路線価で見る県都

都道府県庁所在地というのは大概において都道府県における最大都市である。

ただ、そこに疑問符が付く所在地があることも事実である。

三重県の津と四日市、山口県の山口と下関のように、商業的な中心となる都市が他にあるとか、

滋賀県の大津だと京都に近すぎて意義が疑われているとか。

県の中央にある郡山への県庁移転の請願がたびたび出る福島県なんていうのもある。


このあたりの尺度として各都道府県の最高路線価が参考になると見た。

都道府県データランキング/最高路線価

だいたいは県庁所在地の代表駅の周辺である。

当然そうではないところもあるけど。というか東京都がそうである。

その理屈で言えば新宿駅周辺あたりになりそうだが、実際は銀座中央通りである。

(時刻表では新宿と東京の両駅に中心駅のマークが付いている)

とはいえ東京であることに違いはないので、これは特に問題ない。


都道府県庁所在地に最高路線価が存在しないところは下記の通りである。

  • 千葉県: 船橋市(JR船橋駅・京成船橋駅の間)
  • 群馬県: 高崎市(高崎駅西口周辺)
  • 三重県: 四日市市(近鉄四日市駅西側)
  • 滋賀県: 草津市(草津駅東口周辺)
  • 福島県: 郡山市(郡山駅西口周辺)
  • 茨城県: つくば市(つくば駅周辺=つくばセンター)
  • 山口県: 下関市(下関駅東口周辺)

さっき書いたようなところはいずれも書かれている。


船橋とつくばについては東京に近いという事情もある。

すなわち県の代表都市というよりは東京の衛星都市としての評価である。

もっとも船橋は昔から物資の集積点として商業が発展した経緯があるし、

つくば市は今でこそ鉄道が通じるが近年までなく、独自の都市圏を構成している。

とはいえ、つくば市がが最高路線価地点になったのはTX開業で東京の郊外としての評価が高まったで、

2015年に逆転するまでは水戸が県内最高路線価だった。

関東信越国税局/平成27年分の税務署別最高路線価 (国税庁)

今ではかなり差が付いて、つくばが330千円、水戸が220千円となっている。


群馬県の高崎は前橋の隣なので、位置的にはそんなに差はない。

同じことは埼玉県にも言えて、最高路線価は大宮区の大宮駅西口周辺なのだが、

同じ さいたま市内とはいえ県庁があるのは浦和区で、元々は別の市だった。

県庁はともかく、市役所は浦和区から大宮区(さいたま新都心)に移転するのが決まってるんですよね。

群馬の話に戻ると、前橋と高崎は都市雇用圏の面ではともに前橋都市圏の中心都市に位置づけられる。

前橋は城下町、そして製糸業の町として栄え、現在は役所の町であり工業都市である。

一方の高崎は宿場町として栄え、現在の高崎駅はまさに県の玄関口である。

商業都市としての評価から高崎がもっとも地価が高いという評価になる。

とはいえ、ともに1つの都市圏の中心都市なので、分業関係とみてよいかと。


あとはだいたい県庁所在地の都市が不甲斐ないということでよいかと。

とはいえ、それぞれ県庁が置かれるだけの理由がある都市である。

大津は京都に近いのは気になるが、滋賀県はど真ん中に琵琶湖というのがある。

この琵琶湖の舟運の拠点こそが大津である。だから県庁が置かれたと。

現代においても県内からまんべんなく利便性が高いのは大津ではないか。

少なくとも彦根では湖西からの交通の便が悪くて仕方ないだろう。

そうはいうものの、大津は琵琶湖と府県界の山々に挟まれて狭いわけで、

湖南地域(大津市も含む)の拠点は草津になったという話なんだろうな。

その草津も京都の衛星都市に過ぎないわけですけどね。


三重県の津と、山口県の山口は城下町としての歴史がほぼ全てだろう。

三重県の命名は三重郡、すなわち四日市に県庁があった時代のものだが、

その前には津に県庁があり、ごく短期間四日市に県庁が置かれるも、

度会県(松阪付近より南の伊勢と志摩・東紀州)との合併前に概ね県の中央になる津に戻された経緯がある。

津の伝統的な中心市街地であるはずの大門のすさまじい衰退は印象的である。

三重県の県庁所在地と対岸の展示場


山口も中心市街地で書店が事実上皆無になったという衝撃的なニュースがありましたが。

山口市中心商店街の老舗書店が75年の歴史に幕…「文榮堂本店」~消えゆくまちの書店~ (山口放送)

この文榮堂は山口県官報販売所なのだが、官報を売っていた本店が閉店になってしまったと。

山口大学前店で官報の販売は続けているので官報が買えなくなったわけではないが。

山口駅の みどりの窓口が廃止された(みどりの券売機プラス はある)とか衰退を感じるニュースは多い。

もっとも山口市の実質的な代表駅は新山口駅(かつての小郡駅)ではという話もあるのだけど。

かといって下関というのも、北九州の対岸という側面も強いわけである。

下関が県内最大都市なのは疑いはないし、それはそれで立派なんだけど。


福島県の福島も大きな城下町だったからということになるし、現在も大都市ではある。

ただ、それ以上に郡山の方が大きな都市であることは確かである。

でも、これもそんなに歴史が長い話ではない。

郡山の発展は明治にできた安積用水による農地開拓によるところが大きいからである。

広大な福島県の中心にある大都市なんだから、ここが県庁所在地にふさわしいと思うが、

これはいかにも現代的な発想であり、かつてはそうではなかったわけである。


鳥取県の鳥取、青森県の青森あたりもどうなのかな?

とおもったけど、さすがに県庁所在地の地価は高いようである。

鳥取税務署管内の最高路線価が97千円、米子税務署管内が85千円、

青森税務署管内の最高路線価が155千円、八戸税務署管内が105千円と。


行政の中心と商業の中心が一致しないこと自体はそんなに変な話でもないが、

まぁちょっと気になるところはありますよね。