ちょっと珍しい見出しのニュースだと思ったんだけど。
児童ゼロで休校の小学校、再開へ 佐井・牛滝小中学校 (Yahoo!ニュース)
学校が休校になるというニュースはあっても、再開になるニュースは珍しい。
児童・生徒0人のため休校になったが、入学者が見込まれるということで再開するという。
でも離島の学校なら稀にあるかもしれない。でも、ここは本州なんですよね。
佐井村は下北半島の先っぽの方にある人口1700人ほどの村で、どこへ行くにも遠い。
隣接するむつ市まで行くだけで一苦労である。
青森からシィラインという高速船があり、離島航路としての補助金が出ているそう。
でも、そこまで海路への依存性が高いというわけでもない。(後で書くけど)
そんな佐井村には小学校・中学校が2つある。
1つが佐井小学校・中学校、これは役場があり、住民の大半が住む佐井地区にある。
そしてもう1つが牛滝小中学校、住民数160人ほどの牛滝地区のみを校区とする。
かなりアンバランスな印象を受けるが、もともと村内には小学校・中学校とももっとあったのだが、佐井小学校・中学校に順次集約されていったそうである。
この結果、村内の牛滝以外の地域に住む小中学生は佐井小学校・中学校に通うようになったという。
一体、この牛滝小中学校はどんな場所にあるのだろうかと地図を見てなるほどと。
単純に他のどの地区からも遠いのである。
そもそも、牛滝は佐井村の他の地区と結ぶバスはなく、むつ市川内町にある診療所との間を1時間かけて走るバスが1週間に1往復運行されるのみである。
村内では北隣にあたる福浦地区までは車で30分ぐらい離れているが、
ここは逆に1週間に1往復、佐井地区を経て大間町へ至るバスが走っている。
もう1つ北隣の長後地区まで行くと、佐井・大間町へ至るバスが毎日1往復来る。
おそらく、福浦地区までは佐井小学校・中学校に集約可能だが、そのもう1つ南の牛滝地区までは無理であるという判断があったのではないか。
村内を移動しても遠い、むつ市側に行っても遠い、だから学校は残すしか無かったということであろう。
最近は町村で1つの小中学校という地域も増えた。
児童生徒数が減る一方で、スクールバスによる通学が受け入れられるようになったということだと思う。
離島でも比較的近距離ならば小学生から船での通学も珍しくない。
おそらくこういう方向に向かったのは、過小規模の学校での教育環境への不安もあるのだろう。
児童生徒の数が少ないと、1学年で1クラス編成できず、2学年で1クラスの複式学級が組まれることがある。
1学年4人以下だと複式学級が組みやすく、8人超だと複式学級が組まれることは少ないと思われる。
1人の担任が2学年の授業を平行してやるというのは、難しい話である。
僕が小中学生の頃、市内でも児童数の少ない一部の小学校で校区外からの児童を受け入れていた。主に隣接する住宅団地から通学してたらしいが。
これにより複式学級になることを回避して、地域の学校を維持しようとした。
ただ、結局は持ちませんでしたね。このとき対象になっていた小学校は隣接地区の小学校に集約されていった。
複式学級を組むぐらいなら集約した方がよいということで地域とも合意できたようだ。
学校を集約すると校区が広くなる。
徒歩、あるいは中学生ならば自転車で無理なく通学出来ればよいが、過小規模の学校が集約されると難しいだろう。
となれば、これはスクールバスの出番である。距離のこともあるけど、通学路の安全という観点もある。
距離的には歩けなくもないが、歩道がないとか狭いとかで危険であるとなれば、これはバスしかない。
こうなると中途半端に隣接する地区の学校を統合するよりも、一気にまとめてしまった方が設備も充実させやすい。
この結果、町村で1つの小中学校というところが増えたのではないか。
とはいえ地理的に通えないものを統合するわけにもいきませんからね。
かつて小学校の校区は4km以内・中学校の校区は6km以内というのがあって、
これは徒歩・自転車通学を前提としていて、せいぜい1時間ぐらいということ。
