今日は東京に行く用事があったので東京国立博物館へ。
本館は頻繁に展示替えがあるので見に行くといろいろあるのだが、
それに加えて表慶館で少し不思議な展示が……
JRA70周年特別展示「世界一までの蹄跡」 (東京国立博物館)
東博の中でやっていて、総合文化展(平常展)の観覧料は必要なのだが、
主催がJRAで東博は特別協力という立場らしい。
表慶館という会場もあり「150年後の国宝展」を思い出す感じだが、
実はJRAは150年後の国宝の公募に「人と馬との物語」というのを出して展示されていた。
最初に思ったのは根岸森林公園にある馬の博物館が長期休館中なので、
これの出張展示のような意味合いがあるのかなと思ったのだけど、
実際のところは東京競馬場内の競馬博物館の所蔵品、あるいは競馬場の調度品が多く、
あとは馬主・厩舎関係者からの借用品ってところですかね。
「世界一」って何なんでしょうね? と思ったかも知れないが、
これは具体的には2023年のジャパンカップのことであろうと思う。
このレースは2023年の「世界のトップ100 G1レース」で126.75ポンドで1位に列せられた。
凱旋門賞、ブリーダーズカップクラシックが1位になることが多いランキングで、
日本のレースが1位になるのは史上初のことだった。(3位までは実績がある)
これは昨年の「ワールドベストレースホースランキング」で1位となったイクイノックスが勝ったことが大きいが、
リバティアイランド、スターズオンアース、ドウデュースと実績馬が上位を占めたことも大きく、
芝長距離における日本競馬の層の厚さを表しているとも言える。
それはそうとして競馬の歴史という話で、貴族のスポーツから始まっていて、
「ジョッキークラブ」というのは馬主自身が騎乗して競馬をしていた時代の名残なんですね。初めて知ったわ。
貴族と競馬と言えば、先代のイギリス女王、エリザベス2世ということで、そんな話も紹介されていた。
日本も最初はそんなスタートだったが、馬券が売れなければ経営が成り立たんと、
1923年の競馬法制定で合法化、戦後に国営化、1954年に公法人のJRAが設立されている。
結局は馬券を買うファンがいて成り立つスポーツというのが実情である。
中盤では競馬場から持って来た馬にまつわる絵画があれこれ貼ってあった。
けっこういろいろあるんだなぁと思う。
こういうのも馬を愛する人が描いているのである。
後半では国際競走のことがピックアップされていた。
日本初の国際招待競走であるジャパンカップと、外国の国際競走に遠征する日本馬の話である。
日本のチャンピオンが外国遠征してもさっぱり、ジャパンカップでは外国勢にボコボコにされる……
なかなか世界レベルとは言えない時代も長かったのが日本競馬である。
ただ、お金はあったので外国から種牡馬や繁殖牝馬を買い集め、レベルアップしていった。
2000年前後が1つ転換点ではあって、ジャパンカップも日本勢が安定して勝つようになり、
2001年の香港国際競走デーでは3勝、日本調教馬が外国のG1を勝った初めての日である。
ジャパンカップで掲示板を日本生まれの日本調教馬がずらりというのは、
今にしては当たり前だが、こうなるまでの道のりは長かったのである。
そんな中でピックアップされていたのが、ジャパンカップを勝ったイクイノックス、
BCフィリー&メアターフを勝ったラヴズオンリーユー、BCディスタフを勝ったマルシュロレーヌ、
そしてドバイワールドカップを勝ったウシュバテソーロである。
優勝賞品などを並べて展示しているのだが、ドバイワールドカップのトロフィーの大きさに驚く。
これが今回の展示の一番の目玉かも。了徳寺オーナーからの借用品である。
ちなみに優勝賞品という話では、戦前に日本ダービーの優勝馬主に贈られていた日本刀も前半で紹介されていた。
これもなかなかレアな展示物である。競馬博物館蔵となっていたが。
ジャパンカップと言えば、2019年に外国馬0、日本勢にしても層が薄い? と言われたりした。
ただ、最近は国内ではチャンピオン決定戦としてメンバーが集まるようになり、
賞金引き上げのおかげか、東京競馬場の国際厩舎のおかげか、招待馬のレベルも上がってきた気はする。
今年は昨年の本家ダービー馬、オーギュストロダンがやってくるという話がある。
父はディープインパクト、父ゆかりのレースを引退レースに選んだわけである。
世界的にも名誉あるレースとして認識されるようになってきたのだろうか。
今後も世界一の常連になるのか? 断言するのは難しいが、その可能性は十分あるだろう。