この前に歯医者に行ったときにマイナンバーカードを健康保険証として使った。
顔認証を介する点は通常の保険証とは違うけど、患者側からすればその程度の差である。
オンライン資格確認により限度額適用認定証・特定疾病療養受療証の提出が不要になるが、歯医者では関係ないか。
(実は高額療養費の限度額についてはマイナンバーカードは必須ではない)
いろいろ話題になっているが、健康保険証の新規発行は今年12月で終了になる。
今後、新たに健康保険に加入する人は原則として健康保険証が発行されない。
とはいえマイナンバーカードを利用できない人も存在するわけで、
その場合には資格確認書というのを発行することになっている。
ただし、有効期限が最大1年ということになっている。
(保険者によってはより長い期限を設定している場合もあるかも)
従来の健康保険証は2025年12月1日までの1年間有効の資格確認証という扱いになる。
だから、とりあえずここまでは従来の健康保険証が使えると言うことである。
資格確認証の発行を受け続ければマイナンバーカードなしでも健康保険は利用し続けられるが、
明らかに面倒なので、マイナンバーカード紛失時の再発行までの時間稼ぎや、
出生・転入後のマイナンバーカード新規発行までの時間稼ぎに使う想定だろう。
なお、資格確認証はマイナンバーカードが利用できる人には発行されないとのこと。
マイナンバーカードが利用できる状態で資格確認証が存在するというのは、
従来の健康保険証が一時的に資格確認証として利用できる期間に限られる。
資格確認証というのは従来の健康保険証と同様に資格喪失時には返却が必要だが、
従来の健康保険証とは異なり有効期限があるので、有効期限が切れれば返却の必要はない。
これは今年12月以降、資格確認証として扱われる健康保険証にも当てはまり、
来年12月までに資格を喪失すると返却が必要だが、
それ以降は期限切れの資格確認証なので返却不要になる。
返却要否が変わるタイミングが今年12月ではない点がポイントである。
マイナンバーカード持っていればそれでいいんだろと思うわけだけど、
実は一部の医療機関ではオンライン資格確認に対応していないのである。
そうするとマイナンバーカードで健康保険証の情報を引き出すことはできない。
また、オンライン資格確認を導入している医療機関であっても、
機器の故障・停電・回線トラブル・カードの故障などでうまく確認できないケース、
あるいは登録情報の側に問題があり、本来は資格があるはずなのに資格無しとなることがあり得ると。
あと、これは患者側の問題だが、電子証明書の有効期限切れというのもあり得る。
このような場合に使うのが「資格情報通知書」で近々全員に送付されてくるらしい。
同様の内容はマイナポータルで取得することも出来る。
PDFでスマートフォンに保存しておけば回線がダメになっても役立つ。
これとマイナンバーカードを呈示すれば受診できるという扱いだそう。
これ自体は有効期限がないし、資格喪失時に回収されることもない。
ということは、この情報が最新の情報であるかはわからないわけである。
非対応の医療機関、故障・停電・回線トラブルといったときには、
呈示された内容を信用して請求するということになる。
もしもカード・電子証明書側の問題ならば、入手できた情報でオンライン資格確認を行うことも可能かもしれない。
普段はマイナンバーカードで問題なく対応できる医療機関であれば、
普通は資格情報通知書をあえて持参しないわけで、その場合はどうなるか。
過去の受診時の健康保険情報から把握できれば、その情報で健康保険の請求を行うことはできる。
かかりつけの医療機関で故障・停電などに見舞われたときはこれでなんとかなる。
本当にどうしようもなければ、氏名・住所・保険者名などの情報から請求時に検索することはできるとのこと。
一番困るのが登録情報の問題で資格なしになってしまうパターンだろう。
医療機関側の都合とか、停電・故障などの不可抗力ならば仕方ないけど、
正当に照会して資格無しとなれば、本当に資格無しなのか、
本当は資格があるのに資格無しに見えているだけなのか判然としない。
聞き取りの上、保険加入が確認出来れば3割負担などで受診させてもよいと通達は出ているが、
そうすると本当に資格無しだった場合に医療機関が回収できなくなるので、
一旦全額負担してくれという話になるかもしれない。
以前に比べれば資格が確認出来ないケースは減ったらしいが、本当に生じないのかという懸念はある。
オンライン資格確認自体はいいシステムだと思うのだけど、
健康保険証を廃止することに伴う手続きの増加は気になるところはあるし、
オンライン資格確認がうまく使えない場合の穴を埋める仕組みが面倒だなとは思う。
確かに故障・停電などでオンライン資格確認できないから診療が受けられませんというのは問題なわけで、
その場合のワークアラウンドは用意せざるを得ないのはその通りである。
資格情報通知書が呈示できれば医療機関も患者も一番楽である。
ただ、緊急時に呈示必須とは言えないだろうから、どれぐらい活用できるのかな? とは思う。
だいぶ前に書いたのだが、健康保険証には大きく2つの弱点があると書いた。
1つは有効な健康保険証であるか確認出来ないこと。これはオンライン資格確認で解決された。
(現状の健康保険証でもオンライン資格確認を行うことは可能である)
もう1つは顔写真のない書類であり、十分な本人確認ができないことがある。
マイナンバーカードで受診する場合には顔写真または暗証番号での本人確認ができるようになる。
一方で資格確認書を使って受診する場合は十分な本人確認ができない状況は変化しない。
本人確認の強化というのは健康保険証の発行停止の表向きの理由ではない。
でも、本人確認の強化という期待を持っているのが実情ではないかと思う。
なので資格確認書というのは従来の健康保険証とほぼ変わらない。
有効期限が決められているから、資格喪失時の回収が不要になるケースがあるぐらいの差しかない。
健康保険証の発行停止により事務処理が減る部分もあるとは思うのだが、
希望者に資格確認書の発行という新たな作業が発生するのでそれはそれで面倒である。
この問題に真っ正面から向き合っていない点がどうかと思うポイントである。
冒頭に書いたようにマイナンバーカードが利用できる一般的なケースではそんなに変わる話ではない。
こういうケースでは従来の健康保険証より高機能である。
電子処方せんの普及が進んでいないので微妙なところはあるが、
服薬情報の確認などは災害時以外ではマイナンバーカードを使った場合のみ可能である。
問題はそこに当てはまらないケースということである。