。
まぁでも香住滞在は全体的にゆるい日程だったかなとは思う。
豊岡と鳥取の間を埋めるために差し込んだようなもんだし。というわけで明日は鳥取である。