今月から日本とEUのEPAが始まった。
これにより関税の引き下げが行われ、最終的には日本の輸入品は94%(品目数ベース)、ヨーロッパの輸入品は99%が無税になるとのこと。
ただし、即時引き下げが行われるものばかりでもなく、しばらく時間がかかる。
即時撤廃されるものでは、日本が輸入するものとしてはワインや衣類が注目されている。
日本側は工業製品の多くがもともと無税だった。繊維製品・革製品は課税対象だったが、これも最終的に無税になる。
難しいのが農産品だが、単純に無税にできないところは無税で輸入できる枠を決めたり、可能な範囲で関税を引き下げている。
ヨーロッパが輸入するものとしては、自動車部品や酒が注目されている。
日本は工業製品はもともと無税のものが多いのだが、ヨーロッパは関税がかかるものが多かった。
最終的にはほぼ全ての輸入品が無税になるが、まずは部品レベルから関税が撤廃されていくようだ。
日本企業もヨーロッパで生産しているけど、その部品を日本から供給すると関税がかかっていたが、まずはそこから無税になる。
ところで、ここでEPAの恩恵が受けられるのは日本産のものとヨーロッパ産のものに限られる。
原材料の全てが日本産ならばそれは明らかに日本産だが、実際にはなかなかそうもいかないものである。
細かいルールがあるのだが、概ね2つの基準で決まる。
1つはHSコードの上位4桁が変更されること。
1つは製品価格に占める域外の原料費の割合が一定以下であること。
このどちらかの基準を満たせばよい。
実は職場で開発している製品で原産国が工場所在地の国ではないのでは? という疑惑をかけられているものがいくつかある。
その1つが機器同士を接続するケーブルで、輸入品のケーブルを切って端子を付けて出荷している。
8544 電気絶縁線、ケーブル、同軸ケーブル、電気導体、光ファイバーケーブル|HSコードの一覧表
これを見てみると銅の巻線のHSコードは8544.11で、接続子を付けたケーブルのHSコードは8544.42となっている。
一応、HSコード上の分類は変わっているのだが、上位4桁は変わっていないので、これは工場所在地が原産国とは言えないのでは? という疑惑があると。
工場のある国では原産国表示について明確なルールがないので、これが偽装表示に当たるということはないらしいのだが、今後、表示方法の見直しが入る可能性もある。
でも、こういう場合の原産国ってなんなんだろうね? ケーブルの原産国という説もあるが、原産国不明という説もある。
HSコードの上位4桁が変化しない場合でも、製品価格に占める域外の材料費が少なければ問題ない。
加工度が高ければそちらで説明できるのだが、ケーブルをちょっと加工しただけだとなかなかね。
これはあくまでも製品に表記する原産国表示の話だが、EPAのように関税に関係するとなればもっと厳密である。
品目によってはHSコードの上位2桁が変わっている必要があったり、さらに他の条件もあったり、なかなか複雑である。
とはいえ、ちゃんと条件を精査すれば、当然満たしてますよということは多そうでもあるが。
最初にも書いたが、日本は工業製品の多くがもともと無税だし、工業製品の関税率は世界的にも低い水準にある。
日本企業にとってみれば外国で生産して日本に輸入しても、ほとんど関税がかからないので、
日本から外国に生産拠点を移して、そこから日本を含む世界各地に輸出するするようなことはすでによく行われている。
そして、日本の拠点では高付加価値なところに注力するという選択肢も得られている。
農畜産品は課税されるものも多いが、意外と無税のものも多いし、実際の関税率も世界的には並の水準のようだ。
おかげで国産品の競争力が低いところは、無理せず外国から輸入するという選択肢が取れているのではないかなと。
日本は輸出で儲けている面もあるが、一方で輸入することで豊かになっているという面もあると実感している。
こうして貿易をうまく活用してきた日本にはEPAのような協定はありがたいことでしょう。