会場が揃わないが冬季オリンピックを誘致したい

冬季オリンピックにまつわる2つのニュースを見て難しいなと思った話。

冬季オリンピック 札幌市が断念した2030年大会…実は”新潟”も招致を検討!? 「単独開催は難しい」招致話が立ち消えたワケ (Yahoo!ニュース)

スイスは2030年五輪招致方針 全国で分散開催 (産経新聞)


1つ目は新潟県で冬季オリンピック誘致案があったという話。

しかし、表題を見てまず思ったのは「完全国体もやったことないのに」ということ。

そう。新潟県は国体冬季大会のスキーは実績があるのだが、スケートについては全く開催したことがない。

なので、実態としては一部競技を長野県で行う信越オリンピックと言うべき構想だった。

その上で実現するには2つ難しい点があったという。

1つは県内最大都市である新潟市が開催都市になろうにも、できる競技がほとんどないこと。

このため新潟市が開催都市として主導するのは現実的ではなく、

その代わりになる県内都市は上越市や妙高市・湯沢町など、これはきつい。

もう1つは施設の改修が多く必要になり、それは新潟県内に留まらず、長野県内にも及ぶこと。

長野オリンピックの会場を再利用するとしても現在の国際基準に適合しない点は多々ある。


2つ目、スイスが冬季オリンピック誘致を考えているという話。

国内の使える会場を集めて分散開催しようという話らしい。

国際大会の実績のある会場を集めたドリームチームでオリンピック開催しようと。

従来のオリンピックではなかなか考えられなかった形ではあるが、

2026年はミラノとコルティナ・ダンペッツォの共同開催であるなど、

より広い分散開催も認められる可能性はあるのでは? と考えたのだろう。

これはなるほどと思ったのだが、それでも難しい競技があるという。

それがスピードスケート、国内には屋内型のスピードスケート会場がないと。

このため近隣国での開催も考えているという。


これまでのオリンピックで国境をまたいでの開催は1956年のメルボルンオリンピックでの馬術競技(ストックホルム開催)がある。

検疫の都合だが、2000年のシドニーでは打開して都市内で開催している。

(なお、検疫問題は2008年の北京でもあったが、特別行政区で別制度が適用される香港での開催だったので一応国内開催ではあった)

スイスにとってみれば、ドイツやフランスなど近隣国であれば地理的なつながりはあると言えるが、

しかし国内の会場を集めてもできない競技があるというのは、

日本における ボブスレー・リュージュ・スケルトン と同じだなと。


ただ、スイスの国内分散開催案を見て、こうならざるを得ないのかなと思うところはあって……

完全国体は貴重だが、完全オリンピックも貴重か?

札幌オリンピック構想でいくつかの会場について競技団体からケチが付いている。

1つが帯広でのスピードスケート、観客席の数が少ないという指摘である。

このため長野のエムウェーブで開催してはどうかと言われていると。

もう1つがフィギュアスケートの会場として考えられている つどーむ である。

こちらは丘珠空港から近いため飛行機の騒音が問題なのではという話。

このため東京開催がよいのではないかという話があると。

これ、どっちも興行面で有利な会場にして欲しいって話だと思うのよね。

丘珠空港から近いといってもプロペラ機が僅か発着するだけの空港である。

日本ではファンの多いフィギュアスケート、東京開催になれば集客面で有利なのは間違いないでしょうよ。

スピードスケートは元々札幌開催は諦めてるけど、道内開催にはこだわったわけだし、そこでこういうことを言いますかと。


あと、オリンピックではないけど名古屋でのアジア大会でも競泳は結局東京開催になってしまった。

2026年アジア競技大会、競泳の会場を東京に変更へ 「プールサイドが狭い」など指摘受け都と調整 (メーテレ)

レインボープールは1987年開館と古い設計で、改修での対応も困難と考えられたのだろう。

ただ、一般的には国際大会を行うのに十分な会場のはずである。

アジア大会でそこまで言われてしまってはどうすればいいのかという話である。


競技団体と開催都市の力関係はこんなものである。

国際大会で求められる要件はそもそも厳しい上に追加要求まで浴びせられる。

競技団体の言うことを真に受けていたらオリンピックになんぼ金がかかるのか。

これでは競技の一部を抜き出して他国開催はもう認めざるを得ないだろう。

スイスのスピードスケート会場のことは初めて知ったけど、

日本も ボブスレー・リュージュ・スケルトン の会場問題はずっと言われている。

これまでオリンピック競技の国外開催は1956年の馬術のみとは書いたが、

来年のパリオリンピックのサーフィンの会場はフランス本土から遠く離れた太平洋のタヒチである。

なぜ「地球の裏側」タヒチで 24年パリ五輪サーフィン (朝日新聞デジタル)

サーフィンがポリネシア発祥の競技で、競技への敬意からあえて選んだ会場なので、

やむにやまれず遠方での開催となった例とはだいぶ異なるけど。

理由があればこういうのも認められることがあるという一例ではある。