北京オリンピックの閉会式の中で次回開催地へのオリンピック旗の引継ぎがあって、
次回開催地の市長として2人の人が来ていた。
これは2026年の次回冬季大会がミラノとコルティナ・ダンペッツォの共同開催であることによる。
ミラノは氷の競技を、コルティナは雪の競技のメインの開催地となるが、かなり広域に分散する予定である。
しかし氷雪の会場が分かれるということなら今回も氷は北京、雪は張家口で分かれてたし、
その前のピョンチャンも雪はピョンチャンで氷はカンヌンだった。これは隣同士だけど。
オリンピックを複数都市で共同開催するという制度は、オリンピックの種目数が増える中で開催都市の選択肢を増やすという意図があるとみられる。
夏は単純な競技数の多さだが、冬は雪の競技は適地が限られ、山間部には大規模な競技施設は用意しきれないという問題がある。
氷雪分離での開催は今後の冬季オリンピックの標準スタイルになるのかもしれない。
一方で2030年の冬季オリンピック招致を目指している札幌は氷雪の主要な種目を市内で実施する計画である。
唯一無二の豪雪地帯の200万都市らしい「完全冬季オリンピック」構想だが……
というところでふと頭に浮かんだのが「完全国体」という言葉である。
これは国民体育大会の秋季大会と冬季大会を同一都道府県で行うことである。
多くの都道府県では氷雪の競技はできないため、冬季大会は分離して開催される。
しかし県内に氷雪の競技ができる施設があれば、全て1つの都道府県で完結する。
このような国民体育大会は「完全国体」と呼ばれ、最近では2016年の岩手国体が該当する。
ただ、冬季大会って スケート・アイスホッケー・スキーと3区分に分かれてて、
このうち1つ・2つ、あるいはさらにそれを細分化して開催することもある。
会場が特に限られるのがスピードスケートとスキーである。
このためスケートとスキーの分離開催は以前から一般的に行われていたそうだ。
さらにスケートリンクの数も考慮してか、アイスホッケーの分離開催も行われるようになった。
東京都と神奈川県はアイスホッケーだけの国体冬季大会を実施したことがある。
いずれもスケートは山梨県開催であり、隣接地域ということで選ばれたのか。
冬季大会の開催回数を国体2巡目に入った1988年から数えてみた。
その上で冬季大会3区分の開催実績のある都道府県を列挙すると、
北海道・青森県・岩手県・山形県・福島県・群馬県・長野県となる。
これらは確かに完全国体の開催実績あるいは計画がある。
条件は厳しいと書いたが 47都道府県中7道県というのは意外と多いかな。
ところで、完全国体でなくても秋季大会と冬季大会をともに開催する場合がある。
準完全国体とでも言えばいいんですかね。こういうスタイルもいくつかみられる。
これをやった都道府県の1つが東京都である。2013年の東京国体がそうだった。
スキーは秋田開催だけど、スケート・アイスホッケーは東京開催である。
しかし、ここにはからくりがあって、スケートのうちスピードスケートは福島県の会場を使ったんですよね。
国体競技の中でも射撃はできる場所が限られるため他府県での開催が多く、
2013年の東京国体でも射撃の一部は埼玉県・千葉県での開催になっている。
これと同じ理屈でスケートのうちスピードスケートだけは福島県でやったわけですね。
それ以外のスケート、ショートトラックとフィギュアスケートは東京開催なので、
スケート大会全体としては東京国体の一部となっているわけですね。
限りなく完全国体に近いのが2012年の岐阜国体である。
秋季大会と冬季大会のスピードスケートとスキーは岐阜開催だが、それ以外のスケートとアイスホッケーは愛知開催にしたのである。
岐阜県ってスピードスケートができるという点では貴重だけど、
他のスケート競技はできないんですね。それで愛知開催になったんだと思う。
とはいえ、岐阜・愛知は隣接していることを考えれば、実質完全国体では? という気もする。
なお、秋季大会でもセーリングは愛知県の会場を使っている。内陸県だと厳しいよね。
岐阜・愛知の2県で氷上競技を実施するのは、昨年の三重国体でも採用されていて、
秋季大会は三重、冬季スピードスケートは岐阜、他のスケートとアイスホッケーは愛知、スキーは秋田と4県開催の国体となった。
ただし、この大会は延期無しの中止に追い込まれている。(スケート・アイスホッケーだけはやったらしいが)
なお、2028年に青森県で予定されている国民スポーツ大会は冬季大会全てが青森開催になる。
(ところで国民スポーツ大会の略称は国スポらしいが、これ定着するのか?)
とはいえ、これもスキーの一部は秋田県の会場を使用する。
1990年にスキー国体の実績はあるが、現在の設備では対応しきれないようだ。
なので、全競技が県内に収まるという意味での完全開催ではないが、秋と冬3区分は県内でやるのでこれを完全開催だと言っている。
2030年の札幌オリンピック構想について「完全冬季オリンピック」と言ったが、
アルペンスキー滑降が千歳市にかかった以外全て市内で行った1972年大会とは違い、
氷雪それぞれの一部の種目は市外開催となる予定である。
スピードスケートは帯広開催を想定しているが、1972年当時はスピードスケートは屋外競技だったが、現在は国際大会は風の影響を受けない屋内で行うことが多い。
屋内のスピードスケート場は道内では帯広にあり、国内外の大会実績が豊富である。
2017年の冬季アジア大会は札幌で行われたが、スピードスケートは帯広だった。
それと同じなので特に問題ないでしょうということですね。
距離は鉄道・高速道路で3時間ほどと離れているけどね。
アルペンスキーの一部(おそらく高速系種目)はニセコでの開催を想定している。
これは1972年大会の滑降コースは仮設だが、森林伐採などの非難もあったためだろう。
アルペンスキーの高速系種目は立地条件が厳しく、長野オリンピックでも仮設から既設スキー場の利用に変更したが、それでもだいぶ揉めたという。
札幌からは多少離れるが、スキーヤーからの知名度も高いので採用されたのだろう。
こっちは帯広ほどは離れていない上に、新幹線が開通すれば倶知安まではより短時間で移動できる。しかし新幹線開通してるのか?
そしてこれが最大の問題、ボブスレー・リュージュは長野開催を想定している。
もうこれは作っても維持できないのは目に見えているので遠くても既設会場だという話だが、その既設会場はというと老朽化のため製氷停止である。
スパイラルを再度使えるようにするのにいくらかかるのかという話である。
日本のそり競技への貢献は大きいが、費用面では厳しいのが実情だと思われる。
これは最悪国外開催もあると思うんですけど、スパイラル廃止の背景であるピョンチャンの施設も維持できてないらしいという話も聞くんですよね。
ということで言うほど完全冬季オリンピックか? という指摘もあると思うが、
札幌がホストタウンであるという体裁には全く問題ない範囲だと思う。
遠隔地といえば今度のパリオリンピックのサーフィンなんてタヒチ開催ですからね。
パリはともかく、フランス本土でも可能っぽいが、よりよい会場を求めた結果がタヒチらしい。
東京オリンピックで酷暑対策で競歩・マラソンが札幌開催になった話もありますが、
夏季大会も限られた期間内に気候上の条件を満たして実施するためには、共同開催を積極的に活用することはあり得るかもしれませんね。
現時点では、パリ・ロサンゼルス・ブリスベンと単独開催が並んでますけどね。
ってブリスベンって南半球だからまた冬に夏のオリンピックをやるのか……
それはやめた方がいいと思うんだけどなぁ。南半球のためにスケジュールずらせない事情もわかるんだけど。