今日はTOEICを受けに行ってた。去年4月のIPテスト以来で、公式テストは2009年10月以来2度目になる。
以前もネタにしたけど、TOEICは11:30~12:20に集合で15:15までやるのだけど、
昼ご飯を食べてから行かないといけないこともあって、2時間の試験のはずなのに一日つぶれるやな試験ですね。
(参考記事 : 午後試験は無駄が多いぞTOEIC!)
ものすごい受験者が多くて驚いた。以前受けたときはここまでではなかった気がするけど、まぁ1月はそうなるわな。
このことでもネタにしようと思ったのだけど、帰りの電車の中で見た広告で面白いことを発見したのでその話を書こうと。
その広告はなんの広告だったのかというと、北大和住宅地の広告ですね。
北大和住宅地は生駒市北部に近鉄不動産などの手で開発された住宅団地で、1989年に換地処分が行われて開発が完了している。
北大和の名前はおそらくここにあった北倭村から取ったものだろう。
生駒市の中心部からは離れていて、奈良市西部の住宅地と連続していることもあって学園前からのバスが主なアクセス手段だった。
そこに2006年けいはんな線が開業して、北大和住宅地に隣接して学研北生駒駅ができた。
ちょうどここに奈良交通の北大和営業所があったのだけど、そこの敷地をけずって駅を作ったようだ。
北大和住宅地に隣接して北大和営業所の土地を削ってできた駅なのに北生駒駅なのは生駒市の要望らしい。どうにも納得いかんが。
ともかくこうして学園前からのバスを使わなくても直接電車に乗れるようになった。
こうして便利になった北大和住宅地だけど、1989年には換地処分を終えて、もうほとんどの宅地に住居が建っている状態で、これ以上の開発が望めるわけでもない。
学研奈良登美ヶ丘駅のあたりはけいはんな線ができるときに駅周辺を区画整理で切り開いたので新しく売る土地があった。
白庭台駅のあたりも南側は未開発だったのでそこを新しく開発して新しく土地を売ることができた。
ところが北大和住宅地は完全に開発が終わっている上に、都市計画で一戸建てしか建てられないし、周辺を新しく開発をする気はないようだ。
ところが、なぜか北大和住宅地の広告が出ていたのである。売る土地あったのか? とおもって広告を読んでみるとこんなことが書いてあった。
一般定期借地権概要:契約時に以下の内容を設定します。●権利/一般定期借地権(賃借権)●借地権の存続期間/70年間●期間中および期間満了後ともに土地の買い取りはできません。●期間満了時の契約更新/なし●賃料/3年毎に見直しのうえ、改定される場合あり●保証金/契約終了後に全額返還(無利息)● 使用目的/居住用一戸建て建物所有のため●建物の買い取り請求はできません。●建物の再築による借地権の存続期間の延長はありません。●契約期間満了時には、借地権者(建物所有者)にて建物を解体し土地を更地にして返還していただきます。●建物の賃貸は可能。ただし、書面による通知が必要です。●建物の売却(譲渡)・借地権の譲渡は可能。ただし書面通知のうえ承諾を得る必要があります。●借地権設定登記はいたします。※近鉄けいはんな線のトンネルが土地の地下に存在します。※奈良生駒高速鉄道(株)の区分地上権が土地に登記されています。
簡単に言えば、近鉄が所有するけいはんな線のトンネルの上の土地を70年間貸しますよということ。
え? トンネルの上って家建ってなかったの? とおもって地図を見てみると確かに。
近鉄はちゃんとトンネルの上の土地を確保していたようだ。ということは近鉄はやる気あったんだな。
ところでこの概要の中で一般定期借地権という言葉と区分地上権という言葉が出てきている。
地上権というのは土地を目的の範囲で使用する権利のことだけど、区分地上権というのは土地の一定の高さ以上または以下と制限をつけた地上権だな。
この場合はけいはんな線の線路を保有する奈良生駒高速鉄道に地下をトンネルのために使う権利を与えているということだ。
地下なのに区分地上権とはこれいかにという話だが、まぁそういうこともある。
区分地上権を与えたことによって、奈良生駒高速鉄道は近鉄の所有する土地の地下に線路を引くことができた。
地下鉄建設においてはカーブ部分でこうして土地を確保するという方法が行われるようである。
ただ、当たり前だけど、土地の所有者と合意しないと地上権を設定することはできないから立ち退きはいらないにせよめんどくさい。
そして一般定期借地権だが、その前に借地権という言葉である。
借地権は賃貸借契約に基づいて土地を使用する権利ですね。
ん? 地上権と似てないか? と思った人がいるかもしれないが、本科5年のときの法学の授業のことを思い出した。
ノートを見返してみるとこんなことがメモしてあった。
借地は永小作権・地上権のように物権でもできるが借り主の権利が大きくなるのであまり用いられない
しかし、賃借人の地位安定のため宅地・家屋・農地の賃借権は不動産賃借権の物権化が行われほぼ物権に近づいた(借地借家法、農地法)
まぁだからほぼ一緒という見方はそんなに間違ってない。
けど根本的には地上権は第三者にでも主張できる物権なのに対して、賃借権は本来は賃貸人・賃借人の間でだけ通じて、第三者には主張できない。
けどそれじゃあ土地の所有者が変わってしまったら出て行けとなりかねない。住居や農地でそれは問題なので不動産賃借権の物権化が行われたと。
確かにそういうこと言ってたな。
一般定期借地権はその借地権の中でも特に期間を定めて、その期間が過ぎたら更地にして出て行くというタイプのもの。
例外を除いて最低50年間という決まりがあるから、50年が一般的なようだが、ここでは70年間にしている。
近鉄はこれについて若くして家を手にしても老後まで過ごせる、建て替えも可能であると主張している。
近鉄からすれば、住宅団地の中でトンネル用地を空き地にしておくのはもったいないけど、かといって売るとトラブルになりかねない、
と考えて土地は近鉄が保有し、これを一般定期借地権で新しく家を手にする人に貸すという方法をとることにしたのだと思う。
こういうやり方もあるんだなと感心した。
ちなみにけいはんな線の他のトンネルの住宅団地にかかっている部分だが、白庭台にあって、
そこにはローレルスクエア白庭台という近鉄が所有する集合住宅が建っている。
近鉄が建物を建ててしまうというのが一番簡単な解決法だけど、都市計画で一戸建てしか建てられない北大和住宅地では難しかったということだろう。
まぁしかし住宅地の中でトンネルを掘るというのはかなり大変なことだったようで、真上の土地はあってもやはり振動や騒音は周囲に伝わってしまう。
まだ振動や騒音だけで済めばよいが、地盤沈下も起きかねないことだけにいろいろ工夫をしたようである。開発済みのところに線路を引くというのはやさしくない。