衆議院選挙の結果は極端になりやすいというのはよく言われているが、
実は比例代表の方を工夫することで、有権者の意図を反映しやすくなる方法がある。
これはニュージーランドの選挙の方法なのだが、小選挙区比例代表連用制という方法。
ドイツの小選挙区比例代表併用制とほぼ一緒ですが、ドイツの方式は超過議席があるのが問題。
小選挙区比例代表並立制と名前は似てるけど、これは小選挙区と比例代表は切り離されているのが特徴。
だから全く独立に結果が出る。
なので、前回の衆議院選挙の場合なら民主党は小選挙区で221議席も取って、さらに比例代表で87議席も取った。
比例代表で極端な結果をさらに強化していると言える。
せっかく比例代表があるのに、全体的には比例していないという問題がある。
さて、小選挙区比例代表連用制というのは、小選挙区の結果も含めて全体的に比例した結果を得るために、
各政党の 比例代表での獲得票数/(小選挙区の獲得議席+n) (nは1から立候補者数まで) の計算結果を並べる。
そしてその上位何番かまでに入った個数だけ、その政党の議員が当選すると。
こうすると、小選挙区で絶好調だった政党は比例代表で非常に当選しにくくなる。
そして全体的に比例した結果が得られると。
なるほど、これはいいかもしれない、と前回の衆議院選挙の結果で計算してみた。
するとちょっと奇妙な結果が出てきた。
新党大地や幸福実現党がそれぞれ比例代表で2議席獲得すると出てきた。
新党大地は北海道ブロックしか立候補してないのにこれだからえらいもんだ。
ちょっと奇妙な感じですね。しかし、得票数に比例して割りあてれば確かにそうなるらしい。
そこで思い出した。ヨーロッパではよく比例代表に5%とか足切りが設けられている。少数政党の乱立を防ぐためですね。
これをこの結果に適用してみた。しかし5%はきつすぎた。民主党・自民党・公明党・共産党以外は全部足切りだ。
2%だと社民党・みんなの党が入る。2%でも国民新党は外れてしまうのか。
2%で足きりとして計算してみることとした。
これで割りあてると、
- 民主党 小選挙区221+比例代表0=221
- 自民党 小選挙区64+比例代表61=125
- 公明党 小選挙区0+比例代表53=53
- 共産党 小選挙区0+比例代表32
- 社民党 小選挙区3+比例代表17
- みんなの党 小選挙区2+比例代表17=19
- 国民新党 小選挙区3 (比例代表足きり)
- 新党日本 小選挙区1 (比例代表足きり)
- 無所属 小選挙区6
と、全体的にはだいたい比例しているなという印象を受ける。
全体的に比例するように比例代表は調整していることがよく分かる。民主党とか割りあて0ですしね。
公明党は支持者が散らばってるからか、小選挙区ではとても勝てないが、比例代表ではこれを集めてものすごい数の議席を取っている。
あの選挙の時は民主党の調子はとてもよかったが、それでも自民党との差は極端ではなかった。
そして、みれば分かるけど、民主党でも単独過半数は獲得できていない。
比例代表制ではこういう結果になりがちですね。連立政権は必須でしょう。
この方法なら全体的に比例した結果が得られる、と思うかも知れないが必ずしもそうとは言えない。
例えば、この選挙で民主党は小選挙区に候補者を出さずに、民主党系の無所属候補が221人当選したとしよう。
すると、民主党は小選挙区での当選者数が0なので、比例代表ではかなりの議席が割りあてられる。
比例代表の割り当ては、民主党111、自民党5、公明党29、共産党18、社民党8、みんなの党9か。
選挙区での民主党系の当選者と比例代表での民主党の当選者が一緒に院内会派を作れば332人もいるとんでもない巨大会派ができる。
参考までに現在の衆議院の最大の院内会派は民主党・無所属クラブの307人。
こんな風に絶好調な政党なら小選挙区では候補者を出さないととても得することになる。
日本では小選挙区で無所属で立候補するというのは、わりとよくあることです。
ヨーロッパでは必ず政党に所属しなければならないとかなっていることはあるようですが、
日本では、必ず政党などに所属して小選挙区に立候補しなければならないとはなかなか言えない。
そういうことを考えれば、小選挙区比例代表並立制は理にかなってるのかも知れないけどね。
ただ、もしうまく働くのなら小選挙区比例代表連用制の方がよく有権者の意図を反映していると言えるのは間違いない。