ジェットスタージャパンの株式の33%を保有するカンタス航空、
持分を日本政策投資銀行に売却し、それに伴いブランド名も変わるらしい。
ジェットスター・ジャパンの戦略的株主変更方針に合意 (JAL)
こういう話を聞くと思い出すのが初代エアアジアジャパンである。
ANAとエアアジアの合弁会社として設立された。
日本の航空会社は外国人が議決権の1/3以上を持つことを禁止している。
そして日本の航空会社でないと日本の国内線を運航することができない。
このためエアアジアは日本での提携先が必要で、それがANAだったと。
ところがエアアジア流の商売がうまくいかず、2013年に提携解消、
同社はANAの100%子会社となり、バニラエアに社名・ブランド名を変更した。
エアアジアからリースされていた機材を返却する必要があり、
これをANAが調達した機材に置き換えるなど面倒な話もあった。
なお、同社は2019年にPeachに移管・統合されて消滅している。
ジェットスタージャパンだが、ジェットスター流のやり方はうまく行っているように見える。
どうもこれ、カンタス航空の金策という側面が強いようだ。
この発表の中に「グループ史上最大の機材更新計画をより強力に推進します」と書かれている。
カンタス航空としては自社機材の置き換えにお金が必要で、
そのためにジェットスタージャパンの株式を売却することにしたということである。
詳しく調べると、カンタス航空としてはオーストラリア国内線に注力したいようである。
この影響をもろに受けたのがシンガポールを拠点とするジェットスターアジアである。
昨年、急に運航停止・廃業に至った航空会社である。
(11日配信記事) 豪カンタス、LCCのジェットスター・アジア航空を事業停止へ (Reuter)
資金確保のためという側面もあるが、使用していたエアバスA320はカンタス子会社に移管、
オーストラリア籍になり国内線を中心に飛び回っているようである。
この結果、オーストラリア以外を本拠地とするジェットスターはジェットスタージャパンだけになっていた。
ジェットスターパシフィック(ベトナム)は2020年に撤退、
ジェットスター参画前の社名であるパシフィック航空に戻して存続はしている。
ジェットスタージャパンについてもカンタスは畳みたかったのかもしれない。
今回の発表でカンタスが持分を売却する理由はわかったのだけど、
ジェットスターのブランドが使えなくなるのは疑問だった。
というのも資本関係が切れても、ブランド名はそのままというのはしばしばあるから。
今後もジェットスターやカンタスとの提携関係は続きそうだし、
リブランドにかかる費用も節約できるので、そういう判断もありそうだが……
ただ、カンタスとしてはとにかく撤退したかったのかもしれない。
一方のJALにとってジェットスタージャパンへの期待は大きい。
国内線はあまりよくないが、近距離国際線はよいからである。
カンタスは自社国内線の機材更新を優先させないといけないので、
なかなかジェットスタージャパンのための投資は難しかったのだろう。
今回、国内で新たな株主が付いたことで、近距離国内線をより強化していく、
その意向はJALからも明確に示されているところである。
オーストラリアのジェットスターとは路線網として被らないので、
ジェットスターであることが問題というより、カンタスのやる気が付いてこないのが問題だったのかもしれない。
そんなわけでリブランドされることになったわけだが、
そもそもJAL傘下には ZIPAIRとSpring Japanも存在する。
この状況は今後も続くのか? という話だが、続くんじゃないの?
というのもジェットスタージャパンはJAL持分は50%で連結子会社ではない。
Spring JapanはいろいろあってJALが67%を保有する子会社だが、
春秋航空が33%保有しているのは今も変わっていない。
上海春秋国際旅行社との提携関係はこの会社の最大の特色である。
ZIPAIRはJALの機材を移管し、長距離路線に注力しているため、他2社とは全く異なる。
統合できなくはなさそうだが、統合する理由も乏しいのかなと。
というわけで面倒ごとに巻き込まれたのが本音かもしれない。
日本独自のキャラクタ「ジェッ太」は果たしてどうなるのかとか気になることはあるが、
今後も成田発着便を中心に概ね従来通りの商売が続くのだろう。