実は同じ会社のニュースサイト

最近、Yahoo!を開くと「Merkmal」が提供元のニュースが目立つ気がする。

なんやねんと調べるとどうもこういうことらしい。

「Merkmal」の母体は、2014年に開設し、乗りもの全般の話題で月間3600万PVを獲得している「乗りものニュース」(https://trafficnews.jp/)、および、2018年に開設し、月間2億2000万PVと日本最大級の自動車メディアへと成長した「くるまのニュース」(https://kuruma-news.jp/)です。

両メディアが主に個人消費者(サービスの利用者)の方々に向けたニュースを取り扱うのに対し、「Merkmal」では交通・運輸・モビリティ産業の事業者(サービスの提供者)や、この業界に進出したい人々に向けて情報を発信します。

((交通・運輸・モビリティ産業のビジネスニュースメディア「Merkmal」誕生 (株式会社メディア・ヴァーグ))

2021年1月開設だから最近開設というわけではないんですけどね。


ここに限った話でもなく、大手の新聞社ですらそうだけど、

Yahoo!ニュースで記事を読ませることで得られる収入は大きいのだろう。

ただ、そうすると同じ会社で複数の提供元を使い分ける意味はあまりなさそう。

その点で、この会社が目論んだ既存のサイトとの使い分けはうまく行ってるのかはよくわからない。

ただ、どうしてこういうサイトを別に作ったのかという意図を考えると、

ターゲットが業界関係者であり、この会社の収益源が広告であるということ。

すなわちは広告のターゲットが既存のサイトと違うということである。

既存のサイトはどっちかというと趣味の人を対象としていたわけですから。

出すべき広告は全く違うというのはわかりますよね。


それにしてもこの会社は一体どういう事業を営んでいるのか。

その実態を探るべく「社員紹介」を読んでいると、編集長の紹介があった。

朝は記事にする情報のチェックから始まります。記事の配信はある程度、事前の計画に沿ったものですが、編集部員やライターから上がってきた記事に速報すべきものや重要なニュースがあれば、臨機応変に対応しています。

午後は各社のプレスリリース(メディア向け情報の文書)が、おおむね14時頃をピークに届きますので、編集部全体で臨戦態勢に入ります。

(社員インタビュー / 見てくれている人を身近に感じられることが、やりがいにつながっています。)

概ね3タイプの記事があることがここから読み取れる。

1つ目は社外のライターから寄稿される記事、踏み込んだ内容はこれが多いんかな。

2つ目は社内の編集者が自主的に書いた記事、分野によってはちらほらある。

3つ目はプレスリリースを元に社内で書かれた記事。

このタイプはあまり踏み込んだ内容はなく単に転記しただけというような印象だが、

その内容の取捨には、自動車・鉄道・航空などの知見を要するということで、

そういう人を社内に置きながら、2つ目のタイプの記事も書きつつ、

主にはプレスリリースを選定して記事化する仕事を担っているということだろう。


こうしてYahoo!ニュースで目を引くのは速報性の高さもあるのだろう。

ただ、その内容の浅さというのは気になるところがある。

これはYahoo!ニュースの選定の問題かも知れないが、

新聞社の記事の場合、取材活動などで掘り下げられた記事を重点的に並べている。

そういうのに比べると、ただ書き写しただけとか、うさんくさいライターが書いた記事だなというような印象がある。

速報性があること自体が悪い話ではなく、知るきっかけにはなるんだけど。

しかし、それは自社サイトにアクセスしてくれる読者を増やすことに役立っているのかはよくわからない。


改めて見てみると、社内で書かれた記事の割合自体はそれなりに高く、

社外のライターに頼りっきりという感じではないと思った。

多くはプレスリリースなどの形で社外からもたらされた情報をもとにしたもので、

足を使って取材活動して書いたという印象はあまりないけど、

それでも一定の専門性のある記事を社内で書いたり選定できる体制は強みなのだろう。


少し前にさかのぼるのだけど、こういう事件があった。

DeNA南場会長「WELQを検索して愕然とした」–キュレーション事業に関して謝罪 (CNET Japan)

DeNAが手がけていた各種のキュレーションプラットフォームの記事の正確性や著作権上の問題が散見されたということである。

特にやり玉に挙げられたのがWELQという医療分野をターゲットにしたもので、

ほとんどが偽情報といった具合だったらしい。

病気の治療・予防といった分野は興味を引きやすいので、とにかく記事数を増やしたいがあまりに社外のライターに頼ったが、その内容は散々なものだった。

クラウドソーシングということで、素人に他の記事の盗用含め、いい加減な記事を書かせまくったのもある。品質はともかく単価は安い。

そして、とにかく記事数が欲しかったので記事を吟味して取捨選択することもしなかった。

内容に問題があっても、それはライターの責任に転嫁すればよいという考えもあったのかもしれない。

結局はこのWELQの問題をきっかけとして、キュレーションメディアは縮小していくことになる。

縮小したといっても未だにたくさんありますがね。SmartNewsとか有名ですが。


果たしてメディア・ヴァーグ社の事業がこの手のキュレーションメディアに近いのか、あるいは伝統的な出版社・新聞社に近いのかというのはよくわからない。

そこはあまり明確にしないようにしているのかもしれない。

従来、紙の新聞や雑誌というのは、紙面には限りがあり、発行タイミングも1日2回とか週1回とか限られていた。

インターネットではその制約がどちらもなくなったので、多種多様な情報が発信できるようになった。

ただ、広告収入が主体となり、アクセス数を重視するがあまりに、過激で中身のない記事が多くなり、それに行き着くところがWELQであったと。

ここもアクセス数重視というところに抗っていきたい思いは見えるが、現実は広告収入あっての事業であるという葛藤も見える。

弊社は、インターネットの持つ“スピード感”と、従来のメディアが持っている“質”の両面を備えたメディア運営を目指していきます。
またそれと同時に、ネットメディアの常識であった広告モデルからの脱却も、進めていきたいと考えています。

(代表メッセージ (株式会社メディア・ヴァーグ))

伝統的な新聞社でさえ見出しの付け方はアクセス数を意識してるのかな? と思うほどですから、

社内で専門性を持って記事を書いたり選定できる体制があるだけマシとしましょう。