下水管を掃除する理由

買い物の帰り道、警備員に道路の反対側に寄って歩くようにと指示を受けた。

その先には轟音を立てている2台の車がいた。

一方の車には「高圧洗浄車」と書かれており、もう1台の車はホースをマンホールに突っ込んでいるようだった。


これを見て「これだったのか!」と思ったのだった。

実は時々、深夜に轟音を立てている車に安眠を妨害されることがあったのだが、一体何なのかわからなかったのだ。

バキュームカーみたいだとは思ってたのだが、この地域は下水道があるのでくみ取りの出番は基本的には無いはず。

この高圧洗浄車とバキュームカーのセットはなにをしているか?

マンホールにホースを突っ込んでいることからだいたいわかるが、下水管の清掃作業だったんですね。


確かに下水道の維持のためには下水管の清掃というのは必要な作業なので、一般に行われているとは思う。

ただ、年に何回もやるものなのか? 数えたわけじゃないけど年何回も回ってきている気がする。

下水管の清掃ってそんな頻度でやるものなのか? 年1回とかそれより少ないぐらいだと思ってたが。

まぁ詰まりやすいところなどを重点的に清掃するという事情もあるようだが、

もしかすると背景の1つにはこの地域の下水道が合流式ということもあるのかもしれない。


合流式は雨水と汚水を同じ管に流す下水道の方式で、市街地化の早い地域で導入されてきた。

ちなみに市内では合流式の地域と分流式の地域がどちらもあるらしい。ただ、ここは合流式ですね。

合流式下水道の欠点としてよく語られるのは、大雨のときに下水が未処理のまま放流されること。

対策として貯留施設の整備や、下水処理場に簡易に大量の下水を処理できる仕組みを導入したりしているが……

やっぱり東京の海はきつい

東京オリンピックのオープンウォータースイミング と トライアスロン(スイム)の会場のお台場海浜公園、

スクリーンで仕切りを作る対策をしたが、急激な水質悪化は防げても、水温が高くなる問題があるのが懸念である。

そういえば東日本ではこの夏は暑くなるらしいですね。夜通し水温が高いままだと競技できなくなりますけど。


大雨のときの問題はわかりやすいが、大雨にならないときにも合流式下水道には課題がある。

分流式の場合、汚水管は普段の汚水の量に応じて設計されるので比較的細くなる。

合流式の場合、下水管は大雨のときの雨水を流せないといけない(じゃないと浸水害が起きる)ので、太い管が使われる。

しかし、太い管というのは雨が降らないとき、あるいは比較的少ない雨のときには流れが緩くなる。

その結果、管に汚れが堆積しやすいという問題がある。

細い管ならば普段から一定の流速が保たれているので堆積しにくいが、無駄に太いとこういう問題があると。


このことが問題を引き起こすのは大雨のときである。

堆積した汚れが急増した下水で押し流されるためである。押し流されれば掃除にはなるが……

(このため下水貯留施設は雨水の急増で押し流された汚れが集中する増え始めの下水を貯留することを目的としている)

あるいは堆積した汚れにより、下水管に流せる流量自体が減ってしまえば、これは浸水害の原因となりかねない。

この対策のためには高圧洗浄車を使った下水管の清掃が有用ということらしい。

そういう意図があるのかはわからないが、これから梅雨時で大雨に見舞われる可能性も高まる。

その前に下水管を掃除しておくのは、大雨時の水質悪化や浸水害の予防に役立つということなのかなと思った。


というわけで合流式下水道は難しいんですよね。

ただ、だいぶ改善されてはいると思いますよ。

あの轟音を立てての深夜作業も、水質保全と浸水対策のためということであれば、意義はあるだろう。

もちろん一番いいのはそういうことをしなくても済むことですが。分流式ならここまでのことはないでしょう。