A重油って何だ?

明日が休暇なので連休前最後の勤務だった。

連休前までに済ませたいという用事は一応片付いたかな。

いろいろバタバタしてたんだけどね。


以前、こんな話を書いたことがある。

A重油は名前こそ重油だが、実態としては軽油で、陸上輸送以外の用途で軽油引取税がかからない軽油として販売されている。

(燃料油の選び方)

確かにA重油と軽油は性質は似ているのだが、作り方はかなり違うらしい。


製油所ではまず蒸留塔で原油を沸点ごとに分けるところからスタートするが、

重油のニーズは低く、ガソリンや灯油・軽油のニーズが高い。

そこで分子量の大きな炭化水素を分解して、分子量の小さな炭化水素に作り分けていく。

製油所で大量の水素が消費される

重油分からガソリンを作る手法として流動接触分解装置(FCC)がある。

例えば、重油分をさらに減圧して蒸留して、重油分の中で分子量の小さな成分(減圧軽油)を取り出す。

この減圧軽油から硫黄分を取り除き、これをFCCで分解する。

分解により炭化水素はガソリンとLCO(Light Cycle Oil)に分かれる。

A重油の主原料はこのLCOらしい。


硫黄分の少ないガソリンを作るためにあらかじめ脱硫していることもあり、

LCOは硫黄分が少なく、分子量も軽油と同程度なので加熱せず利用できる。

(C重油は常温で固まってしまうので加熱して利用する)

硫黄分が少なくて取扱が便利な燃料油ということで一見良さそうなのだが、

実はディーゼルエンジンには少し不向きな燃料である。

セタン価はFCC原料油や運転条件によって異なるが、大体 20 ~ 30 前後と低く、色相安定性もあまり良くないため、ディーゼル軽油とするにはさらに水素化精製などの後処理が必要である。

(ライト・サイクル・オイル (JOGMEC))

ベンゼン環のような環構造を持つ分子が多いので着火しにくいらしい。


A重油は自動車の燃料として使うことが禁止されている。

もちろんこれは税制面の問題もあるのだが、

A重油は軽油より燃えにくいということでPMを多く発生させる問題もあるそう。

ただ、ディーゼルエンジンの中でも船に搭載されるような低速エンジンだと、

わりと使える燃料の幅が広いのでLCO主体のA重油はむしろ上等なぐらい。

大型のディーゼル発電機でも低速エンジンが使われているそうなので、

船と発電機というのがA重油の用途の主なところらしい。

あとはエンジン以外の用途でボイラー燃料というのもある。


冒頭でA重油は軽油引取税のかからない軽油と書いたが、

自動車以外の用途で軽油を使う場合、免税軽油が使えることも多い。

船の燃料として使うならば軽油もA重油も無税という点では同じということ。

でも、実際は上のような事情からA重油の方が安いんですよね。

低硫黄で取扱がよい燃料油としてはA重油が経済的であると。

ただしディーゼルエンジンに使う場合は、A重油を使うことが想定されたエンジンであることが前提である。


ディーゼル発電機の燃料となると免税軽油の対象外なので、

軽油を使う場合は軽油引取税がかかる一方、A重油はそもそもの燃料が安い上に無税と。

もちろん軽油指定であれば税金がかかろうが軽油を使わざるを得ない。

比較的小型のものは軽油、大型のものはA重油ってことなんだろうな。


LCOの用途としてはA重油というのもあるけど、C重油のカッター材という用途もあるそう。

アスファルトをLCOで薄めることとC重油としてほどよい濃さになると。

ただ、船舶燃料油の硫黄分規制によりC重油は以前より使いにくくなり、

この用途でのLCOの需要は減ったが、その分A重油としてLCOが使われるならそれでいいんかね。

行き先のないアスファルトは火力発電の燃料にするのか。

製油所ではそんな変化がここ最近起きているはず。