やっと入国できるようになる

来月からやっとこさ全世界から中長期滞在の外国人の日本への入国が可能となるようだ。

(時時刻刻)1日1000人、入国慎重 経済を重視、陰性確認・2週間待機課す (朝日新聞デジタル)

特定地域に滞在歴のある人を一律に上陸拒否するというのは、日本では異例のことであった。

短期間の措置だと思っていたら、結局は半年以上にわたって継続するということで、

その不都合を緩和する策も乏しく、不便を強いられたが、制限付きながらに来月再開することになった。


まだ具体的な運用が明らかではないところもあるが、まずビザ免除が停止され、過去のビザの効力が停止されているので、

ビザを取得する手続きが必要になるが、ここで受け入れ機関の誓約書を差し入れる必要があるとみられる。

その上で日本到着前72時間以内の検査証明書を持参して、それで外国人の新規入国が許可されるということだろう。

入国後は、受け入れ機関の管理の下で検疫所の指示に従うことになる。

ただし、先の記事にも書かれているのだが、空港の受け入れ能力に限度がある(後で書くがほぼ全員に検査をしている)ため、

受け入れ能力を考慮して、ビザの発行数に制限がかかる可能性はあるかもとのこと。


さて、外国との行き来について、いろいろな役所が関わっているものの、

大きなところは 出入国在留管理庁 と 厚生労働省検疫所 の2つの役所で、他の役所はこれに追従するものと取ってよいと思う。

出入国在留管理庁は、日本人あるいは特別永住者について、日本への入国を拒否するということはないし、出国も基本的に自由である。

なので、日本人については一貫して外国との行き来は許された状態になっている。

この点においては外国から到着の航空便を一律に制限した国とは違う話で、一時期は日本行きのみ客を乗せる航空便もあった。

一方の特別永住者以外の外国人は複雑である。

まず、ビザの効力停止が行われた人は日本への新規入国は出来ない。(乗務員であったり、葬儀など特別な事情がある人は別)

当初は再入国の外国人は在留資格によって扱いが違ったが、ある時期以降に出国した人は原則として上陸拒否となることになった。


このことは新聞でも取り上げられたが――

 同庁は、感染の有無を調べるPCR検査を実施できる数に限界があるとし、「入国を望む外国人の全ては受け入れることができないと政府が判断しているということだ」と説明。「一人ひとりにかわいそうな事情はあるのだろうが、今は日本政府の水際対策に協力してもらうのが原則だ」としている。

(練馬在住32年でも「二流市民」か 再入国拒否の絶望 (朝日新聞デジタル))

ということで、できるだけ国境をまたいで欲しくないというのが本音のようである。

実際、出入国在留管理庁は在留資格の延長などには柔軟に対応しているところなので、一貫性はある。

ただし、日本人が日本に入国するのを拒否することはできないという理屈から、

日本人は行き来が自由なのに、外国人は例え永住者でさえも外国と行き来ができないように見えたわけである。

なお、再入国については、9月から事前の申告を行った上で、日本到着前72時間以内の検査証明書を持参すれば認められるようになった。


もう1つの役所、厚生労働省検疫所 は日本人も外国人も問わず、日本に入国する人を対象としている。

しかし、検疫法では感染者の隔離や、感染の疑いのある人を停留(クルーズ船内に一律留め置いたのもこれによる)はできても、

感染の疑いの低い人には強制力のある措置をとることはできない。(そのはず)

なので「公共交通機関を使用しないよう、強く要請しています」と言われても、従わなくても問題ないということである。

ただ、日本人の場合はそれでもいいんだけど、外国人の場合はビザ発給・再入国前の申告時に宣誓書を差し入れているはずで、

それを破ると、在留資格が取り消されたりする可能性がある。(実際にそうなるかはわからないが)

基本的なことは日本人も外国人も変わらないのだが、この1点だけは異なるところである。


全世界から中長期滞在の外国人の日本への入国が可能となるようになったのは、

8月に入る頃から検疫所では唾液による抗原定量検査が導入されたことが大きい。

空港の検疫業務の視察 (厚生労働省)

