創作物の転売は難しい

転売というのもいろいろあるが、創作物の転売というのは難しい。

以前、ゲーム機の転売は地域間の需給ギャップが要因の1つとしてあるという話を書いた。

転売って日本国内だけで閉じないもの

「買取屋」がこうして需給ギャップを使って儲けられる限りは続くが、

新品の供給が続くうちはいつかは収束するはずである。


一方の創作物の転売というのは難しい。

流通経路が限られていたり、製造数が限られていたり、絶版になったりというのが多いから。

以前、雑誌の古い号が定価よりだいぶ高いながらに購入したことがあった。

逆に特典目当てに複数買いする人がたたき売りするような例も多い。

そういう本やCDを(実質新品の)中古として狙うことはあまりに多い。


冒頭で紹介した転売についての記事ではこんなことを書いて締めくくっている。

それに対して、ゲーム機などを転売により需給バランスを破壊する行為は問題としても、

通常許される商行為とどうやって区別するかというのが非常に難しい。

一般論として暴利で売りさばく行為は物価統制令で禁止されているが、暴利であるというのはハードルが高い。

とはいえ、やはり新品の供給が続いている商品を専ら転売目的で買うのはおかしいだろうと。

それに対して創作物の転売というのはいろいろと正当化される場合がある。

絶版になるなどして新規に購入できない本の価格が高値で取引されるのは普通だし、

売る側もイベント限定など販売方法を限定したりすることもよくある。

それでいて後に高値となる商品も購入時には普通に買えてしまうということも珍しくはない。


あと、この逆に安値で中古市場で流通することをよく思わない人もいる。

これは正規経路で新品の購入が可能にもかかわらず、中古品を買われては作者には金が入らないからである。

とはいえ、これは売り方に問題があるケースも多いと思うが。

とある雑誌が電子書籍がだいぶ遅れて出て、中古で買うと半額近くで買えるということで、よく中古で買っているが、

これは特典目当てで複数買いする人は多いという売り方に起因するところである。

だから複数買いすることで得ている利益もあるということである。


いずれにせよ、創作物の転売というのはよく思われなくても、公序良俗に反するとまで言えるケースはかなり限られるのが難しいところである。

そんな中で、最近、暗号資産の一種としてNFT(非代替性トークン)が話題となっている。

これはブロックチェーンに記録されたデジタルコンテンツの所有権のことである。

デジタルアートは本質的に複製が容易であり、従来の1点物の美術品などとは事情が異なる。

ここでNFTを使うことでデジタルアートの所有権を1点物として売買することができると。

もっともNFTはそのような1点物だけに使われるとも限らず、複製物の販売に使われることもあるようだけど。

これは従来の動画配信・電子書籍サービスがプラットフォーム依存であるのに対して、

購入情報をNFTに記録することで、コンテンツの利用権をプラットフォーム非依存で半永久的に保存できるからだという。


で、NFTは売買時に作者が一定のロイヤリティーを得ることができる仕組みが導入されていることが多いという。

すなわち転売によって価格がつり上がれば、その分け前は作者が得ることができるということである。

作者が新作のNFTを売却するのに、転売目当てでも参加者が増えれば、より高い価格で売れる可能性があり、

その後の転売時にも作者は分け前を得ることができるということで、そこでも利益が得られると。


そこまで作者の権利が及ぶことが妥当かという話はあるかもしれませんけど、

そこは創作物ということで、それを生み出した作者が権利を持つことは妥当ということでしょう。

NFTにはいろいろ打開すべき課題があるので、なかなか手を出せる話ではないですが。

ただ、取引活発化による利益を作者も得ることができるというのは1つのメリットなんだろうなと。


この辺は本当に難しくて、正当な商取引と、公序良俗に反する行為が非常に近いわけですよね。

暴利で売りさばく行為も条件付きで正当な行為として認められてきた歴史もある。

そこから決別しようにも、現に絶版しているものはどうしょうもない。

いろいろ打開策は考えられるけど、創作物は販売者以外の権利が働く物も多く、

それにより販売経路が限られたりということは珍しいことではないですからね。

電子書籍なら雑誌のバックナンバーを売るのは容易だが、永遠に売り続けるのは権利上難しく、

そのためあるタイミングで絶版にしてしまい、紙の雑誌のバックナンバーより早く消えることも場合によってはある。

紙の書籍だと在庫限りで終わりとかいうのでごまかせたりするのはあるんでしょうけどね。