均一料金と通行券のコンビ

高速道路の通行料金というと、基本的には入口で通行券を取り、出口の料金所で通行券を渡して区間に応じた料金を支払う仕組みになっている。

ETCの場合は、無線通行だけど、考えとしては一緒だ。

ところが、都市高速の場合は均一制の料金が多いし、NEXCO管理の高速道路でも都市高速規格ということか、均一制の料金はある。

この均一制の料金の不思議な話を書こうと思う。


均一制の料金をとる場合、一般的には入口の料金所だけあればよくて、出口に料金所はいらない。

それでスペースの制約が厳しい都市高速で均一制料金が重宝されてきたわけだ。

入口だけに料金所を用意することが多いが、出口だけに料金所を設けても同じことだ。

例えば、西名阪自動車道の奈良県内区間は、大阪方面は入口、天理方面は出口で料金を徴収することになっている。


均一制の場合は、通行券は使わないことが普通だが、一部で通行券が使われることがある。

阪和自動車道は松原JCT~岸和田和泉ICが均一制になっている。

ここも、大阪方面は入口で、和歌山方面は出口で料金を徴収することになっている。

ここで岸和田和泉IC・堺IC・堺JCT(堺泉北有料道路方面)から大阪方面に向かう場合は通行券が渡されるようになっている。

なぜか? それは堺JCTより大阪側に進んだところにある堺本線料金所で均一区間のみの利用であると示す必要があるからだ。


岸和田和泉ICより和歌山側から大阪方面に阪和自動車道を走っていく場合、

入口で通行券を取って走って行く、そして岸和田和泉ICを超えて、堺本線料金所にたどりつく。

ここで、岸和田和泉ICまでの区間制料金と岸和田和泉ICより先の均一制料金を合わせて支払うことになっている。

もし、岸和田和泉IC・堺IC・堺泉北有料道路で通行券を渡さなかった場合、通行券をなくしてしまった人と区別が付かない。

なので、均一区間内だけの利用ですよということを示すために通行券を出しているわけだ。

この通行券を堺本線料金所で渡せば、均一制料金だけ払えば済むわけだ。


でもなんでこんなまどろっこしい方法を取ってるのだろう。

実は、昔は岸和田和泉IC・堺IC・堺JCTでの通行券がない代わりに、岸和田和泉ICより和歌山側に岸和田本線料金所があったそうだ。

今も、和歌山方面には岸和田本線料金所はあるが、それが大阪方面にもあったそうだ。

この岸和田本線料金所では岸和田和泉ICまでの区間制料金を徴収していた。

それでさらに大阪方面に進む場合は、堺本線料金所で均一制料金を支払っていた。

つまり和歌山方面から大阪方面に均一区間を通り抜ける場合は本線料金所に2回停まる必要があった。

それは煩わしいぞ、ということで、岸和田本線料金所を廃止して、堺本線料金所までの均一区間のICでも通行券を発行するようにした。


逆に大阪方面から和歌山方面に行く場合も、堺本線料金所で均一制料金を支払い、岸和田本線料金所で通行券を渡す仕組みだったのを改め、

堺本線料金所を廃止して、岸和田本線料金所で均一制料金の徴収と通行券の発行を同時に行うようにした。

こちらは堺JCT・堺IC・岸和田和泉ICの大阪方面からの出口に料金所を増設して、

岸和田和泉ICの和歌山方面の入口で通行券を発行するようにした。

岸和田和泉ICから和歌山方面に向かう場合、すぐに岸和田本線料金所があるが、ここで岸和田和泉ICの通行券を見せると、均一制料金は払わなくてよい。


料金所を撤去した結果、通行券が必要になったということで、この程度ならわからないこともないが、

第二京阪道路の均一制料金はさっぱりわからない。

第二京阪道路は門真JCTで均一制の近畿自動車道に接続し、久御山JCTで区間制の京滋バイパスと接続している。

その上でどういうシステムがよいのかということを考えてみる。

まず、少なくとも門真JCTで近畿自動車道に入る手前には近畿自動車道の料金を徴収するために本線料金所が必要になる。

そして、門真JCTから久御山JCTに向かう間に通行券を発行するための料金所が必要だ。

第二京阪道路を全区間区間制にするのなら、本線料金所は大阪方面も京都方面も1つあればよい。


ただし、区間制にするためには入口・出口いずれにも料金所が必要になる。そのためのスペースを都市高速仕様の第二京阪道路に確保できるかは問題だ。

それで、実際の第二京阪道路はどうなってるのかというと、

久御山方面から京田辺本線料金所までは区間制料金で、京田辺本線料金所から門真JCTは交野北・交野南ICを境に2区間の均一制料金になっている。

ん? 2区間の均一制料金? なんかえらい複雑だな。

京都方面から近畿道に走る場合、京田辺本線料金所では京田辺本線料金所までの区間制料金と交野北・交野南ICまでの均一制料金を支払う。

そして、門真JCTの手前、門真本線料金所では交野北・交野南ICからと近畿自動車道の均一制料金を支払う。

逆に近畿道から京都方面に走る場合は、京田辺本線料金所までなにもない。

そして京田辺本線料金所で、門真JCTから京田辺本線料金所までの2区間分の均一制料金を支払い、通行券をもらう。

ん? 均一区間が2区間に分かれてるのに、1箇所でまとめて徴収するのか? なんかおかしい。


大阪方面は、京田辺本線料金所~交野北ICは入口で均一制料金を徴収し、交野南IC~門真JCTは出口で均一制料金を徴収する仕組みになっている。

こっちはまぁわかりやすいと思う。こうすれば門真JCT手前では近畿自動車道の料金と1つの料金所で徴収できるのでスマートだ。

しかし、京都方面はこの逆ではないんですね。全区間で出口で均一区間の料金を一括して徴収する。

門真JCT~交野南ICの出口では1区間分の料金を徴収するだけだから特に問題は無い。

けど、交野北IC~京田辺本線料金所の区間はそうもいかない。2区間分か1区間分か判別しないとならないからだ。

なので、交野北IC~京田辺本線料金所の区間は入口にも料金所があって、ここで通行券を発行する。

そして出口では通行券がある場合は1区間、ない場合は2区間分の均一制料金を徴収する。と、ここで均一制にもかかわらず通行券が出てくるのだ。


しかし、交野北IC~京田辺本線料金所の区間はもはや、京都方面は入口・出口ともに料金所がいるわけで、均一制のメリットは薄い。

そこまでするなら区間制料金でもよかったのでは? と思うほどだ。

均一制料金は利用区間によらず料金が一緒ということで、短距離利用者にとっては不公平感がある。

なぜ第二京阪道路がこんな複雑な方法をとったのかはよくわからない。

大規模な本線料金所を設けられる場所が限られていたというのが1つ考えられる。それが京田辺本線料金所だったのだろうか。

だからといって京田辺本線料金所~門真JCTを1区間の均一料金区間にすると不公平が過ぎる。そこで2区間に分割したと。

交野北ICより京都側の京都方面は入口・出口とも料金所を設ける必要が生じるが、

それさえ許容すれば京都方面の本線料金所は京田辺本線料金所の1箇所だけで済むので合理的だと考えたのだろう。


シンプルと思ってた均一制料金だが、こんな複雑なシステムの道路もあるのだ。

ただ、阪和自動車道にしても第二京阪道路にしても、通行券を発行するのは均一区間でも郊外側の一部の料金所だけ、

料金所の配置の都合で通行券を発行するものの、それでも残りの都心側の区間では均一制のメリットはあるという考えだろう。

いや、そうかな? とも思うけど、正当化できないわけではない。