PCR検査は時間がかかり、検査できる検体数も限られるという問題があった。

これが抗原定量検査になったことで、検査時間が1~2時間程度となり、同時に検査できる数も大きく増えた。

PCR検査に比べれば感度は劣るところもあるが、実用上は大きな問題はないという判断があったのだと思う。

この体勢が整ってから、まずは再入国から緩和が始まり、地域を限っての行き来、そして2ヶ月経って全世界からということである。


ところで、外国人の入国時には検査証明書を持参する必要があるが、一方で入国時の検査は行われるらしい。

検査証明書の取得費用は自己負担、入国時の検査は日本政府持ちということで、外国人は自分でやれということだと思ったが。

また、来日前に取得する陰性証明も、途上国だと精度や偽造などの点から信頼性に課題があると懸念する。

という指摘が書いてあって、もっともな話だなと思ったが、そうすると何のために入国前の検査をするの? という疑問はある。

検疫所で隔離が必要となる人の数を減らす効果があるかないか。微妙ですね。

なお、日本人は入国を拒否されないので、あらかじめの検査は不要である。検疫所での検査が全てである。


これで中長期滞在の外国人すら行き来が困難という問題はとりあえず解消へ向かうことになるが、いろいろ課題は多い。

まず、1つが中国・韓国から日本への到着便が成田空港・関西空港に制限されていること。

実はそれ以外の国からの便には制限がないので、羽田空港・中部空港・福岡空港では少なからず入国制限対象の国からの便が到着している。

これは、当初に中国・韓国が制限対象になったときに、体勢が整っている空港に集約するために出した指示だが、

その後に世界の大半の国からの入国を制限するようになったが、その時には追加の要請が出なかった。

実態として追加の手当が必要だったのは中部空港・羽田空港ぐらいだったからである。(中部空港も一時は全便欠航になった)

ところが航空便が再開される中で、なぜか中国・韓国だけが集約対象として今も残り続けている。

セントレアだと、台湾とフィリピンからの便があるのと、韓国への出発便もあるようで。(よりによってフィリピンかよと思ったけど)

羽田・中部・福岡・新千歳での受け入れ体制増強も進めているようなので、

じきに「外国から日本への到着便は、成田・関西・羽田・中部・福岡・新千歳に限る」とかいう指示に変わると思いたいが、今のところはこう。


もう1つは、上陸拒否や検査対象となる地域を解除ルールをどうするのかという話。

一応、今も原則はリストアップされた地域に滞在した外国人は上陸拒否で、特別なルールで上陸許可が出ることになっている。

そして未だに「香港発船舶ウエステルダム号に乗船していた外国人」を上陸拒否にするルールもある。

やはり世界的にリスクの程度は濃淡があって、やはり厳しい取扱が必要になる国もあるけど、

アジア・オセアニアの国々を中心に、リスクの程度が日本と大差ないところも多いんじゃないかと思うわけである。

後で書くけど、いくらやってもすり抜けは覚悟しなければならない(というか覚悟した方がよい)状況で、

さらには日本国内でもくすぶり続けている状態だから、外国からの入国者に一律に厳しいことを言っても無意味だと思う。

本当はもっと早く整理されてないといけない話だと思うんですけどね。


すり抜けは覚悟した方がいいよというのは、オーストラリアのこの話も念頭にある。

7人感染が1万8千人に メルボルン、ホテル隔離ずさん (朝日新聞デジタル)

入国者を隔離する施設での感染予防策が不十分だったことから、感染が外に拡散したという話である。

その結果、オーストラリア・ニュージーランド両国間の人の行き来も制限が緩和されない状況である。

これは両国が制限緩和にあたっての要求水準が高いからであって、世界的に見れば、低リスクな地域同士ではある。


以前、こんな話も書きましたけど、

7~8月の感染者の報告数は3~5月ごろに比べれば多いが、重症患者の数でみれば幾分少ないと言える。

高齢者施設での感染対策強化(これは大きいと思う)とか、マスク着用の励行とか、リスクの高い店の利用を控える動きなど、

そういう総合的な対策が効いているということで、そこは自信を持っていいんじゃないかと思う。

旅行もその延長で考えれば、そう怖くはないと思うんだよね。

(旅行が怖いわけではないが)

入国時に検査をしていることもあるので、外国からの入国者を過度に恐れることはないと思うが、

やはり全くリスクはないかというとそんなことはなくて、無防備ではわずかなところから爆発的な感染拡大もありうる。

東京都などくすぶっている地域内の感染拡大がもっとも恐れることですが、

国内外からの飛び火があっても、大きな感染拡大を防ぐ取り組みが、現状は感染者の少ない地域も含めて重要なこと。

そこが理解されていれば、外国との行き来もそう怖くはないと思う。