三重県の県庁所在地と対岸の展示場

朝6時前に宿を出て、朝食を食べて、京都駅へ。

草津まで乗って、草津線に乗り換える。電車から降りてくる人は多い。

甲賀地方から大津・京都方面に通勤・通学する人が利用しているのだろうか。

草津線を全線走破して柘植駅に到着、ここで亀山行きの汽車に乗り換える。


このルートの利用者はけっこういるようで、乗車口に並ぶ人は多かった。

1両目の後ろドアしか使えないらしい。

なんで? と思ったけど、柘植駅はICカード用の自動改札機はあるけど、ICカード以外だと無人駅扱いになってるらしい。(後で車内の掲示を見て気付いた)

逆に伊賀上野駅は有人駅扱いだけど、ICカードは車載器を使うらしい。複雑である。

そうそう、ICOCAは車載器対応なんですよ。柘植~亀山の途中駅で使う人は見なかったけど。

関西本線の加茂~亀山は輸送密度は1000人/日程度で鉄道としての採算性は厳しい路線である。

ただ、利用者数は軽視するほど少なくないし、周辺路線との乗り継ぎも多い。

どうすれば持続可能なんだろうかと思いながら、吊革持って汽車に揺られていた。


亀山での待ち時間は長かったが、紀勢本線の汽車に乗り換えて津にやってきた。

とりあえず今日の最初の目的地である。近鉄ではよく通過してるが、JRでやってきたのは初めて。

近鉄側の改札口を出て、住宅地を歩いてやってきたのは三重県総合博物館、

「MieMu」の愛称が付いているようで、このロゴを見ることが多かった。

三重県の自然史・歴史について取り上げているが、どちらかというと自然と人々の暮らしに着目している印象だった。

ミエゾウという三重県で発見された化石の話から始まるような感じである。

自然史という観点では中央構造線をまたぐ地域や、大台ヶ原山や鈴鹿山脈という険しい地域が特徴的である。

このような地域での動物・植物・鉱物であったり、人々の暮らしに着目している。

海を見ても、なんと全国の海女の半数近くが志摩を中心とする三重県にいるのだという。

そのような漁村の暮らしも紹介されている。

このあたりは三重県の特色的な部分がよく現れていると言えるのでは?


歴史という点では、新名神であらためて注目された東海道をはじめとする陸の交通、

そして海の交通、その昔は木津川の舟運と白子~江戸の船を陸上輸送で乗り継ぐようなこともあったらしい。

熊野方面の鉄道が通じる前には桑名と志摩・熊野の漁村を渡り歩く船(赤須賀船)なんてのもあったとか。

あとはお伊勢参りですよね。お伊勢参りが評判を博したのは伊勢でのもてなしというのも大きかったらしい。

ただ、鉄道で日帰りでお伊勢参りができるようになってからはすっかり衰退してしまい……


津というのはこれらの話題から少し離れた土地である。

出てきて歩いていて思ったのである。津付近の話題は伊勢平野の話と伊勢木綿のことぐらいではないかと。

三重県のちょうど中心付近ではあるが、それ以上におもしろい話はないのか。

そんなことを思いながら津の中心市街地に向けて歩いて行く。

距離があるからバスに乗りたかったが、直線的に30分ほど歩くのが一番早い。

こうしてたどりついたのが津市役所とお城公園である。

津に県庁が置かれた理由でもある津城があったところである。

ただ、城跡を見てもどれだけ立派なのかはよくわからない気がした。

後で模型を見たのだが、お堀があれば見栄えすると思った。

川を堀として使うというのがこの城のポイントだったらしい。


城はあったが、これだけではとても県庁所在地クラスの都市には見えないが。

と思ったら百五銀行の高いビルが見えた。このあたりは大門といい津の伝統的な繁華街である。

おお立派と思ったが、この交差点付近だけである。

ここだけ見ても怪しくてセンターパレスというデパートのようなビルに入居しているのが津市中央公民館?

もともとはダイエーが入居していたようだが撤退、ホテルは都ホテルが経営していたが撤退、最近他の業者の運営に変わったらしい。

大門は津観音の門前として栄えたらしいが、その割には寂しいし、周辺にはボロボロの建物もしばしばある。


あとで周辺の地図と見比べていて思ったのだが、

津市役所がお城公園に隣接していたように、官庁街はここよりもう少し西である。

城跡が利用できるなどのメリットもあったのだろう。こうすると津新町駅が近い。

津駅は川を挟んで北に離れている。交通の便からホテルが多いようだが、県庁の最寄り駅でもある。

現在も国道23号線も走るように、昔から伊勢街道が通り、城にも至近の門前町ということで大門は栄えたが、

城がなくなり鉄道が通れば、その中心はだんだん駅の方向にずれていったのが実情らしい。


その大門から南に進むと津松菱という百貨店がある。

いかにもローカル百貨店だが、けっこう立派である。

(ちなみに三重県には近鉄百貨店四日市店と津松菱で2つの百貨店がある)

