ブロック大臣ってワクチン大臣か

昨日、VRSの接種記録をもとにワクチンの配分を決めるという話を紹介した。

VRSへの登録が遅れると困る

この件に付いてはいろいろな意見があるところで、Twitterでパラパラ見ていたら、

「ブロック大臣」がうんぬんと書かれていて、なんだ? と調べたところこういうことらしい。

「自分のファンばかりに囲まれて…」河野太郎氏のTwitterは本当に「暇つぶし」なのか? (BuzzFeed)

河野太郎さんのことだった。役職は何度か変わってるが、かれこれ4年以上は何らかの国務大臣をやっている。

現在はワクチン大臣(正式名称は違うけど)で知られている。

Twitterへの投稿が多いことで知られているが、ブロックしてるユーザーも半端ではないとのこと。


河野さんがTwitterのユーザーをブロックする理由は自らまとめていた。

河野太郎大臣Updates / ブロックに関する批判について (note)

基本的には誹謗中傷が目に余る人をブロックしていると言うことらしいが、

一方でReplyなどこれといったやりとりもないのに先回りしてブロックされているという事例もあるそう。

河野太郎防衛相のツイッターを見ようとしたら、ブロックされていた。驚いた。(略) 私は河野氏にコメントしたことはなく、自分のツイートで言動を批判しただけ。河野氏は批判的な利用者をわざわざ検索で見つけ出し、情報を遮断している。自衛ではなく、敵地を先制攻撃するような使い方だ

([大弦小弦]ブロックされていた (沖縄タイムス))

この時点でどうかと思うのだが。


ただ、河野さんのような立場の人にとってブロック機能を使う意義は限られるんじゃないかと思う。

TwitterでAさんがBさんをブロックすると、下記のことができなくなる。

  1. AさんはBさんの投稿するTweetを閲覧することがなくなる
  2. BさんはAさんの投稿するTweetを閲覧することができなくなる
  3. BさんはAさんをFollowできなくなる(Followしていても解除される)
  4. BさんはAさんにReplyを送ることが出来なくなる
  5. BさんはAさんのTweetを引用できなくなる (2.により引用先のTweetを見られないため)

しかしながら、河野さんのように公開アカウントの場合は、ログアウトすればTweetを閲覧することはできる。

ログインしていないユーザーでも閲覧できるということはそういうことである。

閲覧を困難にする可能性はあるが、閲覧を不可能にするわけではない。

しかし、自分のTweetでブロックされたユーザーに対して言及することはできなくなる。

Tweetを投稿するためにはログインしなければならず、そこでは例え公開アカウントだとしても閲覧できないためである。


かつては1.の目的でブロックする人もいたというが、現在は一般的ではない。

それはTwitterにミュート機能が導入されたためである。(2014年導入だからそれ以前のTwitterを知らない人も多いかも知れないが)

実は僕もミュート機能はけっこう使っていて、ここには2つのパターンがある。

1つは検索の邪魔になる大量投稿をするアカウントを除外するため。スパムに近いものから、そこそこ意義があるものまでいろいろだが。

もう1つは「Retweetのみミュート」で、投稿内容自体は読みたいが、Retweetの量が多すぎるとか内容が偏っているとか、

かつてはそういう状況を我慢するか、Followを解除するかどちらかだが、Retweetのみの除外ができればだいぶ助かるので使っている。

このタイプはタイムラインにRetweetが流れなくなるだけで、各ユーザーのページではRetweetが確認出来るので念のため。


むしろ、つきまとい行為をするような人にブロックは逆効果という話もある。

これはブロックされたことが認識できるからである。これにより相手を激昂させることがしばしばあるという。

この点においてミュートであれば、無関心を貫いているだけのことで、さすがにこれはどうしょうもない。

非公開アカウントの場合は、ブロックすると、相手からのFollowが解除されることで、本当にTweetを見られなくなる。

この目的ではブロックは積極的に活用するべきである。(閲覧できるユーザーを管理することが非公開アカウントの目的なわけですから)

しかし、公開アカウントの場合はブロックしてもログアウトすればTweetを見ること自体は可能である。

この点ではTweetを閲覧できなくなるという目的はブロックしても達成されないのだから、やるだけ無駄ということである。


ブロックの効力として示した5つの事項のうち、1はミュートでOK、2~3は公開アカウントである以上は本質的に閲覧可能、

実効的な効力があるのは4~5だが、5.については引用方法の問題とも言える。

というのも、ブロックとは無関係にスクリーンショットを使った引用というのが一部において活用されているためである。

これはいくつかの目的があって、1つには引用先のTweetの削除に備えた「魚拓」という一面、

1つには相手側から引用されたことを察知できなくするという目的。

(現在はTweetのURLを引用すると、その旨が通知され、引用元のTweetに「○件の引用ツイート」として記録される)

