自社ATMをやめる

ニュースで あおぞら銀行が自社のATMを撤去して、ゆうちょ銀行ATMを設置したということが流れていた。

もともと自社の店舗外ATMは皆無だったようで、店舗内ATMをゆうちょ銀行のATMにすると。

ATMサービス変更のお知らせ (pdf) (あおぞら銀行)

ゆうちょ銀行ATMでは全時間帯で手数料がかからないようで、自社ATM撤去にあわせてATM利用可能時間も延長される。(延長されても24時間ではない)

代替に設置されるゆうちょ銀行のATMは通帳の使えない小型ATMのようだ。想定される用途があおぞら銀行の取引ですからね。


自社ATMを撤去した銀行としては、新生銀行がある。

新生銀行は店舗内のATMを以前より提携していたセブン銀行ATMに置き換えた。

その当時、新生銀行は他行ATM含め、全てのATM手数料を無料としていた。

だから、自社ATMをセブン銀行ATMに置き換えたとしても問題ないと思っていたはず。

これにより、自社ATMの維持コストはなくなったが、一方で他社へのATM手数料の支払いはかさむ。

それに耐えきれなくなったのか、今年10月から一定の条件を満たさない利用者は一律108円のATM手数料が徴収されることになった。

この一定の条件というのが、預金残高だと100万円以上、外貨預金・投資信託などの残高では30万円など、そんなに易しくはない。

積立投資信託・外貨預金であったり、クレジットカード・プリペイドカードの利用など、残高以外の要件もあるが、そう簡単でもない。

新生銀行は窓口での現金取扱を廃止しているようで、ATMが有料ということは現金を得る手段は全て有料ということ。

他行宛の振込は全ての利用者が月1回以上無料(インターネットの場合)なので、回避策がないわけではないが、なかなか厳しい。


新生銀行のように、自社ATMを撤去した後でハシゴを外されるようなことがあっては困った話である。

もともと、自社ATMがないことを前提とした銀行ならともかく、新生銀行も あおぞら銀行もそうではないですからね。

まぁ、あおぞら銀行は新生銀行とは違って、窓口での現金扱いはあるのだから、それより手数料が悪いでは説明が付かないので、

少なくとも平日時間内のゆうちょ銀行のATM手数料が無料であるのは維持されるんじゃないだろうかね。

新生銀行はそれ以前に大盤振る舞いしすぎた反動もあろうと思う。


一方で、課題としては通帳記帳と暗証番号変更が店舗内ATMでできなくなること。

暗証番号変更はテレフォンバンキングとセブン銀行ATMでできるので、代替策はあるのだが、

通帳記帳については窓口以外ではできなくなってしまう。記帳機も置かないってことなんだろうか。

この問題って新生銀行はどうしたんだろ? と思って調べたら、2016年に通帳を廃止して全て無通帳化したようだ。

あおぞら銀行は通常の店舗で口座を持つ場合は今後も通帳を発行するようだから、窓口以外で記帳できない問題が収束する見込みはなさそう。


ところで、新生銀行 も あおぞら銀行 も長期信用銀行にルーツを持つ銀行である。

そのルーツから、一応は全国ネットワークを持っているが、店舗網はスカスカという状況。

だから、もともと自社ATMのネットワークはあまり期待されてなかったはず。

こういう条件にあてはまる金融機関がどれぐらいあるかという話だよな。

みずほ信託銀行はATMをみずほ銀行に集約しているが(記帳機だけ自社で設置)、グループ会社内の話だしなぁ。

ろうきん とかどうなんだろ? と思ったけど、ろうきん だと事業所内ATMもやってるだろうし、それはそれでネットワークなんだよね。


キャッシュレス化でATMの需要が減るだろうという話があるが、

一方で小型ATMがコンビニなどに多数設置され、銀行はコンビニでのATM手数料に苦しんでいるという話もある。

なかなか業界内でも行くべき道は決まってないのかなという気はする。

ただ、自社でATMを持たないという選択肢もある時代になったのは間違いないよね。

それはインターネット専業銀行が出てきた時からそうだけど。