ただ、このような百貨店がやっていけるのは市街地の端で駐車場が確保しやすいのもあるかもしれない。

立派な機械式駐車場が目立つが平面駐車場だけでもかなり入るようである。

実はロードサイドの百貨店だったと。確かに便利かも知れない。


というわけで思った以上に見所のない津市街だったが、

ここにやってきたのは次の目的地との関係がある。

次の目的地はセントレアにあるAichi Sky Expoである。

普通は名鉄で行くのだが、特に帰りの混雑がひどそうだなとは思う。

そんなのでいろいろ考えていたのだが、津~セントレアには高速船がある。

そして津でホテルを探していたら早くチェックインできるところがあった。

こうするとチェックインして船に乗ってセントレアに行って、帰ってきたらすぐに休めると。

大門あたりは比較的港に近いので好都合だったわけである。

ただ、この方法には1つ大きな問題があるのだけど……


「なぎさまち」の看板に従って歩いて行くとセントレア行きの船乗り場がある。

このあたりはヨットで航行する人が多いようで、白い帆が目立った。

あらかじめ予約しておけばQRコードをかざすだけできっぷが出てくる。

往路で乗った船は「フェニックス」、港までの道がフェニックス通りなのが由来だろう。

高速船にはシートベルトが付いていた。どうも浮遊物を避けたりで急旋回の可能性があるかららしい。

セントレアの公共交通でのアクセスは圧倒的に名鉄という中で、

津との高速船は比較的存在感があるが、駐車場の代わりという意味もあるんだと思う。船に乗れば駐車場は無料なので。

45分の船旅は伊勢湾をひたすら真っ直ぐ行くだけ。港は島の陸側だが直線的に裏側まで航行して着岸する直前で曲がるだけだった。

折り返しの船を待つ人の列は相当長かった。外国人も多いようだった。


Aichi Sky Expoは港のすぐ近くだった。港湾区域に隣接しているらしい。

この港は常滑港の一部だが、高速船以外でこの港を使うのが飛行機の主翼などの部品である。

セントレアはボーイングの工場に輸送するために大型輸送機がやってくるが、

そこに積み込む荷物は海上輸送されている。海上空港の多い日本だが、本格的にSea&Air輸送をやっているのはセントレアぐらいらしい。

その点ではセントレアの特色とも言える港だが、その横に展示場があるのもユニークである。

シンプルな構造だと思ったが、それがいいんだと思う。

今回はホールA、無柱の大型展示ホールをコンサート用途で使うものである。

THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS Shout out Live!!!」である。


シンデレラガールズはちょうど1年前にも名古屋でやっている。

土管の街から名古屋市内を右往左往

この会場自体、2021年にも使っているし、その前にさかのぼれば2018年・2019年とナゴヤドームを使ってたり、愛知県とはなにかと縁がある。

それまでは全然無かったんですけどね。

2020年2月の大阪ドームでの7thLIVE TOUR Special 3chord♪ Glowing Rock!を思い起こさせる内容だった。

バンド構成と、シンデレラガールズでは珍しいシンプルなステージ構成がまさにそうだった。

よく考えて見ると出演者に似てた気がする。

出演者といえば、女性の来場者が目立つ印象だったが、刺さる人が多かったのかな。

隣の人が大盛り上がりだったが、なるほどなぁと思った。熱心なファンが多い。


さて、津から船でのAichi Sky Expo参戦だが、問題は終演後である。

確かに船は必ず座れる。というか座らないといけない。

ただ、船の本数は限られる。22時発の最終便しか選択肢がない。

結局は終演後だとまる1時間以上待たされる形だった。

その間に夕食でも食べようという考えもあるかも知れないが、空港のレストランはこの時間にはもう閉まっている。

空港の施設が使える展示場だが、セントレアで夜遅くては無力である。

そこで津で船に乗り込む前に夕食を買い込んでいたのだ。これを空港内で食べていた。どうかと思うが仕方ない。

それで高速船乗り場にいけば、そこから50分待ちぐらい。のんびり待ってたけど。

船は座れてスムーズというのは必ずしも間違いではないが、ここが難しい。

ほとんどは飛行機降りた人のようだったけど、わずかにライブ帰りもいたかな。


明日は帰り道だが、愛知県内で寄り道していく。

「でらます」という観光キャンペーンをやっているが、全く関係ない。