全国各地のコミュニティラジオ局でとある新番組が始まるというニュースが入ってきた。
コミュニティラジオ局というと基本的に市町村単位、せいぜい隣接市町村ぐらいまでをターゲットにしたローカルな存在である。
だから番組も必然的にその地域に向けたローカル番組であろうと思うわけだけど、
なぜかそれと相反する全国放送という言葉が出てくるのである。
何のことかというと、ミュージックバードのコミュニティチャンネルのラジオ番組ということらしい。
どこのコミュニティラジオ局でも昼間~夕方あたりは生放送主体のローカル番組をやっていることが多い。
ただ、ローカル番組だけで24時間埋めるというのはなかなか大変なことである。
放送しない時間帯は放送休止にしてしまってもよいような気はするのだが(そういう放送局もある)、
実際には埋まりきらない時間帯は買ってきた番組を流すという方法が取られることが多い。
おそらくコミュニティラジオ黎明期からこういう問題はあったんだと思うが、
導入しやすかったのが有線放送やCS放送の音楽チャンネルを垂れ流して音楽番組を仕立て上げるという方法だったのだろう。
そこに目を付けたのが衛星音声放送を手がけるミュージックバードだった。
ミュージックバードはコミュニティラジオ局向けのチャンネルを作り、これをCS放送経由で各地のコミュニティラジオ局向けに配信したのだ。
これがミュージックバード コミュニティチャンネルである。
あくまでもコミュニティラジオ局の後方支援のためのチャンネルであるということで、
8時~15時、17時~18時という比較的ローカル番組が充実してるであろう時間帯は「リメンバー・ミュージック」という音楽垂れ流し番組で、
そこから少し外れた6時~8時、21時~24時にこそ生放送番組が設定されているというのが特徴的である。(15~17時も生放送があるが)
深夜帯にはコミュニティラジオ局制作の番組も含まれており、「いなべ探訪」なんて明らかなローカル番組も入っていることがわかる。
さて、この全国のコミュニティラジオ局で放送という番組、2つ隣の市の放送局の番組として採用されていることがわかった。
結局は穴埋めのためのチャンネルですから、その時間帯に自主番組があれば使わないんだよね。
やる気に溢れたコミュニティラジオ局では聞くことができないというわけである。
2つ隣の市のラジオ局なら普通に聞けるんじゃないの? と思ったんだけど、屋内でアンテナを伸ばしても難しいね。
しかし幸いにしてインターネット経由で再配信されているので、これで聞けば手軽である。
ん? ミュージックバードで全国向けに配信されてる番組をインターネット経由で聞いてるだけじゃないのか?
そうなんだよね。送信側も受信側もその地域とあまり関係ないんだよね。
一応は比較的近所の放送局を選んでるけど、遠くの放送局を選んでも同じ番組を再配信してれば同じ結果が得られるんだよね。
番組のメールアドレスは「――@musicbird.co.jp」、
ハガキの場合は「〒102-8080 東京都千代田区麹町1-7 FMセンタービル4F ミュージックバード『番組名』」とのことだった。
「お便りにはお聞きのラジオ局を明記して」というのが、あくまでも各々のコミュニティラジオ局の番組であることを意識してるのか。
メールアドレスはそんなもんかなぁと思ったのだが、ハガキのあて先を聞いて「これって エフエム東京 じゃないの?」と思ったのだった。
実際、102-8080を調べると、これはエフエム東京を表す郵便番号で(だから千代田区麹町ってのは書かなくてもいいはず)、
FMセンタービルってのはエフエム東京の本社ビルで、そこに同居しているわけだ。
調べてみると、ミュージックバードはエフエム東京の関連会社とのことで、なんとエフエム東京はコミュニティラジオ局にも侵食していたのだ。
エフエム東京(TOKYO FM)自身は東京都域を放送区域とするラジオ局に過ぎない。(ただし、東京タワーから広域に飛ばしてるから近隣府県でも聞けるのだが)
その一方でエフエム東京は全国のFMラジオ局への番組供給の要となっているようである。
テレビだって東京の放送局が全国の放送局に多くの番組を供給しているのだから、それと似たようなことに思える。
ただ、エフエム東京がやってるのはこれだけじゃないんだよね。それがジャパンエフエムネットワーク社による番組製作である。
この会社、エフエム東京を初めとする全国のFMラジオ局が株主で、筆頭株主はエフエム東京、本社はFMセンタービルと。
この会社の主目的はTOKYO FMでは放送しないが、その他の全国のFMラジオ局で放送するための番組を製作することなのだという。
なぜかエフエム東京は関連会社を通じて、自局で放送しない番組を作っているのである。
なぜそういう会社が必要だったのか? 自主番組で埋めきれない放送局同士の放送区域が被ったときに問題が生じるからである。
FMラジオ局は基本的に都道府県単位で、同一ネットワークで完全に放送エリアが被ることはないのだが、
電波は都道府県界を超えて飛んで行きますから、同一ネットワークの放送局が複数聞ける地域では同じ内容の放送局が複数になってしまう。
回避するには自主製作番組で全てを埋めればよいわけだが(例えば埼玉県のNACK5とか、京都府のα-STATIONとかは自主製作番組で埋めている)、
そうはいっても、それに見合った広告収入がないと割に合わないわけである。
そういう問題に対処するため、TOKYO FMを中心とした放送局が全国向けに出している番組群と、ジャパンエフエムネットワーク社制作の番組群を用意したということらしい。
いずれにしても多くは東京のFMセンタービル発の番組ということになる。
これらを適宜選択して、自主製作番組と合わせて、なんとか隣接する放送局との差別化を図りつつやっているというFMラジオ局は多いと。
そして、もう1つ、東京のFMセンター発のラジオ番組群としてミュージックバード コミュニティチャンネル があったわけである。
こちらはあくまでもコミュニティラジオ局向けで、自主番組がない時間帯を埋めるという目的に特化したものだが、
一方で音楽垂れ流しのCS音声放送の枠に収まらず、全国放送のラジオ番組にふさわしいものを作っているように見える。
といっても他の番組を聞いてないからなんとも言えないんだけどね。
コミュニティラジオ局向けだからこそという番組もあるのかね? 全国向けかつコミュニティラジオ向けってのがあまりよくわからないけど。
僕が聞いたって番組はあんまりコミュニティラジオ局向けとは思わなかったが。
余談だが、エフエム東京の関連会社には 東京メトロポリタンテレビジョン(TOKYO MX)もいる。
番組面ではそんなに共通点はないんだと思うんだけど、現在の両社の本社はともに千代田区麹町でごく近所にある。
あと、i-dioも実質的にはエフエム東京が抱えてるから(cf. 未来のラジオは見るものだと思っていた)、
いずれも本業の延長線上ではあるにせよ、けっこういろいろ手を出してるんですね。