高カテゴリのILSのために地面を作る?

高松空港は瀬戸内一帯では最も国際線の利用が多い空港である。広島より多いんですよね。

高松市街から割と近く、そこからの往来が便利なのが理由のようだ。

ただ、この高松空港の欠点が濃霧による欠航で、この対策としてILS高カテゴリ化事業がスタートした。

濃霧などの影響を受けやすい国管理空港を順々に改良していて、

その中で高松の番が回ってきたというのが実情でしょうね。


高松空港ILS高カテゴリー化事業における新規事業採択時評価について (pdf) (国土交通省)

現在、高松空港は東から着陸する場合にILSを利用できる。

このILSはカテゴリI(CAT I)で、高度200ft(約60m)地点で滑走路が目視できれば着陸できる。

もし、目視できなければゴーアラウンドとなる。

高松空港ではCAT IIIbにする計画で、これが実現すると自動着陸できるので滑走路が目視できなくても着陸できる。

滑走路が目視できなくても着陸はできるが、着陸後に何も見えないでは困るので、

その場合でも滑走路視距離(RVR)は50m以上あることが要求されている。


これを実現するために必要な設備としてCAT III用の航空灯火、ローカライザー、グライドスロープ、

RVRを測定するための気象施設、そして電波高度計用地とある。

CAT III用の灯火などは今までより上等なものに変えるということだが、

高松空港で大変なのが電波高度計用地であり、でもこれがCAT IIIのキーポイントのようだ。


電波高度計というのは地面に電波を当てて高度を測るものである。

CAT Iでは気圧で高度を測るが、これではどうしても精度が出ない。

なので地面との距離を測ってより精度良く高度を知る必要があると。

この精度良い高度情報があるからこそ、自動着陸もできるということだろう。

そのために必要なのは地面、でも高松空港は滑走路の東側に平らな地面がない。

丘陵地にあるので、東側が平らじゃないんですね。

このために盛土をして平らな面積を広げるか、人工地盤により平らな面を作るか、どちらかの対応が必要になる。

この問題は広島空港にもあって、こちらは人工地盤を使っている。

空港の西側に頼りなく張り出しているのが電波高度計用地である。


日本では滑走路の片側にILSが付いている空港は多いが、

両側にある空港は少なく、新千歳・成田・羽田・中部・関西・福岡・那覇 などに限られる。

もっとも片側にしかILSがないのはケチっているからとも限らず、地形の都合などもある。

伊丹空港は北側に山が迫っているので南側しかないなど。

で、この両側にILSがある空港なのだが、全部CAT II以上という空港は関西・中部の2空港のみである。

関西は2つの滑走路の両側がCAT II、中部は南側から着陸する場合はCAT IIIb、北側はCAT IIである。

他は1つの滑走路の片側だけCAT IIIbに対応するという形である。

羽田空港とか4本滑走路あるけど、1本の片側だけなんですよね。


CAT IIまでというのは現在は日本国内では関西・中部のみである。

電波高度計を使う、自動着陸できるといった特徴はCAT IIIと同じで、

ただ、高度100ftで滑走路が見えないと着陸できないという差はある。

調べると中部は開港時は両側ともCAT IIだったのだが、

濃霧に見舞われることがあり、対策として開港4年後の2009年に一方をCAT IIIにしたという記載がある。

設備面の差はそこまで大きな物ではないのかもしれない。

そして今も関空がCAT IIまでなのは、それで別に困らないからなんだろうな。


実際のところCAT IIやCAT IIIというのは常時使われるものでもないらしい。

これは自動着陸する都合、滑走路の周辺を空けておく必要があるとか、いろいろ制約が多いからだそう。

CAT II・IIIは特別な体制が必要なので航空会社・乗務員・機材の都合によりできない場合もある。

羽田・成田は1つの滑走路だけ対応できても機能維持は難しそうだが、

最低限の機能だけ維持できればよいという割り切りなんだろうか。

一方で近年に基幹空港としてできた関西・中部はCAT II以上に最初から対応しておいたよということかね。


昔に比べると安全に着陸できる空港が増えているのは確かで、

それはILSが導入できないパターンでのRNP-ARの適用もそうだし、

ILSの増設・高カテゴリ化というのもある。

そういう中では高松というのは優先度は一段落ちるかなとは思うものの、

国際線が伸びているというのは後押しになった感じでしょうかね。

平らな地面があればもっと早く着手できていたかもしれないけど、

そもそも濃霧に見舞われるのは丘陵地にあるからなのでなんとも。