東北地方太平洋沖地震からもうすぐ2年ですか。
被災した地域もところによって復興の度合いも異なるだろうと思うが、
沿岸部はまだまだ厳しいという話を聞いている。
そんな中で長期不通だった気仙沼線の柳津~気仙沼で去年12月からBRTの運行が始まっている。
続いて今年3月から大船渡線の気仙沼~盛が同様にBRTとして運行が開始されることになっている。
鉄道が不通とはいえ、バスでの代行輸送は当然やっていた。
BRTになってなにが変わるのかという話だが、
実はこのバス代行輸送というのは既存の路線バスにJRの定期券・回数券で乗車できるものだったそうだ。
JRがバスを貸しきって代行バスとして走らせてたわけではなかったらしい。
それがJRが直営でバスの運行を行うようになる。これが一番大きな変化だろうか。
運賃は基本的には鉄道時代と同じになっている。
今までと定期券・回数券の人にとってはあまり変化はないが、定期券・回数券を持たない人も鉄道時代の運賃で乗れる。
あと、BRTの運行開始に合わせて新駅が設置された。
気仙沼線ではベイサイドアリーナ駅、大船渡線では長部駅、高田病院駅が設置される。
ベイサイドアリーナ駅は元々代行バスのバス停があったところで、南三陸町役場などが移転していることに対応して設置された。
代行バスの頃から志津川駅と同じ扱いだったそうだが、正式に駅として設置されて、それに伴い運賃が変わったようだ。
Google Mapsで見るとなんかおかしいが。(cf. ベイサイドアリーナ駅 (Google Maps) )
BRTが走るのはよいのだが、気になることがいくつか。
まずBRTというわりには専用道区間がほとんどない。
順次整備していくということなのだろうが、ほとんど一般道を走る。
それじゃあただのバスじゃないかというわけだけど、それで不便はないということなのだろう。
気仙沼線は鉄道のルートに忠実なのだが、大船渡線は鉄道のルートから大きく離れている区間がいくつか存在する。
特にひどいのが鹿折唐桑駅~陸前高田駅の間で、大船渡線は山越えのルートなのに対して、BRTは道路の整備されている海沿いを走る。
長部駅はこの海沿いを走る区間に設けられたもので、もともと鉄道を直接利用できなかった地域にできる駅だということだ。
この区間にある途中駅のうち鹿折唐桑側の上鹿折駅は路線バスでの代行が続くが、
陸前矢作駅・竹駒駅については陸前高田駅側から分岐する支線のような形で運行される。
あと、脇ノ沢駅・小友駅・細浦駅は国道経由で運行されるバスは停車しない。
そんなわけだから1本のバスで全部がつながるわけではなくて、
気仙沼~長部~陸前高田~(国道経由)~盛 と 陸前矢作~陸前高田~小友~盛 の組み合わせ、または、
気仙沼~長部~陸前高田~小友~盛 と 陸前矢作~陸前高田 の組み合わせで運行されるようだ。
あとよくわからないのが鉄道区間と連続して乗車する場合の運賃よな。
BRT区間は鉄道の運賃そのままなのだが、
なぜか鉄道区間と連続して乗車する時の運賃はBRT区間が鉄道だった時代とは違う。
鉄道区間の運賃 + BRT区間の運賃 – 100円 だそうだ。ただし一定区間から出ると100円引きがなくなる。
もっとも定期券はこのようなことはなくて鉄道時代と変わらないようだ。
JRの運賃は途中駅で分けてもそんなに高くならないし、100円の割引がある分、鉄道時代より安くなることも多いのだが、
なぜこんな方法を取ったのかはよくわからない。ただのバス代行輸送とは事情が違うようだ。
よくわからないことは多いのだが、利用者からしてみれば鉄道の安い運賃でバスに乗れるのだからありがたいだろう。
あとBRTの運行開始にあたり増発を行っており、鉄道よりも代行バスよりも本数が多くなっている。
いずれにせよ両路線を鉄道として復旧させるのに多額の費用がかかるのは明らかで、JRとしてもやりたくないことだろう。
BRTの運行もJRにとっては相当な持ち出しだろうと思うが、復旧よりは安く済む方法だろう。
地震の後、沿岸部にあった施設が内陸に移転したりという変化もあっただろうが、バスならそういう変化にも対応できる。
そうして鉄道が運行されない状態が続くとJRがやる必要があるのかという話にもなりかねないのだけどね。
元々赤字路線だったはずだし、線路流されたから撤退というのも別におかしくはないんだよね。
そうならずに済んだのはJRが他の路線でたくさん儲けているからこそなんだよね。そこは忘れてはいけない。