どっちもなかなか陰湿な使い方だと思うが、公開アカウントである以上はログアウトすれば閲覧が可能で、

その内容を引用する方法は必ずしもTwitterの公式機能を使う必要はないわけだから。


そんな中で実効的な効力として残ると思われたのがReplyをできなくするという効力である。

しかしながら、ミュートをすればReplyの通知を受け取ることもなくなるわけだし、

なにより大量のReplyが寄せられるようなアカウントであれば、全てのReplyの通知を受け取るのは不都合と考えられ、

例えば自分がFollowしていないアカウントからのReplyは通知されないようにする、そういう設定は可能である。

ゆえにReplyによるつきまといを回避するという観点でも、ブロックを使う必要性は必ずしもない。

ブロックにより相手を激昂させる可能性があるならなおさら回避するべきである。


しかし、現在のTwitterではReplyはまた異なる意味を持つようになっている。

というのもある時期から特定のTweetに対するReply(特にMentionと呼ばれることがある)がTweetの下に見えるようになったからだ。

あれ導入されたのいつだったんだっけ? と調べたら2014年頃には導入されてたみたいですね。

最近だと思ってたけど全然そんなことないですね。

この機能により「クソリプ」が問題視されるようになってきた。

会話に関係ない投稿、あるいは会話を妨害することを目的とした投稿が同一ページ中に挟まることになるからである。

会話に関係ない投稿が見えることについては、Tweetの質が吟味されるような仕組みを導入することで緩和を図ってきた。

しかし、投稿者にとって好ましくない投稿が同一ページに挟まるという根本的な問題の解決にはならない。


対策の1つとしては2020年8月にReplyできるユーザーを制限する機能が導入された。

ついにTwitterが「リプライ制限機能」を実装、クソリプ根絶に一歩前進 (GIGAZINE)

FollowしていないユーザーがReplyすることを防ぐようなことはできるようになったのだが、

そうするといかにも門前払いしているのが見えてしまうのが問題の1つである。

なお、このような場合でも引用Tweetは可能である。


もう1つの解決方法としては、特定のReplyを非表示にするという方法である。

Twitterが「返信を非表示」をグローバル公開、ブロックも選択可能に (TechCrunch)

しかし、この機能を使うと、非表示にしたReplyがあることがマークから判別可能であり、

またそのマークをクリックすることで非表示にしたReplyを確認することが出来る。

Replyをモデレートする機能をどのように使っているかということが問われる機能であり、使い方次第では危険である。

あと、ちょっと実験してみたんだけど、自分がミュートしているユーザーのReplyは非表示にすることができない。

しかし、例え自分がミュートにしていても、Replyを指定して非表示にしない限りはReplyはTweetの下に表示される。

すなわち、ミュート機能との相性が悪いとみられる。そんなこともあってあまり使っている例は思い当たらない。


このことからTweetに対するReplyのモデレートを目的としてブロック機能を使うことには合理性はあるかもしれない。

Replyできるユーザーを制限すると、制限されている事実を知ることは出来る。

また、その制限を回避するために引用Tweetが使えることは一般に知られてるので、

どのような反応が気になって引用Tweetを開くことは真の反応を知ることができるので制限の効果は微妙という話がある。

特定のReplyを非表示にすることも同じである。何を非表示にしたかはバレてしまう。また引用Tweetの削除はできない。

しかし、ブロックであれば他人からはブロックにより排除されているユーザーがいることはわからないし、

また、公式機能により引用することもできないので、引用Tweetの一覧に並べることもできない。

この点ではブロックは最強のReplyのモデレート方法であると言える。


でも、本当にそういう意図があってブロックしているのかなと言うのは疑問がある話である。

先回りしてブロックしたところで、そのユーザーがReplyや引用を使うことを未然に防ぐ価値はあるのかということである。

その可能性に乏しい人をブロックすると、先の記者のように何もしてないのにブロックされたという不信感だけが募るわけである。

なんやかんや言っても興味を持ってTweetを読んでいるユーザーをあえて敵対視する意味はあるのかということである。

実際に何らかの害を為す可能性があれば対応を考えるべきだが、予防目的でやるには割に合わないと思う。


SNSにおけるユーザーをFollowするシステムについては、偏った意見を集めてしまいがちである。

このような現象を「サイバーカスケード」と呼ぶことがあるらしい。

ただ、Twitterについては公開ユーザーが多く、多くにおいては自由にReplyや引用ができる。

このため、この意見は正しくないなどという意見にたどりつくことは比較的容易とも言える。

一方でFacebookでは、よりクローズドなコミュニティが形成される傾向があり、

それがゆえに現在は陰謀論の巣窟になっているらしいという話を聞くが実態は知らない。


いずれにせよ、Twitterにおいては、議員とか大臣とも立場の人が投稿をすれば、

それに対しては賞賛も非難も受けるのは当然であり、その中には粗暴な表現もあるかもしれない。

正当な批判の範囲と受け止めるべきとしても、心理的に負担が重いことはあるかもしれない。

一方でTwitterではミュート機能や通知を制限する機能があり、これを適切に使うことで緩和が可能である。

どうしてもブロック機能でないと得られないものは、Replyと引用の制限だが、

これは特定の意見を排除するということにつながるものだから、議員とか大臣が使うのは慎重であろうと思う。

誰にとっても明らかに有害なアカウントであればブロックによる対策には妥当性があると思うが、

でも、果たして河野さんがブロックで排除したアカウントというのは、それほど問題のあるアカウントなのだろうか?


というわけで、河野さんのような立場の人がブロックを多用するのはどうかと思いますよという話。

他にも、都道府県知事などでブロックを使っているような人はいるようである。

ただ、ニュースになるほどにブロック数が多いという点で河野さんは特殊である。

Twitterの特徴を考慮した上でブロック機能も利用しているという解釈もできるが、

ミュート機能導入以降はブロック機能を使うデメリットも意識されるようになってきたと思っていた。

そんな中でこんな人がいるとは正直驚いている。ちょっとデメリットに対する考慮が不足してるよねと。