近鉄で長らく運行されてきた鮮魚列車だが、今年3月から単独の列車としては運行されなくなる。
ただし、運ぶ物が物だけに、専用車を用意して、これを一般列車に1両くっつけて走るらしい。
伊勢志摩の魚介類がテーマのラッピング車両「伊勢志摩お魚図鑑」を導入 (pdf) (近鉄)
近鉄では2両編成が最小単位なので、2両編成の1両がこのデザインで、もう1両は一般の人が利用できる車両なんだろう。
そもそも鮮魚列車とは何なのかという話だが、行商人専用の列車である。荷物をやたらと抱えた人が乗っていると。
その昔はこのような行商人専用の列車がいろいろ運行されていたそうで、
京成では「なっぱ電車」と呼ばれた、野菜などの行商人のための専用列車が走っていたことが知られている。
ただ、時代が変化して、行商というものが廃れたり、自動車での移動に変わったり、
利用者の現象に伴い、京成の行商専用列車は、行商専用車となり、それも2013年に廃止されたという。
現在も通常の乗客に交じって行商人が乗ることは可能だが、もはやほとんどいないとされている。
そんな中で近鉄の鮮魚列車が細々と生き残っていたのは、そういう商流が今もあるということ。
付加価値の高い魚介類を料理店などに売りにいくような商売は未だに成り立つということなんだろう。
もちろん自動車での移動も可能だが、伊勢から大阪へは高速使っても2時間以上なので、けっこう大変だ。
鮮魚列車は今の利用者数だと、座席に寝そべって移動してもかまわないぐらい。
早起きして商品を揃えて、電車に乗り込んで、一眠りしたら大阪というのは、確かに便利な気がする。
とはいえ、単独の列車として走らせるほどの乗客数ではないだろうと言われればその通り。
単独の列車として走らせるなら、そのための乗務員が必要で大変だ。
車両の老朽化も課題だったそう。1日1往復しかしないとはいえ、同型の電車はすべて引退済みなので。
そのあたりの問題を一挙に解決できるのが、鮮魚専用車を新しく確保して、それを特定の列車に付けるという方法だったようだ。
なお、行商人も必ずしも鮮魚列車を使うわけではなく、それ以外でも指定された列車を使えるらしい。(詳細不明)
それでも通勤客に入り混じって魚介類を運ぶのは耐えがたい話だから、専用車を用意しましょうということですね。
鮮魚列車はなくなるが、それでも行商専用車、そしてそのための専用車両を持つのは、いずれも近鉄が日本で唯一である。
今後ずっと続くのかと言われると、そこそこ危うい気はするけど、なんやかんやとニーズはある。
少ない利用者でも持続可能な形を目指したということだと思うので、今後の活躍に期待しよう。
ところで近鉄っていろいろな専用車を持っていて、なんといっても団体専用車両、JR以外でそんなのを持っている会社は唯一か。
修学旅行などで現在も一定のニーズがあるため「あおぞらII」「楽」という専用車を持っていて、
特に「あおぞらII」は修学旅行のため定期的な運行が行われているらしい。
さらに、団体専用車両というくくりではあるが、クラブツーリズム専用車「かぎろひ」なんていうのもある。
特定の旅行会社のための専用車というのは、日本で唯一である。
そして行商専用車両である、現在の鮮魚列車、その後継となる「伊勢志摩お魚図鑑」と。
いずれも車両の仕様自体は「楽」を除いては、改造元の車両とほとんど同じなんだけどね。