元日、年賀状が何枚か届いていた。(遅れて届く分も多そうな気配はあるが)
東京都在住とあってはそれを気遣うメッセージが書いてあったりするんだが、
滋賀県在住の人に言われるならともかく、大阪府在住の人に言われると「お前が言うか」というような気もする。
調べたらその人の住んでいる地域(北河内)も、人口比でみるとあまり変わらない……というかむしろひどいような。
実のところ、東京都といっても地域性はあり、多摩地域というだけで一段落ちるんだよね。
これは不思議なもので、都心からの距離はそう遠くもないのに、それでもだいぶ変わる。
もっとも南関東自体が蔓延度が高いことは事実であり、その点では注意しなければならないのも確かではある。
いずれにせよ養生して生活せなならんね。
ニュースで、今年3月からマイナンバーカードが健康保険証代わりになるという、
別に新しいネタでもなく新年にあたってそういう記事を書いたんだろうけど、あれ本当に運用が始まるのかと。
もっともいきなり全ての医療機関で使えるようになるわけではない。
また、従来の健康保険証が不発行になるわけでもないし、マイナンバーカードがないと診療・調剤を受けられないわけではない。
じゃあ、何の意味があるんだよと思うところだが、それなりの理由はある。
そもそも、現状の健康保険証には大きな問題があって、それは医療機関で保険証の有効性が確認出来ないこと。
国民健康保険・後期高齢者医療制度などでは定期的な保険証交換を行っているが、
被用者保険だとあんまりやってないんじゃないか? 確かに自分の健康保険証にも有効期限などの記載はない。
このため、保険者は健康保険証を確実に回収しなければならないが、これに限界があろうことはわかると思う。
実際、僕が就職した直後、父の勤務先の健康保険証と、自分の勤務先の健康保険証の2枚を持っている状態があって、
父の勤務先の健康保険証は速やかに父経由で返却したが、これを医療機関に持っていけば一見にして使えてしまう。
このように無効な健康保険証を使って診療・調剤を受けたことが発覚すると、
自己負担分を除いた医療費が請求されることとなるが、それを回収できる確実性もなく、医療機関や保険者は困ることになる。
この問題を解決するために「オンライン資格確認」というシステムが導入される。
オンライン資格確認の導入について(医療機関・薬局、システムベンダ向け) (厚生労働省)
これを導入した医療機関では、マイナンバーカードを健康保険証として使用できるようになるというわけ。
このシステム自体は従来型の健康保険証でも手動入力すれば、その保険証が有効であるかどうか即時に確認出来る。
これがマイナンバーカードを利用する場合は、カード自体を患者から預かることなく(専用端末には患者がカードを置く想定)、
自動的に健康保険情報を読み出すことができるというわけである。
というわけで、マイナンバーカードを健康保険証として使うことは医療機関の業務効率化にもつながるはず。
といっても、これだけだと患者にとってのメリットはなさそうだが、とても重要なメリットがあって、
それは「限度額適用認定証」の提出をすることなく、自己負担限度額が適用されるということである。
サラリーマンの場合、所得によって自己負担限度額に差がある。
自己負担限度額を超過した場合、保険者から後日還付してもらう方法があるが、それは負担が重いため、
あらかじめ所得に応じた限度額を記載した限度額適用認定証の発行を受けて、これを医療機関に提出するのが一般的。
(この場合でも他の家族や、高額医療費が発生した医療機関以外での受診分など、後日還付の手続きを行うことはあると思う)
70歳以上の高齢者など、保険証だけで限度額が判定できる場合もあるが、そういうケースを除けば、事前の手続きが必要である。
これがオンライン資格確認を使うことで、患者から同意を得るという条件は付くが、限度額の確認ができるようになる。
もっとも、この仕組みを使うのにマイナンバーカードが必要なわけではなく、従来の健康保険証でも可能なはず。
この特徴からすると、病院では早い段階でオンライン資格確認が普及して、マイナンバーカードが健康保険証として使えるようになりそう。
マイナンバーカードを健康保険証として使う場合、まずマイナポータルなどで初回登録の手続きを行う必要があるが、
この手続きは医療機関の端末でも可能なので、あらかじめ何もする必要が無いとも言える。
ここで顔写真または暗証番号による認証を行うことになるのだが、暗証番号というのは利用者証明用パスワードだと思うが、
顔写真って何を元に認証するんだろう? と気になって調べたら、マイナンバーカードの券面事項確認APを使うみたいですね。
ただし、券面事項確認APを使うには、発行日・有効期限・セキュリティコードが必要なので、
これを取り出すためにマイナンバーカードを撮影するカメラも必要で、これと患者を撮影するカメラの2つがあるわけだ。
(場合によっては目視による顔写真の確認を行っても良いとのことではあるが)
これで基本的には終わりで、限度額適用や診療・投薬履歴を使用できるようにするための同意が求められることがあるぐらい。
ただ、ここで気になったのは、オンライン資格確認のフローを見る限りは、
従来の健康保険証を使う場合には本人確認がないのに、マイナンバーカードを使う場合は本人確認が必要であること。
確かに従来の健康保険証には顔写真もないので、本人確認の手段がないというのは実情であるが、なんか不思議な気がする。
おそらく、こういうことも念頭に置いているのではないか?
「なりすまし」保険証防止、写真付き証明書提示を検討へ (朝日新聞デジタル)
外国人のなりすまし受診を想定して、写真付きの本人確認書類の提出を求めることを考えたが、
外国人も住民であれば日本人と区別するのはおかしく、かといって日本人は写真付きの本人確認書類を持っているとは限らない。
健康保険に加入する外国人は必ず在留カードまたは特別永住者証明書を持っているはずなので、外国人に限れば可能ではあるのだが……
ここの矛盾を解決できず、現在も診療・調剤の際になりすましを排除する仕組みは実現できていない。
もちろん、今年3月の段階では、従来の健康保険証もまだ有効なので、網羅的に本人確認を行うわけではない。
ただ、こうしてマイナンバーカードでは暗証番号または顔写真による本人確認が行われるようになれば、
将来的な本人確認必須化に向けた足がかりになるとも言える。
これが保険証不発行化(マイナンバーカード必須化)として実現されるか、本人確認書類必須化(他に顔写真付きの本人確認書類を持たない人はマイナンバーカードの発行が必要)という形で実現されるかはわからないけど。
健康保険証を持ち歩かなくてよくなるかというと、これは微妙な話なんだが、
保険者・医療機関・患者それぞれに一定のメリットがある仕組みで、あとシステム導入の補助金もあるので、
少し時間はかかるかもしれないが普及していくのかなと。
でもマイナンバーカードがどうしても必要というわけではないし、
自己負担限度額の件はおそらくマイナンバーカードがなくても恩恵はあるので、そこは急がなくて大丈夫。
もっともマイナポイントがあるから、早いうちにマイナンバーカードの発行を受けるメリットはあるけど。