先日、ジュンク堂でもらったhontoカードは実店舗では丸善・文教堂でも使えると書いた。
いずれも大日本印刷傘下の書店、特にジュンク堂書店は丸善書店の100%子会社ということで強い提携関係にある。
今日、ニュースを見ていると、来年2月に丸善とジュンク堂が合併するというニュースが流れてきた。
丸善、ジュンク堂を吸収合併 社名は「丸善ジュンク堂書店」に (Yahoo!ニュース
合併後の社名は丸善ジュンク堂書店、ということは合併しても丸善・ジュンク堂の両ブランドは残るということか。
丸善とジュンク堂と言われて思い浮かぶのは、「MARUZEN&ジュンク堂書店」のブランドを冠した店だ。
茶屋町に日本一の売場面積となる書店、「MARUZEN&ジュンク堂書店 梅田店」がオープンしたことは大きく取り上げられた。
丸善なの? ジュンク堂なの? という話だけど、運営会社はジュンク堂書店のようだ。
最近そういう2つのブランドを冠した店ってぽつぽつあるよね。
と言われて、まず思い浮かぶのは大阪駅ノースゲートビルディングの JR大阪三越伊勢丹 だけど……
不振のため百貨店の縮小、専門店への転換が行われることとなったので、現在は改装のため実質閉店中だ。
これは三越なのか伊勢丹なのかという話だけど、ほぼ伊勢丹だったな。
ではなぜ、三越と伊勢丹の両ブランドを冠することとなったのか?
それはもともと三越が高麗橋にあった三越大阪店の移転という名目でノースゲートビルディングへの出店を考えていたから。
三越と伊勢丹の経営統合があり、JRとしては京都駅ビルの JR京都伊勢丹 が成功を収めていたということで、
梅田にある他の百貨店との差別化もあって、伊勢丹色を強く出しつつ(cf. 百貨店戦争の創造と破壊)、
三越大阪店の機能を一定引き継いだ百貨店としてJR大阪三越伊勢丹 が生まれたということらしい。だからあれはほぼ伊勢丹だ。
来年春には百貨店だったところは専門店ビル、LUCUA 1100(イーレ)に転換され、その中に百貨店ゾーンとして isetan が入ることとなっている。
結局こうしてノースゲートビルディングに残ったのは伊勢丹だけで、三越大阪店は完全に消えたのだった。
まぁ元々運営会社の名前からして JR西日本伊勢丹 でしたからね。JR京都伊勢丹を運営していた会社が運営に当たっただけだけど。
とにかくダブルブランドが好きなのが都ホテルだ。
ウェスティン都ホテル京都、シェラトン都ホテル大阪、大阪マリオット都ホテル、シェラトン都ホテル東京 の4つかな。
この名前で言われてもピンとこないけど、ウェスティン都ホテル京都が蹴上にある都ホテルの元祖で、シェラトン都ホテル大阪が上本町のやつで、大阪マリオット都ホテルがあべのハルカスのやつね。
いずれも運営会社はあくまでも近鉄ホテルシステムズ、だから都ホテルだ。最近出来た大阪マリオット都ホテル以外は元は都ホテルのブランドだけだった。
こうして世界的に展開しているホテルのブランドを冠しているのは外国人客の集客を意図してのことらしい。
ウェスティン・シェラトンのブランドが付いている3つのホテルはスターウッドホテル、大阪マリオット都ホテルはマリオットホテルの一覧に記載されて、
共通のWebサイトより予約を行うことができるようになっている。こうして全世界にわたる集客チャネルを手に入れられたわけだ。
実際、ウェスティン都ホテル京都 はダブルブランドになってから、外国人客が急増したらしい。
最近はこういう世界的に展開するホテルが日本にも多く進出してきているが、単独で日本進出してきたことをうかがわせるホテルも多い。
そんな中ではこれらのホテルは完全に都ホテルで、ブランド名だけ借りているというところに特色がある。
そりゃもちろんそれぞれのブランドの基準を満たした上でブランド名を使っているわけだろうけどさ。
他の外資系ホテルの進出と関連づけて、大阪マリオット都ホテルも同様に書かれることがあったが、
運営会社は近鉄100%子会社なのだから純国内資本のホテルで、あくまでも世界的ホテルブランドを冠しているだけだ。
百貨店と百貨店、ホテルとホテル、まぁ普通は同じ業種のブランドを重ねるものだけど、
東京・新宿のビックロはビックカメラとユニクロの両ブランドを付けているということになっている。
いや、あくまでも両店舗は別々に存在してるですけどね。
ビックカメラとしての店舗名は「ビックロ ビックカメラ新宿東口店」、ユニクロとしての店舗名は「ビックロユニクロ新宿東口店」だ。
一応、両店舗の融合を意図しての命名なんですけどね。
最初に書いたジュンク堂と丸善のダブルブランドの意図だが、どちらも書店とはいえ、それぞれ違うところに強みがある。
ジュンク堂はなんでもある書店を追及して、本の品揃えを充実させてきた。
一方の丸善は書店であるとともに、本・文具・雑貨などの輸入販売にも取り組んできた。
だから、丸善の店舗の中には文具専門店なんてものもある。ジュンク堂と丸善の文具専門店を合わせた店もある。
MARUZEN&ジュンク堂書店 はその考えを書店でも表したものなのだろうが、その明確な違いはようわからん。
JR大阪三越伊勢丹にしてもそうだけど、それぞれの特色を取り入れたとは言うものの、元々百貨店なり書店というところでは共通するわけで、
そんな簡単に分けられるもんでもないわな。MARUZEN&ジュンク堂書店はほぼジュンク堂なのではという気はしているけど。