かつて京都駅烏丸口バスターミナルの乗り場を1つ占有していた急行100系統、
新型コロナウイルス騒動で2021年に休止、以後廃止となった。
ぽっかり空いた乗り場が寂しいがほぼ同ルートで「EX100系統」として復活する。
そりゃそうやろという感じもあるが、かつての急行100系統と異なる点もある。
昔からそうなのだが、京都市バスは一部系統で観光客による混雑が著しい。
その中でも一番手を焼いているのが京都駅~清水寺をはじめとする東山通方面である。
東山通は観光客の比率が比較的高いこともあり、休日や観光シーズンの増発を積極的に行っていて、
そこで重要な役目を果たしていたのが急行100系統ということになる。
だから烏丸口バスターミナルの乗り場を1つ占有してたんだけど。
そんな京都市バスの経営状況はよいとは言えず、全体としては赤字の系統が多い。
いろいろ問題もあったバス1日券を廃止して、地下鉄・バス1日券も値上げしたけど。
定価の運賃値上げも考えたいところなのだが、元々230円は高いと言われ、
観光客によるバス混雑には苦情も多い中で、住民からの理解も得がたく。
そこで登場したのが「観光特急」である。
EX100系統(京都駅~祇園~銀閣寺前)とEX101系統(京都駅~五条坂)の2系統、
停車するバス停を大きく絞り込んで、所要時間も短縮したと言っている。
そしてこのバスの運賃は大人500円、なんと市バスの通常運賃のほぼ倍である。
が、実際にこの運賃を払って利用することは想定していないとみられる。
地下鉄・バス1日券、京都修学旅行 1dayチケットのほか、現金、ICカード(PiTaPa、ICOCA、Suicaなど)がご利用いただけます。
市民利用と観光利用の棲み分けを目的とすることから、定期券、回数券、敬老乗車証及び福祉乗車証は、利用の対象外とします。
※ 運賃の設定に関する規定を整備するため、京都市乗合自動車運賃条例の改正を令和6年3月市会に提案しています。
定価は設定したが、地下鉄・バス1日券での利用を想定しているわけだ。
京都市の狙いとしては観光客に地下鉄・バス1日券を使ってもらうことがあるのだと思う。
というのも京都駅~西大路通方面のバスはあまり増強されないからである。
この区間も観光客の利用が多い。沿線には金閣寺がありますから。
205系統に加え、急行101系統(京都駅~北野天満宮~北大路BT)を走らせていたが、これは復活していない。
急行102系統(北大路BT~北野白梅町~銀閣寺道~錦林車庫)も区間急行として復活するのに。
これについては考え方は一貫していて、地下鉄・バス1日券を持っていれば、
京都駅~金閣寺は京都駅~北大路で地下鉄、北大路BT~金閣寺でバスの方がよっぽど便利だからである。
102系統も烏丸今出川で地下鉄と乗り換えて銀閣寺・北野天満宮に向かうのに有用という理由で復活。
同じく今出川通を走る203系統も増発するという。
ただ、これが期待通りの効果を発揮するかはなんとも言えないところはある。
住民が求めていた観光利用と生活利用のすみ分けというのが、
生活路線に観光客がむやみに乗り込まないようにして欲しいということ思うが、
新規設定されるEX100系統・EX101系統は沿線住民が乗りにくいバスであり、
観光客が206系統や5系統のような生活路線に乗ることは止められない。
既存系統の臨時増発に使っていたリソースを観光特急バスの運行に充てて、
そこに観光客が移ってくれればよいのだが、十分に移転が進むかはわからない。
また、増収効果もよくわからない。観光特急バスは定価こそ高いが、
地下鉄・バス1日券で乗るなら定価が運賃箱に落ちることはない。
これをきっかけにして地下鉄・バス1日券を買う人が増えて、
効率の悪い長距離のバス利用から、地下鉄や駅からの短距離のバス利用に移転してくれれば、
経営改善につながるのかもしれないが、十分な効果が得られるかはわからない。
結局は従来と同じ乗り方を封じるという性質の物ではないってことよな。
ところで京都市バスには梅小路公園発着で観光利用を想定した系統がいくつかある。
かつては「水族館シャトル」とか数字以外の系統番号が付いていたが、
案内上不都合ということもあり数字の系統番号に変わっていった。
- 58系統: 梅小路公園~四条大宮~祇園~東福寺~京都駅八条口アバンティ前~九条車庫
- 86系統: 梅小路公園~京都駅~祇園~岡崎公園 (京都駅~岡崎公園の区間便が多い)
- 88系統: 梅小路公園~京都駅~東山七条~東福寺~京都駅八条口アバンティ前~九条車庫
これ、それぞれ207系統・206系統・208系統との重複が多くなっている。
これらの系統にはそれぞれ手が入るようで、
- 58系統: 梅小路公園~京都駅~四条烏丸~祇園~東福寺~京都駅八条口アバンティ前~九条車庫
- 京都駅~四条河原町を5系統と同じルートで走る
- 86系統: 梅小路公園~京都駅~祇園~岡崎公園
- 祇園→岡崎公園→三条京阪→四条河原町→祇園となっていたのを往復とも祇園~岡崎公園を直行するようにする
- 88系統: 京都駅~東山七条~東福寺~京都駅八条口アバンティ前~九条車庫
- 梅小路公園~京都駅を短縮
58系統は梅小路から京都駅烏丸口に入り、四条・東山・九条と回って八条口へ戻ってくる変なバスになる。
そもそも58系統って何が原型だったっけと調べたら、水族館ができたときに開設された二条駅~梅小路公園のバスだった。
梅小路京都西駅の開業後はこのような利用は減ると見て、
四条大宮~二条駅を四条大宮~祇園~東福寺~九条車庫に差し替えた。
ルートのほとんどが207系統と一致するが、四条通~東山通の混雑が激しく、
この区間を増発する方法として切って貼って作った。
梅小路公園~四条方面の利用も想定しているが、四条~東山を重視している。
この時点で原型がない気もするが、京都駅~四条の増強を目的にルート変更したら、
二条駅~梅小路公園を結んでいたバスの面影は完全に消失してしまった。