「自動車歩行者専用」の標識のある歩道で走行できるのは普通自転車と特例特定原付だけで、
それ以外の自転車や歩道モードではない特定原付には効果が無いという話をしばしば書いている。
自転車道の場合はそれ以外の自転車のほとんど、特定原付も走行できるのだが。
一方で「自動車歩行者専用」の標識を道路自体に付けた場合、
自転車道を走行できる自転車全てと特定原付も走行可能となる。
「自転車歩道通行可」と同じ標識を使うのだが、その対象は同じではないと。
さらにこの標識には厄介な事情がある。
この命令ではこの標識の意味を3つ規定している。
- 道路法第四十八条の十四第二項に規定する自転車歩行者専用道路であること。
- 道路交通法第八条第一項の道路標識により、特定小型原動機付自転車及び自転車以外の車両の通行を禁止すること。
- 道路交通法第十七条の二第一項及び第六十三条の四第一項第一号の道路標識により、特例特定小型原動機付自転車及び普通自転車が歩道を通行することができることとすること。
1.の道路法の規定により設置された標識はさらに意味が違うのだ。
道路法の自転車専用道路・自転車歩行者専用道路の規定では、
何人もみだりに自転車専用道路を自転車(自転車以外の軽車両(道路交通法第二条第一項第十一号に規定する軽車両をいう。)その他の車両で国土交通省令で定めるものを含む。以下同じ。)による以外の方法により通行してはならない。
ということで自転車以外の軽車両と省令で定める車両の走行を認めている。
その省令で定める車両とは特定原付と農耕作業用自動車である。
なお、ここでいう自転車は特定原付を含まず、普通自転車以外の自転車も含む。
標識で「軽車両」と言えば 全ての自転車+特定原付+自転車以外の軽車両 であり、
これと農耕作業用自動車が通行可能というのは道路交通法の規定による標識で言えば、
- 自動車通行止め+「農耕作業用自動車を除く」
- 自転車歩行者専用+「軽車両・農耕作業用自動車を除く」
というような表記と同等ということになりそうである。
なんで農耕作業用自動車が通行できるのかというと、
農地の中を走るサイクリングロードが多い実情も踏まえたのかもしれない。
とはいえ、一律認めなければならないのか? というのは謎である。
また、道路交通法の標識と差が大きすぎるというのも気になるところ。
河川区域を利用したサイクリングロードの場合、「河川管理用車両を除く」のように書き加えるわけだし、
必要性によって「農耕作業用自動車を除く」と足せばよさそうなものだが。
道路交通法の規定で標識を取り付ける場合、標識の裏に公安委員会のシールが貼られている。
これが目印ではあるのだが、標識の裏面なんて見るかという話である。
それで調べていたらJARTICが交通規制情報オープンデータというのを提供していて、
これを地図上に表示できるサービスが存在するようである。
これは道路交通法の規定による規制が登録されている。
規制データと厳密に整合しているかは疑問はあるが、道路交通法の規制があるかないかという参考にはなりそう。
都道府県によって規制の仕方も違うが、東京都の例をいくつか。
まず、多摩湖自転車歩行者道、ここはデータベース上は何らかの通行止め規制になっている。
実際には「自動車歩行者専用」の標識だが、通行止め標識の一種として付けているということか。
道路交通法の規定による「自動車歩行者専用」の標識なのかな。
東京都にはもう1つ都道の自転車道があり、それが芝川自転車道で、
都道としては足立区都市農業公園付近のわずかな区間が該当するが、ここは規制が見えない。
なのでここは道路法による自転車歩行者専用道路の標識になっているとみられる。
というわけで紛らわしい標識の話だった。
このデータベースは 自転車歩道通行可 の情報も登録されている。
これが登録されていれば見た目が自転車道っぽくても歩道だとわかる。
逆に自転車歩道通行可の登録がなくて、車道と区切られた部分に「自動車歩行者専用」の標識がある場合、
その部分は歩道ではなく、車道とは別の自転車歩行者道の可能性がある。
鳥飼仁和寺大橋は軽車両通行止め・歩行者通行止めの規制は見つかる一方、
自転車歩行者通行可の規制は見つからないので、歩行者・自転車の走行部分は歩道ではない可能性がある。
とすると、本線を通行できない特定原付の走行も可能かもしれない。
同じく淀川にかかる菅原城北大橋(今は無料開放されたが元有料道路)は、
軽車両通行止めと自転車歩道通行可の規制が見つかるので、
これは普通自転車は歩道走行できるが、特定原付は車道も歩道も走行できず、
歩道モードにできなければ歩道の押し歩きしかできないとみられる。
あくまでもデータベースからの推定だが、そんなことも読み取れる。