通り名で表す住所

電車に乗ってたら京都の四条河原町にマルイができるよという広告があった。

もともと阪急百貨店だったところだな。


四条河原町といわれてなんのことかわかるだろうか。まぁわかる人は多いと思うが。

四条通と河原町通の交差点のことですね。京都ではこんな言い方をする。

だいたい南北方向の通りの名前と東西方向の通りの名前を連ねて言うが、

四条通は大変重要な通りだからか、東西方向にあるのに先に出てきてる。

この交差点の下に阪急河原町駅が埋まってる。だからもともと阪急百貨店があったんだね。


都市では交差点の名前とバス停の名前・駅の名前は一緒であることが多い。

バス停については四条河原町バス停なのであまり問題ではないが、駅名は単に河原町駅。

これぐらいならそんなもんかなとも思うのだが、もうちょっと西に行くと四条烏丸交差点がある。

そこには阪急烏丸駅と地下鉄烏丸線の四条駅が埋まってる。なんかおかしい。

種明かしをすれば、阪急は四条通の下を通っているので、四条通と交差する通りの名前を駅名にしてる。

烏丸線は烏丸通の下を通っているので、烏丸通と交差する通りの名前を駅名にしてる。

しかし紛らわしいな。かといって四条河原町・四条烏丸・四条大宮……と駅が並んでたらうっとうしいが。

けどバスはそうだし、路面電車もそうだったんだから別に悪くはないと思うけどね。


まぁそれはともかく、通り名を使って地名を表すことが多い京都では住所表記にも通り名を使う。

よく例に出される京都市役所の住所は「京都市中京区寺町通御池上る上本能寺前町488番地」と表す。

ここの「寺町通御池上る」の部分が京都の都心部特有の表記かな。

普通は「奈良市登大路町30番地」のように行政区分の次に町名が来るからね。

この意味だが、寺町通に面していて御池通との交差点から北に行ったところだよという意味ね。

上るというのは北に行く、下るというのは南に行くという意味だが、まぁ地図を見てうっかり言ってしまう人も多いだろう。


ここでああそうですねと納得してしまうところだが、ちょっとおかしいことに気付いた。

京都市役所のところを地図で見てみると、玄関は御池通側にある。なのに住所は寺町通にあることになってる。

どうもかつては玄関が寺町通側にあったようなのだが、ようわからん。

もし御池通に面しているとするなら 御池通寺町東入 になりそうだ。

しかしこの場所は寺町御池交差点の東側と言えるとともに、河原町御池交差点の西側とも言える。

それなら 御池通河原町西入 でもよさそうだ。

南北方向の通りに面していれば、北側の交差点から下ったところだと言うか、南側の交差点から上がったところというかはどちらも考えられる。

そんなことからも分かるとおり、この通り名の表記は一意に決まるわけではない。


しかし、こんななんとでもなりそうな表記も住所に入れて公的な書類でも表記されるという。

なぜかというと同じ名前の町名が複数存在することがあるそうで、はっきり示すためにはやはり通り名が欠かせないと。

あと町域が細かすぎて、町名がよくわからないので通り名で書く方がわかりやすいという事情もあるそうだ。


しかしそれは不便だと考えたのは当時の郵政省。

7桁郵便番号導入のときに同じ町名が複数ある場合も含めて町ごとに郵便番号を振ることにした。

そのため当時配られた郵便番号帳の京都市の都心部の記載は恐ろしいものがあった。

郵便番号検索:京都市中京区 (日本郵便)

見ると多くの町で通り名が括弧書きで書かれてますね。

さらに郵便番号帳には付録として京都の都心部の地図が載っていて、そこに同じ名前が複数ある町の位置と郵便番号が示されていた。

この地図をみて、この通りのこのへんの○○町だからと調べられるのだろう。


こうやって通り名によらずに町名を一意に決めることができる方法ができたわけだ。

最近は地図で郵便番号から住所検索もできるので、通り名によらずとも場所ははっきりわかる。

京都の事情に詳しくない人にも便利なのは間違えない。

ただ、やはり先にも書いたとおり、京都の都心部では通り名でなにかと表すことが多い。

そういう意味ではこの通り名による表記は非常に有用だという話になる。

まぁそこらへんは7桁郵便番号ができても変わらんのかなと思うところ。