NGワードなんていらない

前に東京都の条例に「リフレ」の定義があるという話を書いた。

風俗営業ですらない

これは「特定異性接客営業等の規制に関する条例」によるもので、

当時問題になっていた「JKビジネス」を規制する条例である。


改めて調べてわかったのだが、この手の規制で一番古いのは愛知県らしい。

青少年保護育成条例の中で「有害役務営業」と規定されている。

有害というのは18歳未満の従事・立入に有害ということであろう。

この用語は同様の方法で条例化をした府県でもみられる。

業種という点では東京都と大差ないが、その中で対象となる条件は少し違うようである。


東京都の条例では 特定異性接客営業 と 特定衣類着用飲食店営業 を定めている。

特定異性接客営業 は指定の業種で「青少年が客に接する業務に従事していることを明示し、若しくは連想させるもの」のことで、

具体的には「JK」など規則で定められた文言を名称や宣伝に利用しているとか、

学校で着用する制服、体操着を着用するとか宣伝に使うことを指している。

業種としてはリフレ、見学、散歩、コミュ、カフェを想定した5つが規定されている。

特定衣類着用飲食店営業 は「水着、下着」などを着用し「客の性的好奇心をそそるおそれがある」飲食店である。

ある種のガールズバーを想定した規定ですね。


一方の大阪府の条例を見てみると、東京都条例でみられたような名称・宣伝に使う用語みたいな規定がなく、

「次のいずれかに掲げる営業であって、客の性的好奇心をそそるおそれがあるもの」となっている。

コミュを想定した規定は「専ら異性の客に、営業に従事する者との会話の機会を提供し、又は営業に従事する者と遊興をさせる営業」

ということで東京都条例の「専ら異性の客の接待をする役務」とは異なるが、

これだと接待飲食店の定義とあまり変わらないので、接待とまで言えなくてもという趣旨を明示したのだろう。


カフェやバーを想定した規定ではこのような制約が付いている。

客に接する業務に従事する者に、水着、下着その他肌の露出部分が著しく大きい服装をさせ、又は着衣内の下着を客が見ることができるような姿態をさせるもの

こちらは東京都に比べると適用範囲は限られるようにも思えるが、

「肌の露出部分が著しく大きい」ものは逃れられない仕組みでもある。

なお、大阪府条例では風俗営業・性風俗特殊営業・特定遊興飲食店営業も含めて規制対象になっている。

これらの業種はもともと18歳未満の従事・立入禁止されていることが多いが、

特定遊興飲食店は深夜帯に限られているので、そこを補完する意味もあるようだ。


どちらにも共通するが、規定された業種の中でも真っ当なものまで規制するのは避けたいと。

リフレは真っ当にマッサージ店が該当する可能性は否定できないし、

カフェを想定した理由は普通の飲食店も入りうる話ではある。

東京都はその中で青少年を連想させるものに限っている。

18歳未満の従事・立入禁止だけでなく、風俗営業に類似した立地規制や届出義務がある。

大阪府は「客の性的好奇心をそそるおそれ」があるだけでよい。

規制範囲は広いと言えそうだが、曖昧だと取り締まりが難しい面もある。

その代わり立地規制や届出義務はない。これは東京都条例の特定衣類着用飲食店営業に類似している。


東京都条例の規定はNGワードなど使わなければ逃れられるのでザルな気もしますが。

実は今回、この話を思い出した理由は風俗営業の新たな規制によるものである。

主にホストクラブの問題に対処する規定である。

で、その中で昔から存在した「清浄な風俗環境を害するおそれのある方法で広告又は宣伝をしてはならない」という規定で、

過度に遊興・飲食する意欲をそそるとか、過度な競争意識を生じさせるものも禁止する通達が出た。

接待飲食営業における広告及び宣伝の取扱いについて(通達)(pdf) (警察庁)

ここにはいくつかのNGワードが書かれている。

「○億円プレイヤー」、「○○を推せ」、営業成績上位を推認させる「神」など。

このため、これらのワードを塗りつぶすなどの対応が行われたという。

あくまでもこの通達は例示なので同様の趣旨であれば取り締まり対象であろう。


これを見て、東京都のJKビジネス規制に似ているなと思ったわけだが、

他府県だとこのあたりの事情も違って用語を使うとという話ではなかったと。

大阪府条例は愛知県・東京都の条例を参考にいろいろ検討して作られたようで、

穴をできるだけ小さくするために風俗営業なども規制対象から除外しなかったという。

非常に限られた範囲の話なんですけどね。


こうすると今後は全国的な規制へという話も考えられる。

撮影罪は都道府県の条例で規制が進む中で制定されたものでしたね。

撮影罪は何を禁止している

不同意わいせつ罪や児童ポルノ禁止法に類似した規定を持っており、

盗撮に限らず、撮影場所も問わず、撮影後のデータの提供・保管・送信も取り締まり対象である。

ただし、従来の都道府県レベルの条例ではしばしば規制対象だった、

水着であったり、露出の多い衣装の盗撮は対象にはならない。

このあたりは厳密な規定が難しいことも考慮されたのだろう。


風俗営業・性風俗特殊営業でカバーできない部分に18歳未満の保護という観点については類似する規制をするのは、

わりと納得感がありそうで、その対象が5業種なのはある程度実態にあっているのだろう。

実際、これらの規定も風俗営業・性風俗特殊営業の定義を見たんだろうなという部分はある。

その中で東京都条例のような用語を採用するかというと、それはないんじゃないかなぁという気がする。