性別は書いてないけど性別を読み出せる

マイナンバーカードから性別表記を消すという話がニュースになっていた。

マイナカード券面から性別削除 26年にも導入予定の次期分 (47NEWS)

マイナンバーカードは氏名・住所・性別・生年月日の基本4情報と顔写真が記載されている。

この4つが揃う証明書は意外に限られるが、性別の記載が抜けているものがけっこうあって、その代表格が運転免許証である。

このためマイナンバーカードの券面に性別を記載する必要はないのではとなり、

券面の記載事項からは削除するのだが、引き続き性別の証明は可能である。

削除後もカードに内蔵されたICチップで分かるようにする。自治体などが本人確認する際に支障がないように、スマートフォンなどで読み取れるアプリを国が無償提供する。


そもそも本人確認書類の性別表記を削除する流れがあるのは、

性同一性障害で社会的な性別と戸籍上の性別が異なることは当然存在するからである。

民法の特例が必要な場合は要件を満たせば戸籍上の性別を変更できるが、

民法上の扱いを気にしなくてよければ特に性別変更しなくてよいのである。

各種の書類で性別を意識させないようにしているのもこのためで、

特に支障がないと考えられる分野では性別表記を削除する流れがあると。

運転免許証を使った本人確認で特に問題が起きていないのだし、

マイナンバーカードでも問題は起きないでしょうと。それは正しいと思う。


その一方でマイナンバーカードのチップ内には性別を含む基本4情報が格納されるという。

調べたら詳細を書いた資料がデジタル庁のWebサイトにあった。

次期個人番号カードタスクフォース(第2回)(デジタル庁)

現在のマイナンバーカードの難点として4桁の暗証番号を4つのAPに登録することがある。

各APが独立して動くがゆえのことで、同じ数字を登録してもよいのだが。

このため認証AP・券面等APの2つのAPに再編して、暗証番号・署名用パスワードを使うものはすべて認証APに集約し、

券面等APはマイナンバーカードに書いてある数字で認証するものだけにする。


その上で券面等APで基本4情報と顔写真を取り出す際のパスワードを6桁のセキュリティコードとする。

現在は有効期限+セキュリティコード(4桁)を使っていて入力がちょっと面倒。

(住民基本台帳カードの時代は 生年月日+有効期限 だったが、有効期限と誕生日を合わせるようにしたのでこうなったのだと)

方法は多少変わるが、カード表面の記載事項とカードリーダーでの読み取りで、

性別を含む基本4情報と顔写真が確認出来るというわけである。

券面に性別は書いていないが、カードを見える状態で読み取れば性別がわかると。


ところでマイナンバーカードはオンライン資格確認により健康保険証として利用できるが、

従来型の健康保険証では医療上の都合から性別表記は必須とされているが、

表面には「裏面記載」として、裏面の追記事項に性別を記載することが認められている。

医療機関の端末ではマイナンバーカードからの顔写真データの取得のため券面事項確認APを使っているため、

この流れで性別を含む基本4情報の取得も可能なはずだし、現に取得しているかもしれない。

もっとも性別はオンライン資格確認で取得できるデータらしいので、

平時なら無理に取得するほどの情報でもないかも知れない。


この資料を見ると裏面に記載しているマイナンバーを不記載にする検討も行われたという。

ただ、このような懸念があるため引き続き記載するのが有力なようだ。

• マイナンバー証としての提示やコピーをする運用が今すぐにはなくならず、支障が生じる恐れがある。

• マイナンバー証としての価値が下がり取得減につながる等の懸念がある。

マイナンバーを券面に書かない場合、暗証番号を入力して認証APからマイナンバーと基本4情報を取り出す方法で対応できるが、

全てのマイナンバー申告でこの方法に対応できる日はまだ先だということだ。


この他、記載事項として氏名の読み仮名が加わる予定があること、

来年5月から国外転出者も引き続きマイナンバーカードを保有できる。

このときにパスポートのローマ字表記と西暦表記の生年月日を追記するらしいが、

西暦表記の生年月日はあらかじめ印字しておくことは出来るし、

パスポートのローマ字表記はすでに決まっている人は発行時に印字できる。

このあたりはどうなるかよくわからんけど。


あと、電子証明書の暗号強度を上げることで有効期限を最長10年とするという話がある。

ワクチン接種と電子証明書の更新

こういうことをやらなくて済むようになるということですね。

これが一番大きいかもね。