先日、アメリカでボーイング737-9の窓が吹き飛んだニュースがあった。
離陸直後に窓など吹き飛ぶ 米でアラスカ航空機が緊急着陸 (NHK)
737-9は ボーイング737MAX の一形式なのだが、
737MAXといえば2018年~2019年で2回の墜落事故を起こしており、
この対策のため運航停止・納入遅延が発生していた。2021年頃には打開されたが。
そんな飛行機で起きた事故だけに、またかと思った人は多かっただろうけど。
しかし飛行機の窓なんてそんな吹き飛ぶことあるんかいと。
実はこの窓は非常口にもできる窓として設計されているんですよね。
ただし、アラスカ航空においてはここは非常口としていないのだけど。
写真を見てもわかるように他の席と変わらない間隔で席が並んでいる。
そもそも737-9とはどんな飛行機なのだろうか?
日本国内線でおなじみの737-800、737NGシリースで最も売れた機種である。
737NGは737MAXで代替されてすでに製造中止になっているが、
これと同サイズの飛行機は737MAXでは737-8という。最大189席とのこと。
ANAはずっと前から注文しているが、納入遅延もあり2025年から納入予定、
JALも昨年注文して2026年から納入予定と言っている。
737MAXでは737-8より胴体が長いタイプとして737-9と737-10があり、
特に737-10は単通路でありながら、ボーイング767の代替も狙えるほどだという。
スカイマークは2022年に737-10を注文して、混雑路線への投入を予定している。
(ただし737-10はまだ型式取得に至っていない)
で、737-9と737-10に共通的な課題として非常口の数があるらしい。
737-800の非常口は通常の乗降に使う前方扉に加え、
後方扉、そして翼上に設けられた片側2つの扉で、計8つの非常口がある。
翼上は扉2つあっても同じ翼の上を通って避難するから、実質6つかな。
航空機の安全基準として、半分の非常口で90秒以内で全乗客が避難できることがある。
737-800のような非常口の配置で対応できるのは190席程度までだという。
このため定員を増やすためには非常口の配置を見直す必要があるのだという。
そこで737-9・737-10では翼と後方扉の間に非常口を追加できるようにした。
ただ、定員が190人程度に留まるならば非常口を追加しなくてもよい。
アラスカ航空は737-9を長距離便への投入を意図して購入しており、
(国内線の)ファーストクラスなど配置した結果、138席に留まっている。
このため非常口を追加できる構造は活用されていないというわけ。
737NGでも737-900ERでは同様の構造が採用されている。
実は737-800より胴体が長い飛行機は以前から存在したんですね。
ただ、単純に胴体を長くした737-900では定員が増やせない問題があり、
改良版の737-900ERでは航続距離の延長とともに非常口を追加できるようにした。
また、737-8でも一部のLCCで座席を詰めた200席仕様の要望があり、
737-8-200というタイプを用意して737-9同様に非常口を追加している。
ところでエアバスA320とA321って、737-8と737-9の関係に似てるけど非常口どうなってるんだろ?
と気になって調べたら、こちらは扉の配置を抜本的に変えていた。
A320は737-8同様に前扉・後扉と翼上に非常扉2つずつの構成だが、
A321は翼上の非常扉がなく、翼の前と後に大型の非常扉を用意している。
A330のような中型機と同様の構成にしてしまったんですね。
ただ737-9のような配置を選択することも可能で、現在はこちらが標準らしく、
Peachもジェットスタージャパンも翼上+翼より後ろの構成になっている。
ピーチとジェットスター、新機材A321LR客室はどう違うのか (Aviation Wire)
737-8についてはとりあえず問題なさそうな感じもするけど、
737-9と737-10という各社から期待を浴びている機種では影響しそうだし、
すでに同様の構造を持っている737-900ERもどうなるか。
ただでさえ運用停止・納入遅延が問題になってきた機種なので、航空会社にとっても辛い話である。
余談ですが、アラスカ航空って名前だけど、本拠地はアラスカ州ではないんですね。
本拠地はワシントン州シアトルで、ここからアメリカ各地、世界各地に飛んでいる。
確かに創業はアラスカ州なのだが、そのアラスカ州各地の路線が集まるのがシアトルだったんですね。
そんなアラスカ航空はハワイアン航空の買収を発表している。
お互いの路線網があまり被らず、独占禁止法上の問題が少ないことも背景にあるという。
両社のブランドは今後も残る予定だという。