バスには区分を書きトラックは書かない

言われて見ればという話ではあるけど。

「特定」「一般」に「通運」「航空」なんてのもある! トラックで見かける表記はどんな意味? (1/2ページ) (WEB CARTOP)

トラックやバスには制度上の区分を示す記号が書かれていることがある。

現在の制度としてはトラックではこのような表記はほとんど不要になっているが、

バスについては制度面や実態としてほとんどに記載がある。


調べてみると、これは道路運送法の規定によるものである。

第九十五条 自動車(軽自動車たる自家用自動車、乗車定員十人以下の乗用の自家用自動車、特殊自動車たる自家用自動車その他国土交通省令で定めるものを除く。)を使用する者は、その自動車の外側に、使用者の氏名、名称又は記号その他の国土交通省令で定める事項を見やすいように表示しなければならない。

事業用軽自動車、貨物自動車(軽自動車以外)、事業用乗用自動車、11人乗り以上の自家用乗用自動車、事業用特殊自動車 には、

「使用者の氏名、名称又は記号」と省令で定める事項を記載するとなっている。

一般的な家庭で使われる車に使用者の名前を書くことはないはず。

10人乗り以下の乗用車、軽トラックといったところで上記の制度の対象外だから。

しかし、タクシー事業者、バス事業者、運送業者の使う事業用自動車、

それ以外でも軽自動車以外のトラック、バスには使用者の名前を書く必要がある。


で、道路運送法施行規則で 自動車の区分を示す記号 の記載ルールが定められている。

いろいろ複雑なのだが、乗用車についてはこんな感じ。

  • 旅客自動車運送事業 : 限定条件付きの場合は「限定」
    • 一般乗合旅客自動車運送事業
      • 路線定期運行・路線不定期運行 : なし(かつては「乗合」)
      • 区域運行(エリア型のデマンド型交通) : 「区域乗合」
    • 一般貸切旅客自動車運送事業 : 「貸切」
    • 一般乗用旅客自動車運送事業(タクシー)
      • 下記以外:「タクシー」「TAXI」(指定地域のみ必須)
      • 福祉輸送自動車 : 「福祉輸送車両」(「限定」の場合は併記する)
    • 特定旅客自動車運送事業(特定施設への送迎バスなど) : 「特定」
  • 自家用乗用自動車 : 「自家用」

「乗合」は現在は省略できるのだが、実際には書いているケースが多い。

というのも路線バスを運行するバス会社では、同じ車庫に「貸切」「特定」「自家用」が混在することが多い。

(自家用はスクールバスなどの運行受託や教習車などが該当する)

何も書かなければ乗合の意味にはなるが、書いておいたほうが明確だと。

タクシーについては他の通達で求められている記載事項を書いた。

「タクシー」または「TAXI」の表示が必須な地域は大都市に限られているが、多くは書いているのでは?


一方のトラックはこんな感じである。

  • 貨物自動車運送事業 : 限定条件付きの場合は「限定」
    • 一般貨物自動車運送事業
      • 特別積合せ貨物運送(路線便) : 「運行」
      • その他 : なし(かつては「一般」)
    • 特定貨物自動車運送事業 : 「特定」
    • 貨物軽自動車運送事業 : なし(かつては「軽貨物」)
  • 第二種貨物利用運送事業
    • 鉄道運送事業者の行う運送の集配 : 「通運」
    • 航空運送事業者の行う運送の集配 : 「航空」
    • 船舶運航事業者の行う運送の集配 : 「海上」
  • 自家用貨物自動車 : なし(かつては「自家用」

こちらはほとんどが記載義務のないものに該当する。

「限定」は霊柩車などの特殊な運送に適用されるものである。

一般貨物の路線便だが「運行」と付ける条件を満たさないものが大半らしい。

特定貨物は特定顧客向けの運送を行う場合に適用されるが、

一般貨物で同じことができるので現在は使われることが少ない制度らしい。

第二種貨物利用運送事業は鉄道・飛行機・船とトラックで一貫輸送をする事業だが、

貨物自動車運送事業と兼用の場合はそちらの表記があればよいとか見た。


なのでトラックについては省略されているケースがほとんどである。

「一般」「軽貨物」「自家用」という表記をしているケースもあるが、

書いてあってもこの3つがほとんどというのが省略可能であることをよく表している。

この点はバスとはだいぶ事情が異なるところだ。

なお、これらの場合でも「使用者の氏名、名称又は記号」の記載は必須である。


緑ナンバーの路線タイプのバスで「乗合」と「特定」を区別するのも、

観光タイプのバスで「貸切」と「乗合」(高速路線バス)を区別するのも、

違う用途で使う場合は届出が必要だからなんだろうな。

違う用途で使うこと自体は可能で、多客時に「貸切」のバスを路線バスに投入したり、

イベントの送迎車などで「乗合」の車両を貸切に使ったりというのはある。

ただ、本来のやり方ではないことは確かである。

「自家用」はさすがにナンバープレート見て気付くだろうし、

教習車ならバス会社所有だが、運行受託なら所有者は社外ですからね。