中華人民共和国では都市戸籍と農村戸籍という話があって、
農村出身の人は都市に移住しても農村戸籍のままで受けられる行政サービスに差があるという。
都市で就職して一定の条件を満たせば都市戸籍への移行は可能らしいが、
上海などの大都市では要件が厳しくて、農村戸籍のまま住んでいる人は多いという。
中国「都市戸籍より農村戸籍は不利」、戸籍制度とも絡む根深い教育格差の実態 (東洋経済ONLINE)
こういう話とは違うのだが、日本のかつての戸籍制度では住所と本籍が一致するのが原則とされていた。
ただ、当時の戸籍というのは何世代も入った家単位で編成され、
分家や転籍などの制度はあったが、戸主の同意が必要などの制約もあった。
そんなこんなで本籍と住所が一致しないことは多かったようである。
そこで本籍以外の場所に住所・居所を置く場合は寄留届を出すことになっていた。
本籍から離れて住んでいる場合だけに必要となる手続きである。
1951年に寄留制度は住民登録制度に改められている。
これにより本籍に住んでいる場合も住民登録を行うこととなった。
2012年からは外国人も住民基本台帳制度の対象となっている。
ほとんどの行政サービスは住民登録を元に行われている。
戸籍は婚姻や親子関係などを表す制度という形に分離された。
現在となっては日常生活の中で本籍を意識することはあまりない。
なんで住所表示で本籍を定めないといけないんだろうという疑問もあるぐらい。
でもかつては本籍=住所が原則だったとか考えると、なるほどと納得はいくかもしれない。
中華人民共和国の都市戸籍と農村戸籍の差異は同国の計画経済との関係が大きいという。
中華人民共和国では土地を私有することはできない。
都市の土地は国有で使用権を取得して建物を建てることができる。
一方、農地については農民による集団所有という形で使用することができる。
このような権利を持っているので、農村の社会保障は手薄な傾向がある。
ただ、農民ではなくなると農地を使用する権利も失うこととなる。
都市に引っ越しても出稼ぎという体で農村戸籍を維持して、農地の権利を維持したいというニーズもあるらしい。
私有財産に制限があるがゆえに戸籍制度ごとの差異がいろいろあると。
このような状況を中央政府としては好ましくは思っていないようだが、
一方で地方政府としては財政面の問題から是正を渋っているのかなとか見える。
このあたりの制度差がなくなれば、重要なのは住所だとなるんだろうけどね。
歴史をたどれば、農村戸籍でも部分的には都市での行政サービスが受けられるようになっただけで進歩なんて話もあるんでしょうけどね。