加盟店を消費税から救うためではないか

ちょっと話題になってたのですが、楽天でのポイント積算方法が変わると。

楽天ポイント、対象を縮小 22年4月から税抜き価格に (日本経済新聞)

従来、購入額の総額に対して100円あたり1ポイントなど付与されていた物が、

本体価格100円あたり1ポイントというような付与に変わり、

典型的な消費税率10%の商品では110円あたり1ポイントと約1割ポイントの付与が減ることになる。

これだけ見ると楽天はケチだなと思うかも知れないが、これにはそれなりの理由がある。


今年3月にこんなニュースが流れていた。

楽天、加盟店とのポイント契約を変更へ 店側の負担増か (朝日新聞デジタル)

ことの発端は国税庁が共通ポイントにおける消費税の取扱を例示したことに始まる。

おそらく従来は楽天スーパーポイントの原資は仕入税額控除を適用できていたのだと思うが、

これによるとポイント原資は仕入税額控除が適用できなくなる。

これを受けて楽天も検討したのだろうが、ポイント原資に仕入税額控除の適用は不可能と判断したが、

これにより楽天市場の加盟店にとってはポイント原資の負担が実質的に重くなるということで、

加盟店負担の軽減のため、ポイント付与率を切り下げるという形で対応することになったとみられる。


店舗独自のポイントか共通ポイントかというところで消費税上の扱いが違うんですね。

例えばビックカメラで本体価格2000円(税込2200円)の商品購入に1100ポイント充当したとすると、レシートの表記はこんな風になるはず。

合計 \2,200 (内消費税等 \200)

ポイント利用 \-1,100(内消費税等 \100)

お支払い \1,100

クレジット \1,100(内消費税等 \100)

これを法人・個人事業主が購入したときのことはまた別の問題があるんだけど、

売る側にとってみれば、ポイントで収受した100円分の消費税を納税する必要はない。

なぜならば、この分の消費税はそのポイントが付与されたときの買い物で納税済みだから。

税込11000円の買い物をして、1100ポイント付与して、後日別の買い物に充当したということは、

合計して11000円の買い物をしたということで、その消費税(税率10%とする)は1000円でいいわけですね。

だからポイント充当分の消費税は新しく納める必要はないと。おそらくこの解釈でよいはず。


ところが共通ポイントの場合、ポイントを加算するところと消費するところが違うわけで、

上のような税務処理は適しないということで、国税庁が例示した方法によればこうなる。

  1. A店で本体価格10000円(税込11000円)の買い物で、仮受消費税 1000円発生
  2. A店は共通ポイント110ポイントの原資として、運営会社に110円支払(不課税取引)
  3. B店で本体価格100円(税込110円)の買い物に充当して、仮受消費税 10円発生
  4. B店はポイント運営会社から110円受け取る(不課税取引)

自社発行のポイントでは3.のところで消費税を納める必要がないと書いたが、

共通ポイントの場合、ポイントを消化するB店はポイント運営会社との間には対価性がないので、

4.の取引は消費税法上の不課税取引にあたり、B店はポイント充当分の消費税を納付する必要がある。

2.の取引についてはシステム利用料などと包括して支払う場合などに課税取引になる可能性はある。

しかし、ポイント運営会社の立場にとっては4.が不課税取引とすれば、2.の取引で受け取った消費税は納付しないといけないので、おそらくA店が支払うポイント原資は110円に消費税10%を加えた121円となるのではないか。


従来の楽天スーパーポイントの消費税上の扱いの詳細はちょっとわからないところもあるが、

少なくとも従来は2.の取引は課税取引として扱われていたようだ。

なので、ポイント原資として楽天に支払った金額の 10/110 は仮払消費税として処理できたのだろう。

今後はポイント相当額の収受は楽天の預かり金として不課税取引として扱われる。

このとき従来のポイント付与率を維持すると消費税分だけ加盟店の消費税負担が増すため、

ポイント付与率を引き下げ、加盟店の負担を下げるということがこのことの真相であろうと。


本体価格の何%相当のポイント付与としている店が時々見られる。

イトーヨーカドーでのnanacoポイントの付与がそうだな。

もしかするとポイント付与が不課税取引であることは意識していたかもしれない。

ここで仕入税額控除が適用できれば消費税率分はチャラだが、不課税取引ならばそうもいかない。

消費税率は変更されるし均一でないことを考えれば本体価格基準で付与率を決めるのは理にかなっていたのだろう。


消費税率が引き上げられるごとにこのあたりの課税関係はよりシビアになるであろう。

それに伴ってポイント付与率の見直しが進むことはわりとありそう。

主に共通ポイントが問題とみられるが、各社のポイント制度も細かいところを見ればいろいろありそうだがね。

例に挙げたビックポイントも、クレジットカード利用での積算分があったり、

他社ポイントへの交換なんてものもありますしね。