中国大陸の話ですが。
中国、コロナ死者急増か 火葬場に列、公式発表「ゼロ」―国産ワクチン依存で重症化リスク (JIJI.COM)
中国・浙江省、1日百万人超感染 流行加速実態つかめず (47NEWS)
中国の新型コロナウイルスに関するデータが全く実態にあっておらず、
実際には大勢の感染者と死者を出しているのでは? という話である。
中国が新型コロナウイルスに対して厳しい体制を取っていたことについて、
重症化リスクが高いがワクチンの効果に疑義がある高齢者の感染拡大、医療体制が脆弱な大都市圏の外での感染拡大を心配する理由は理解できる面もある。
ということを書いている。
厳しすぎるのは確かだが、これを緩めたときの危険性はかなりあった。
ただ、長く続いた規制に「白紙デモ」など民衆の反発が顕著になり、
今月になって新型コロナウイルスに対する規制が一気に緩和された。
そしたらこの有様である。
感染爆発自体は予想通りではあるのだが、
それに対する住民・行政の覚悟の乏しさはどうにも気になるところである。
行政機関としても感染状況を把握して体制を整えるのが本来の姿かと思うが、
まず感染状況を把握するというところに消極的なのはなんとも。
さすがにこれは隠し通せる乖離ではないのだが……
急激な方針転換に医療体制が整わないのは想定通りとしても、現状の把握すら放棄するのはさすがに予想外。
中国にとって不利なのはこれまで厳しい制限をしていたことで、感染により免疫を得た人がかなり少ないことである。
ヨーロッパ諸国ではこれでかなり免疫を得ているという。
日本ではmRNAワクチンの普及率が高く、これの効果が高いのはそうだが、
献血の血液を解析した結果では、全国平均25%に感染により得られた抗体があったという。
献血時の検査用検体の残余血液を用いた新型コロナウイルスの抗体保有率実態調査 (pdf) (厚生労働省)
地域性もあって、沖縄県(47%)と大阪府(41%)が飛び抜けて高い。
ワクチンによる免疫も感染による免疫も感染を完全に防げるものではないが、
一定程度の効果はあるため、感染のペースを抑えられるとみられる。
そもそも中国国内のワクチンは不活化ワクチンですから、効果を得にくい。
その上に感染による免疫もないのだから大変なんですよね。
こういう実情を見ると、いかに日本がソフトランディングを図ってきたかがわかる。
新型コロナウイルスの現在に至るまでの課題は、必ずしも重症化するわけではないが重症化すると大変ということである。
ワクチンが普及する一方、変異を繰り返し感染性が高まる中で、このあたりの対応も移り変わってきた。
重症化リスクや症状によって階層化された体制を取っている。
現在は陽性者登録センターでかなりセルフサービス化されたが、
それでもMY HER-SYSによる健康観察やパルスオキシメーターの貸与など、重症化に備えた対応が取られている。
この冬はこの体制も回るのか怪しい気配が漂っているが、それでも一気に破綻するようなシステムではないと思う。
やはりそれなりに修羅場を乗り越えてきたものは強いということで。
確かに中国の新型コロナウイルス対策の厳しさは前々から気になっていて、
さすがにこのままでは難しいだろうなとは思ってたんだけど、
まさか一気に緩和してこうなるのは一周回って予想外である。
民衆の不満も理解できる話ではあるが、それでこれをやっちゃうのは……と。
不満が爆破する前にやるべきことがあったと言えばそれはそうなんですがね。
最初期にも、武漢市などの都市はまだしも、その周辺地域では医療へのアクセスがままならないということは言われていた。
それは多分今も変わっていないんですよね。
ここまで大都市の感染爆発を食い止めるという対策を繰り返していたからね。
信じられるのは自主的な感染対策ぐらいという状況でしょう。