1月1日に岩手県の滝沢村が滝沢市になったようだ。
滝沢村をひとことで説明しろと言われたら「人口5万人の村」と答える。
それがやっと市になったのだ。
なぜ人口5万人なのに町でもなければ村だったのか。
この滝沢村というのは山を挟んで地形的な分断があるようで、
にもかかわらず、隣接する盛岡市から連続した市街地が構成され、人口が増加してしまったのだ。
なので村で見ると明確な中心市街地がないという問題があった。それで町への移行も行われなかったのだという。
まぁ町になろうと思えばなれたと思うんだけど、そこは放ったらかしにしてきたらしい。
市を目指すべきということは昔から言われてきたようだが、具体化したのは盛岡市と合併しない方針が決まってからだろう。
人口5万人いれば市になるための人口の条件は満たしているのだが、岩手県の定めたその他の条件がけっこう厳しくて、
「国や県の出先機関が5カ所以上」という条件は満たせそうになかったのだが、岩手県はこの条件をなくす条例改正を行った。
こうして、滝沢村は滝沢市に移行することができたのだという。
町と村は本質的な差はないが、市と町村は基本的な機能は同じであるものの、1つだけ変わることがある。
それが福祉事務所でして、市となれば福祉事務所を設置しなければならないという規定がある。
福祉事務所のない町村については都道府県の福祉事務所がその区域の業務を行う。
この福祉事務所というのは、生活保護や児童福祉などの業務を取り扱うものだ。
特に市の区域に住んでいる人にとっては福祉事務所の名前は聞くことはない。
というのも、この業務を担当する部署が法律上の福祉事務所にあたるので、実際には 生活支援課 とかそういう名前で存在している。
町村の区域については都道府県の福祉事務所が担当しているが、都道府県の福祉事務所の担当する内容は減りつつあるようで、
それは福祉事務所のない町村を含め、市町村の担当することに振り替えられている。老人福祉や障害者福祉がそれにあたる。
ただし、町村も福祉事務所を設置することはできる。
十津川村と島本町は古くから独自に福祉事務所を設置してきた。十津川村は地理的な隔絶も考慮したのだろうか。
最近では合併により町村でも規模が大きくなったこともあってか、福祉事務所を設置する町村は急激に増えている。
市町村合併で町村は消え、市の区域が増えればそこは都道府県の福祉事務所の担当から外れ、
残った町村も合併で大きくなり、1つの福祉事務所で1つ2つの町村しか担当しない福祉事務所も多くなった。
もはや都道府県が福祉事務所を設置する時代は終わりを迎えているのではないかと思っている。
本来、市町村が設置するべきものに改められる日は近いのではないだろうか。
人員配置ではどれぐらいの負担になるのだろうね。複数の市町村で広域連合や一部事務組合を作って福祉事務所を運営することもできるけど。
ただ、町村での福祉事務所設置状況を見るにやってやれんことはなさそうに見えるし、
町村で完結して対応できるようになれば、福祉サービスの向上に役立つのは間違いないだろう。
その他、選挙や議会の制度でも市と町村で異なる点はあるのだが、住民の生活に密接に関係するかというとなんとも。
首長も議会も基本的な働きはなにも変わらないわけだから。
唯一で最大の機能的な変化が福祉事務所の設置といってもいいぐらいだろう。
もちろん住民にとって一番変化を実感するのは住所表示の変更で、
これまで 岩手県岩手郡滝沢村鵜飼字中鵜飼55番地 とかなってたのが 岩手県滝沢市中鵜飼55番地 とずいぶんすっきりする。
岩手郡滝沢村 が 滝沢市 に変わるだけでなく、住所表示から字が外れ、いくつかの町名が変更されるとのこと。
この村役場あらため市役所のある 鵜飼字中鵜飼 も町名変更が行われるところの1つで、
単純に字を外すと 鵜飼が2度出てくるので、単純に 中鵜飼 にしましょうということで変更されることになった。
ただ、単純ではないところもあり 大釜字埖溜(ごみだまり) は 大釜大清水東 に、篠木字地獄谷 は 篠木外山 に変更される。
いずれも地域の要望を踏まえたもので、確かに ごみだまり ではあんまりな町名だし、いい機会にはなったんじゃないかな。
人口5万人の村はこうして市になったわけだが、これに伴い、人口4万人の沖縄県の読谷村(よみたんそん)が日本一人口の多い村となった。
読谷村のWebサイトをみると、日本一人口の多い村となったことを祝う式典が行われたようだ。
読谷村自体はなにも変わってないのに祝うというのも変な話だが。
村から一足飛びに市となったのは滝沢市が2例目で、初めての例は沖縄県の豊見城市 だったようだ。
読谷村も村でなくなる日も来るのかも知れないが、それはわからない。