この時期は株主総会が多いため、資料を見て議決権の行使をしている。
以前は書面で議決権を行使するのに郵送するしかない会社もあったが、
もうインターネットで行使できる会社ばかりになりましたね。
その中には株主提案の議案もあったりする。
基本的には取締役会としては反対で、可決される可能性は低そうだが。
その中に社外取締役の割合についての提案をしているものがあって、
その会社の取締役の構成を見て、監査等委員を含めてもこの社外取締役の数は……という印象もあった。
そんなわけで会社の取締役についての話。
日本の会社法では公開会社は 監査役会設置会社、指名委員会等設置会社、監査等委員会設置会社 のいずれかの制度を適用しないといけない。
指名委員会等設置会社は2003年、監査等委員会設置会社は2014年から導入された制度で、
それ以前は監査役会設置会社が公開会社に適用される唯一の制度だった。
この3つの制度は会社の業務執行の監査をどうやってやるかという点に差がある。
監査役会設置会社は監査役が監査を担うことになる。
監査役は取締役会への出席を通じて法令違反・定款違反を防止しつつ、
そのような事態を発見すれば株主総会に報告するとかが求められている。
一方で他の2制度は取締役が監査の役割を担うことになる。
この考え方はアメリカの制度に学んだものと言われている。
比較的適用例の多い監査等委員会設置会社の場合、
監査等委員である取締役とそれ以外の取締役は分けて選ぶ。
監査等委員である取締役は監査等委員会を構成し、監査等委員を含めた全ての取締役で取締役会を構成する。
2003年以降に取締役が監査を行うという仕組みが導入されたことには、
監査役は取締役会で意見を述べて間接的に取締役会に関与する仕組みよりも、
監査等委員が取締役として意志決定に直接関わった方が監査の実効性があるという考えがあったからと見た。
ただ、ここには他の意図もあったという。
監査役には必ず半分以上の社外監査役を含まないといけない。
監査等委員も同じなのだが、監査等委員は取締役でもある。
どちらの制度を採用しても監査にあたる社外役員は一定数必要であって、
その中で監査等委員設置会社を選ぶと、監査に当たる社外役員は社外取締役としてカウントできる。
監査等委員設置会社を選ぶ会社の多くは社外取締役の確保に主眼を置いているようである。
社外取締役の割合について提案のあった会社はまさにそういう会社で、
社外取締役は監査等委員3人のうち2人という、最低限の構成だった。
それでも社外取締役はいると言えるのだが、数も少ないし、
後で書く理由で取締役としての役割にもやや疑問があるところである。
ただ、こういう会社も世の中にはそれなりにあるのが実情である。
僕は取締役が監査を行うという仕組みに疑問を持っているところである。
取締役というのは経営者であると理解しているところだが、
その中で監査に適した人が経営者に適しているかというと疑問があるから。
実際、取締役候補者とした理由についての記載の中で「社外取締役以外の方法で会社経営に関与したことはないが」という記載がしばしばみられる。
監査等委員である取締役の場合は特にその傾向が強い。
特に公開会社では社外取締役を一定含むことを強く推奨されているわけだが、
社外取締役の適任者ってどんな人だろうという話は確かにある。
割と多いのが他の会社の経営者で一線を引いた人で、勤務先の社外取締役は全てこのパターン。
逆に勤務先の元社長が他社の取締役を兼任するという話もあった。
経営についての知見を多く有しており、社外の目で経営を監督・助言してくれるという点ではかなり期待が持てる。
これとともに多いのが会計・法律の専門家で、特に監査等委員である取締役はこのケースが多い。
それ以外での社外取締役になるケースもそれなりにある。
監督という立場ではいいのかもしれないが、経営に関与するという点ではどうかと。
他の取締役がこの点をカバーできれば問題ないとも言えるし、
外国の例を見れば取締役には監督の役目に重きをおくべきだという話はある。
だから、経営に関与する点で疑問があっても社外取締役になれるということなんだと思う。
全般的に監査等委員の取締役としての役割には疑問を持っているところで、
とはいえ、なかなか世の中の潮流としては止めがたいところもあるのかなと。
監査役が取締役会で意見表明をして間接的に経営に関与するという方法は、
僕はそれなりにいい仕組みだと思うし、むしろ実効性は高いと思うのだが、
外国の制度との比較などで疑問が持たれるのも理解できなくはない。
株主提案のあった会社については社外取締役の数も問題だと思うが、
それが全て監査等委員ということで社外取締役の質にも疑問があったのだと思う。
なかなか社外取締役の確保には難しい面もあるのかもしれない。
(実際、社外取締役の充実は段階的に行いたいというという記載もあった)
とはいえ、ここに問題提起をした株主にも理由はあるかなと思った。
社外取締役が真に効果的であるのかというのはけっこう疑問はあるが、
しかし世の中を見てみると、社外取締役が役員の暴走を止める上で大きな役目を果たしたケースが報じられているのは確か。
取締役には大きな責任があり、社外取締役でも同じだし、監査等委員である取締役でも同じである。
この責任を意識した上で動いてくれるかというところが問題ですね。
でも、正直なところわからないですけどね。