昨日、東京で都営地下鉄の駅に”Tap to ride service Get connected!”という貼り紙があった。
クレジットカードのタッチ決済での乗車システムが11社で接続されたことを表す貼り紙である。
さて、これを見てどこで使えて、どこで使えないかわかるものだろうか。
まず、社章が並んでいるのだが「小田急箱根」ってなんやねんと。
これは箱根登山電車のことである。2024年に小田急グループ内の再編によりこの社名になった。
他は地元の人ならわかるだろうが、特に外国から来たらなんでこんなに会社が? となりそう。
下には概略路線図が書かれているが、一部駅のみ対応の区間がマーキングされている。
西武がかなり広域にこの表示がされているのが目立つ。
正直さっぱりわからん。
というわけで一体関東圏ではどこがクレジットカードのタッチ決済で乗れるのかという話。
そもそも関東圏でタッチ決済に対応しているのは11社だけではない。
この11社は直通運転などで改札内でつながっているため、Q-moveのシステム上は1社として扱われているよう。
関東地区「クレカ乗車」鉄道利用による履歴表示ご案内 (pdf) (Q-move)
これに当てはまらない路線としては 江ノ電・つくばエクスプレス・湘南モノレール・横浜市営地下鉄・ゆりかもめ がある。
つくばエクスプレス以外は鉄軌道全線全駅に導入している。
会社単位で利用できないのはこれ以外ということになる。
Suica・PASMO導入社と比べると大手ではなんといってもJR東日本、京成、北総、
東京都内では東京モノレール、りんかい線、多摩都市モノレール、
千葉県では千葉都市モノレール、東葉高速鉄道、舞浜リゾートライン、
埼玉県では埼玉高速鉄道、ニューシャトル、秩父鉄道、
神奈川県では横浜シーサイドライン、伊豆箱根鉄道(大雄山線)といったところ。
かなりイメージはしやすくなったと思うが、導入社でも全線全駅で使えるわけではない。
現状、穴がすぐに目立つのが西武で、特に新宿線で未導入駅が多い。
ただ、これは過渡的な物で今年9月末には多摩川線と秩父方面の途中駅以外には導入され、
来年3月には全線全駅に導入となる予定である。
もう1つ未導入路線が多いのが東武である。
基本的には地下鉄直通区間に導入し、浅草・押上~久喜・南栗橋、池袋~小川町は全駅に導入、
ただ、そこから外れた途端に全然なくて、野田線・亀戸線・大師線も外れている。
観光客の利用が見込める日光方面は飛び飛びの導入、あと伊勢崎線も太田まで主要駅に導入されている。
東京都交通局も地下鉄は全線全駅に入っているが、日暮里・舎人ライナーと荒川線は未導入である。
細かい穴としては中野駅というのがある。
中野駅は東京メトロ東西線の駅だが、全改札をJRが管理している。
この都合、タッチ決済対応は出口のみとなっている。なんだそれは。
他社管理駅で導入が遅れるというのはけっこうみられる現象だが、
出口は対応して、入口は対応しないというのは珍しい対応である。
逆にタッチ決済のみ対応なのが、箱根ロープウェイ・海賊船というのがある。
これは理由があってタッチ決済で乗車すると自動的に1日乗車券扱い(往復と同額)になるため。
タッチ決済は1日分とりまとめて精算する仕組みなので好都合だったと。
似たような話で高尾山ケーブルカーもタッチ決済はきっぷ購入なしに乗車できる。
導入当初、京王とケーブルカーを往復利用すると自動的に高尾山きっぷ相当の運賃に調整される仕組みがあったが、
現在は廃止されている。条件が複雑だったのかもしれない。
関西ではタッチ決済導入範囲を示した路線図が近鉄のWebサイトにある。
神鉄がかなり飛び飛びの導入で、南海は一部の利用の少ない駅・路線を外している。
大手ではJR・京阪が未導入で、あと目立つのが京都市営地下鉄である。
ただ、京都市は2027年度にタッチ決済を導入する方向で進めているそう。
京阪もそうだが、叡電・嵐電と京都方面が弱い傾向は続きそう。
導入開始が少し早かったこともあり、関東圏よりは抜けが少ない印象。
ただ、これもまだ発展途上だなと思うところはあって、
それが六甲山方面で、六甲ケーブル、六甲有馬ロープウエー、まやビューライン、六甲山上バスと、
これならタッチ決済で困らないだろうと思わせておいて、
実は六甲ケーブル下や摩耶ケーブル下を発着する市バスが対応していないのである。
次のターゲットにあるとは思いたいところですけどね。
こういう問題を引き起こしている原因は従来のICカードとクレジットカードでプラットフォーマーが違うことでしょうね。
先日のヨーロッパ出張時、クレジットカードで電車・バスに乗っていたが、
従来からのプリペイドカードも同じ機械で受け付けるし、
今後はおそらくクラウド管理型のプリペイドカードに移行していくという話が書かれていた。
クレジットカード・デビットカードが利用できない人への代替策という側面が強いようだが。
日本においてもICカードをクラウド管理にしていきたい話は出ている。
ただ、現状のSuica他のシステムを維持しながら建て増すのは難しかったのだろう。
PiTaPaとは親和性がありそうだが……それぐらいである。
とはいえクレジットカードで全てできるということにはならないだろう。
プリペイドカードの需要はあるし、クレジットカードは小児運賃を扱えない。
ポストペイ方式としてもPiTaPaキッズカードのような専用トークンが必要だろう。
JR九州を除けばクレジットカードでの乗車には消極的で、
それがゆえに他のプラットフォーマーの登場を許したとも言えるが、
南海など別立てでも導入を急いだ会社が多かったわけですよね。
このあたりは鉄道会社の多い日本だからこそなのかもしれない。
ただ、最終的にはJRを巻き込めないとどうにもなりませんからね。
最終的に目指す姿はそんなに変わらない気がするが、どういう段階を踏むかは課題が多いのではないか。
あと、外から来た人には些細な問題かもしれないが、
関東圏では1円単位運賃があるが、クレジットカードの場合は10円単位になる。
Q-moveが1円単位を処理できないのが原因なのかもしれないが、
ICカード乗車券以外の運賃ということで規定上、10円単位なのかもしれない。
そもそも1円単位運賃を延々と続けているのもどうかと思う話だが。