なのでバスやそれ以外の交通手段を使う場合でも、せいぜい1時間程度までというのが目安なんだと思う。
あとは通年にわたって安全な交通手段が確保できるとか。
(昔は冬季に通学困難になる地域に冬季分校が設置されることもあったようだけど)
ところで地域によっては高校進学には自宅を出て寄宿舎などに入らなければならないところもある。
東京都だと小笠原高校に母島出身者用の寄宿舎があるそうですね。
とはいえ、さすがに小中学校でそういうことはないはず。
ということで調べたところ、義務教育でも特別支援学校だと通学困難者用の寄宿舎を備えてたりするみたいですね。
特別支援学校でも特に専門性の高い 盲学校・ろう学校 は寄宿舎を持っていることが多い。
でも、さすがにそういう事情が無く小中学校進学のために寮生活が必要になることはないはず。
ただ、実質的にそれに近いようなことはあるかもしれなくて、牛滝小中学校の再開のニュースにもこういう記載がある。
佐井小学校に進学するため佐井地区に引っ越した住民が、牛滝地区で生活する意向を示していることから再開を早めるという。
そうなんですよね。小中学校に通うに通えない地域だとその年代の子供と実質的に住めないという判断もあるんですよね。
牛滝小中学校は休校中の学校だが、休校と言うのも2タイプある。
1つは通学区域が他の学校に移管されて休校というもの。
この場合、制度上は学校は存在するが、校区がないので、児童生徒は0人となる。
ゆえに休校というのは廃校とほぼ等しい。土地・建物の都合などで廃止できないケースもあるのかもしれない。
もう1つは校区は存在するが児童生徒が0人というもの。牛滝小中学校はこれにあたる。
このような場合、地域内の児童生徒が1人以上になれば再開する必要がある。
ただし、それでも児童生徒0人の状態が長期に続いている学校というのもある。
その中には同年代の子供が他の地域に転居しているケースもあるだろう。
とはいえ、やはりそこまでして残る学校というのはだいたいが離島なんですよね。
船通学を前提に集約することも珍しくは無いけど、船が欠航になっては困る。
離島と言えば鳥羽市と思って調べたが、鳥羽から一番遠い神島だけは小中学校の統合計画はないという。
他は小学生から船通学、中学生から船通学、中学校の統合構想なんてのはあるけど、
神島だけはこのままというのは、船が比較的欠航になることが多いとかそういう事情もあるのだろう。
なお、小中学校あわせて在籍者は20人ほどらしい。
というわけでまさに陸の孤島という感のある佐井村牛滝地区だが、
そんな佐井村についてこんなニュースも飛び込んできた。
むつ市と佐井村がシィラインへの補助を打ち切るということで、運航休止となるようである。
他の記事に書いてあったことによれば「地元利用者は少なく、村民への影響は少ない」とのことである。
この航路は県都である青森と真っ直ぐ往来できることだが、逆にそれ以外のメリットはない。
生活面ではむつ市や大間町との往来で事足りるし、時間はかかるがその先も陸路で移動することはできる。
だから用途の限られる船はなくてもよいということであろう。
ところでこういう過小規模の小中学校は小学校と中学校が一体化していることも多いが、
2016年から「義務教育学校」という制度ができて、名実共に一体化できるようになったらしい。
義務教育学校として新設(地域内の小学校・中学校を集約)というパターンが多いが、
もともと小中学校が一体であったものが名実共に統合されたものも少なからずあるようだ。
義務教育学校の名称には決まったルールがないので「○○義務教育学校」とか「○○学園」とか「○○学校」とか、あるいはシンプルに「○○小中学校」というのもある。
もともと小中学校一体で運営していた学校ならば、特に違和感なく移行できると思うが、
従来は学歴としては、6歳で小学校入学、12歳で小学校卒業・中学校入学・15歳で中学校卒業であったところ、
義務教育学校では6歳で「○○小中学校 入学」、15歳で「○○小中学校 卒業」となる。
ちょっと違和感があるかもしれないが、感覚としてはこの通りではないか。