なぜ町田市は神奈川県なのか

なぜか研究室でよく話題に出る町田市、

人口40万人余りの神奈川県の主要都市であるところ……ん?


まぁ有名な話だけど、町田市は東京都に所属しているものの、神奈川県との結びつきが強いことで知られている。

町田市内を走るバスが神奈川中央交通(神奈中バス)というのも大概なのだが、

南側を相模原市、東側を横浜市と接していて、北側の多摩市・八王子市は東京都であるものの、丘陵地帯で隔てられている。

全く往来ができないわけではないが、鉄道では神奈川県を通らないと他の東京都に行くことが出来ない。

特に相模原市とのつながりは深く、相模原市に越境合併することも考えられたという話がある。

これでも東京都であるということに誇りを持っていたから実現しなかったというのはウソか本当かは知らないけど。

ちなみに東京都の多摩地域はかつて神奈川県に属していたところ、東京の水源確保という名目で東京府(当時)に変更されたというエピソードがある。

そのときのことを掘り返しても仕方ないんだけどさ。


関東にはもう1つ、不思議な市がある。それが古河市だ。

名目上は茨城県に属しているものの、日光街道の宿場町で、埼玉県と栃木県に挟まれるような形で存在している。

その日光街道というのは後に国道4号線となり現在も存在しているのだが、

古河市内の国道4号線を管理するのは宇都宮国道事務所で、栃木県内と同様に扱われているらしい。

まぁ国の出先機関は必ずしも都道府県ごとに構成されるわけではないけどさ。

日光街道沿いの流動が圧倒的に多く、人の流動が他の茨城県の方向に向くことが極端に少ないということもあり、

埼玉県・栃木県とのつながりは深いものの、他の茨城県とは疎遠になったそうだ。まぁ地理的に断絶されているわけではないみたいね。


関西でそういう地域あったかなぁと言って思い浮かぶのは能勢町と豊能町の西部だ。

大阪府の北端にあたるのだが、鉄道では兵庫県の川西市側からのアクセスになる。

豊能町の西部は最近まで他の大阪府とつながる道路がなかった。箕面森町の開発で箕面市との行き来はできるようになった。

能勢町は豊能町の東部と1本の道路でつながっているものの、メインのアクセスとは言いがたいように思える。

そもそも、阪神間というのは大阪府と兵庫県の境目があやふやな面もあるが、

この能勢町と豊能町西部は他の大阪府との往来が極端に不便であるという点で特異的な地域である。


逆に一見飛び地に見えるが、さほど飛び地でもないのが北山村と新宮市熊野川町玉置口だ。

奈良県と三重県に囲まれた和歌山県の飛び地だが、これらの地域は新宮とのつながりが深く、

どうしても新宮と同じ和歌山県になりたいと主張した結果、このような都道府県の飛び地が生まれたと言われている。

北山村は現在は三重県の熊野市とのつながりも深くなっているのだが、そもそもこの地域の中心都市は新宮なので、

今も新宮とのつながりは十分あると言えるのではないかと思う。


都道府県内で市町村単位で孤立しているというところで他に思いつくのは岐阜県の白川村かな。

岐阜県内での移動は山を隔てることになるが、富山県側への移動は容易なので。

現在は東海北陸自動車道が開通して他の岐阜県へのアクセスも改善されたという話はあるけど。

それにしてもなんでこんな都道府県界を引いたんだろね。

ここまでいかずとも都道府県内での往来が不便なケースはあるので、地域の特性を踏まえて行政は対応しないとならんね。