海の起源と深海生物に触れる

大門は津駅からも津新町駅からも遠い。

駅までは素直にバスに乗りましょうと、国道23号線を走るバスに乗車。

すぐに津駅に到着して改札を通る。

JR管理の改札だが近鉄に乗る人があまりに多いからか「近鉄改札」の表示の方が目立つ。

でも、今日乗るのはJRの「快速みえ」だよ。


快速みえ の汽車はかつて名古屋~奈良で運行されていた急行「かすが」でも使われていた。

通勤列車というには少し上質な印象はある。快速みえ も1両は指定席だしね。

ただ、製造から30年ほど経過しているようで、くたびれた印象もある。

ところで快速みえをJRの列車だと言ったが、津から四日市の手前の河原田までは伊勢鉄道を走る。

このため伊勢鉄道で使えないフリーきっぷの場合は車掌に言って精算するようにという案内があった。

京都~亀山~津~(伊勢鉄道)~河原田~名古屋……というきっぷはあっさり通しで買えた。


快速みえ は割引きっぷの設定・指定席の設定・絞り込まれた停車駅と、

近鉄の急行どころか特急に対抗しようという雰囲気を出しているが、

行き違いの都合か減速走行になったり、停車駅でもないのに停車したり……

四日市駅に停車したら車窓があまりに殺風景で驚いたが、

繁華街にある近鉄四日市駅とは対照的にJR四日市駅はあんまりな扱いである。

近鉄の急行がこまめに停まるのはそれだけ便利な駅が多いということなんだとか気づく。


名古屋駅で乗り換えてたどり着いたのは蒲郡である。

日曜中に帰る方がよさそうで、そうすると新幹線だとなるのだが、

新幹線だと名古屋~東京より豊橋~東京の方が料金が1ランク下がると。

それで三河で寄り道することを考えて京都の宿でいろいろ思案してたら、蒲郡というアイデアが出てきたと。

蒲郡駅を降りると、ひっそりと名鉄の改札があったが、自動改札機が全く無い。

どうも吉良吉田駅より末端の駅はICカード対応せず、この駅を挟む利用者は乗換時に対応する扱いにしているそう。今どきなかなか見ないスタイルである。


蒲郡というのは三河湾に面した都市で、それにちなんだ施設がいくつかある。

というのでまずは駅からほど近い「生命の海科学館」である。

まず岩石の展示が目立ったので「海?」という感じもするのだが、

生命・海の起源を考える入口として多く並べていたのかもしれない。

有料の展示室の最初の方でも隕石を並べていたが、

これは隕石が地球に水や有機物をもたらしたという説によるものである。

現在の生き物に関する標本を除けば、三河湾周辺のものはほとんどない。

現在の生命・海への道のりを示す方法を考えた結果なのではないか。


入口近くにペルーで採取されたクジラの化石があっていろいろ書いてある。

科学館開館時にやってきたときには不明だったが、新種であることが判明し「インカクジラ」と命名され、これがホロタイプ標本とある。

ホロタイプ標本というのは種の特徴を表す上でもっとも重要な標本で、

それが蒲郡にあるというのはすごいことだと思ったのだが、

後で確認したところ「インカクジラ」というのは Incakujira と日本語のクジラが使われている。

実はこの論文で参照されたもう1つの標本もペルーで採取された化石なのだが、こちらも日本にある。

当館のクジラ化石標本が新属新種の記載に使用されました (神奈川県立生命の星・地球博物館)

それでIncakujiraという命名になったんですね。そんなことあるんだな。


ここから少し歩くと竹島水族館がある。

小規模な水族館だが、深海の生物の展示がとても充実しているそうだ。

三河湾に面した蒲郡市は漁業が盛んで、特徴的なのが深海魚らしい。

三河湾というよりはそれより外の遠州灘の深海で漁をしているのだと思うが、

蒲郡市の西浦漁港が拠点らしく、三河湾の魚含めて多く集まるようだ。

そのような土地なので、漁師から深海の生き物が水族館に寄せられるらしい。

これは珍しいとか書いてあるけど、確かにあんまり見ない生き物がたくさんいた。

水族館の展示されている魚に「美味」という表記は見なくも無いが、

「食べました」というような表記はそうそうみるものではない。

水族館に集まるのは食べようと思わないからこそとも言える。

文献や漁師への聞き取りで不明ならば、食べてみないとわからないと。

それなりに理由はあるなと思った。謎が多いのが深海生物とも言える。


竹島というのはこの近くにある島である。

架橋されていて神社の境内になっているようだった。

ちょっと時間がなくて本格的に参拝できなかったんだけどね。

と、駆け足になったのは豊橋駅に停車するひかり号の時間に合わせて動く都合。

概ね2時間に1本と限られるが、これを拾えれば東京まで速い。

豊橋の次が新横浜なら確かに速い。


そんなこんなで常滑行きにかこつけて京都・津・蒲郡と寄り道しながらの旅だった。

京都まで回り込んだり、津~セントレアを船で往復したり、

無駄が多そうなルートだが新幹線で東京~名古屋を往復するよりはだいぶ安い。

名古屋や知多半島で回遊するといろいろ混み合ってただろうし……

実は今回のAichi Sky Expoでのライブ合わせで「でらます」というキャンペーンをやっててね。

それでこんな怪しい動きをしたのかというと、それだけが理由じゃないけど。

ただ、普通は津とか蒲郡という話にはならないよねと。