2024年のJRA賞の受賞馬が発表された。
「2024年度JRA賞」決定!年度代表馬はドウデュース! (JRA)
気になっていたのは最優秀3歳牡馬の行方だったのだが、
結果は日本ダービーを優勝したダノンデサイル、普通はそうか。
JRA賞の競走馬部門には 最優秀2歳牡馬・最優秀2歳牝馬・最優秀3歳牡馬・最優秀3歳牝馬・最優秀4歳以上牡馬・最優秀4歳以上牝馬
最優秀スプリンター・最優秀マイラー・最優秀ダートホース・最優秀障害馬、そして年度代表馬がある。
だいたいは各部門のJRA G1の優勝馬から選ばれるわけで、
最優秀2歳牝馬はほぼ阪神ジュベナイルフィリーズの優勝馬だし、
最優秀障害馬は中山グランドジャンプ・中山大障害のどちらかの優勝馬になる。両方勝てば当確だな。
ところでJRA賞の選考対象となるレースなのだが、このように規定されている。
JRA賞のルールブックを読んでみた 競走馬部門編 (百々書き置き場)
JRA所属馬はJRAの全レース、地方開催のダートグレード競走、外国の重賞(G1~G3)、
地方所属・外国所属馬はJRAの全レースとなっている。
このためJRA所属馬についてはJRAのレース以外での成績だけで評価してもかまわない。
とはいえ、やはりJRAのレースが重視されることは間違えない。
最優秀スプリンターは1400m未満、最優秀マイラーは1400~1600mのレース結果で決めることになっているので、
1400mの阪神カップの結果が反映されるのは最優秀マイラーである。そうなの? と思うけど。
最優秀3歳牡馬・牝馬、4歳以上牡馬・牝馬、そして年度代表馬の選定には傾向があり、
日本国内の古馬三冠と言われる天皇賞(秋)・ジャパンカップ・有馬記念のうち2つ以上勝てば年度代表馬を受賞する可能性が高くなります。
最重要なのが秋の中長距離G1の3つだということである。
これを勝つと日本競馬のチャンピオンにふさわしいということである。
なので、天皇賞(秋)・ジャパンカップを勝ったドウデュースはそれだけで最優秀4歳以上牡馬は当確、年度代表馬も最有力だった。
皐月賞・ダービーと2着も天皇賞(秋)・有馬記念と勝ったイクイノックスが最優秀3歳牡馬・年度代表馬になったように、
3歳戦よりも秋の古馬戦という傾向はかなり強い。
実績馬でも5歳ぐらいまで現役を続けることが多い日本競馬ではまさにチャンピオンが評価されるのだろう。
最優秀ダートホースについてはJRAのダートG1(チャンピオンズカップとフェブラリーステークス)の結果が特に重視される。
ダートについてはJRA所属でも地方開催のダートグレード競走が主戦場という馬も多いし、
ドバイワールドカップデーやブリーダーズカップなどの外国の有力レースを中心にスケジュールを立てるものもいる。
JRA所属馬にはこれらのレースだけで結果を出した馬に賞を与えてもよいのだけど、
やはりJRA賞なのでJRAのレースで結果を出した馬が重視されると。
特に今年はチャンピオンズカップを勝ったレモンポップが、
さきたま杯・南部杯と地方開催のG1級レースを2勝しており、合わせ技で最優秀ダートホースは堅いとみていた。
今年の場合、問題は最優秀3歳牡馬だとみていた。
最優秀3歳牡馬の選定で重視されるのは当然クラシック三冠、そして秋三冠である。
とはいえ、それ以外の活躍馬を最優秀3歳牡馬に選ぶこともできて、
この観点で浮かび上がるのがフォーエバーヤングである。
東京大賞典(GI)・ジャパンダートクラシック(JpnI)・UAEダービー(G2)・サウジダービー(G3)と重賞4勝、
ケンタッキーダービーとBCクラシックで3着2回とダート競馬の世界チャンピオンに迫った馬である。
問題はJRA未出走であることと、ダートでの戦績であること。
とはいえダートでの戦績を芝での戦績に置き換えてみればすさまじい結果で、
東京大賞典は芝で言えば有馬記念のような秋のチャンピオン決定戦だし、
ジャパンダートクラシックは芝で言えば菊花賞の位置づけだが、メンバーの充実度は三冠の中で一番だし、
UAEダービーはG2だが、ケンタッキーダービーの前哨戦と考えれば皐月賞に近いかも知れない。
BCクラシックは芝なら凱旋門賞とかジャパンカップのような世界チャンピオン決定戦だろう。
これは最優秀3歳牡馬になってもいいんじゃないかと思っていた。
ただ、一方で芝中長距離ではないというところが気になるところで、
これは最優秀○歳牡馬・牝馬というのは暗黙的に芝中長距離の活躍馬を表彰するものだという説もある。
確かに過去にさかのぼってみると2013年にロードカナロアが年度代表馬になっている。
マイル以下、特に高松宮記念・スプリンターズステークス・香港スプリントと1200mのG1を3勝したことが評価され、
香港スプリントは香港勢が強いレースであり、そこで勝ったことは歴史に残る快挙である。
というので、当時の最優秀短距離馬をあわせて受賞するのは当然としても、
最優秀4歳以上牡馬には選ばれず(かなり票は集めたが)、こちらはオルフェーヴル(有馬記念優勝・凱旋門賞2着)が受賞している。
年度代表馬なのに4歳以上牡馬を代表しないというちょっと奇妙な結果になっている。
フォーエバーヤングについて、最優秀ダートホースとしても評価に値するという声はあるも、
さっきもあったようにこの部門ではレモンポップが最有力という状況である。
一方の最優秀3歳牡馬については、G1級を2勝以上したのはフォーエバーヤングだけである。
とはいえクラシック三冠・秋三冠に目を向けてみるとダノンデサイルの活躍も悪くなく、
クラシック三冠の中で最重視される日本ダービーを優勝、そして有馬記念で3着と一定の結果を出した。
とはいえ有馬記念を勝ってはいないので、東京大賞典を勝ったフォーエバーヤングの方が評価すべきという考えはある。
問題は芝中長距離でないことだけだったんじゃないかと思う。
で結果は冒頭にも書いたようにダノンデサイルが最優秀3歳牡馬となっている。
ダノンデサイル144票・フォーエバーヤング103票とかなり割れたようである。
ジャスティンミラノ(皐月賞優勝・ダービー2着)もあるかと思ったがわずか8票、
屈腱炎のためダービーが結果として引退レースになってしまったのが痛かったか。
ここまで票が集まらないのかと思ったが、それだけ秋の結果も重視されているということである。
フォーエバーヤングは最優秀ダートホースでも票を集め、レモンポップ160票に対して90票まで迫っている。
あと、これは最優秀マイラーでソウルラッシュ(マイルチャンピオンシップ優勝・香港マイル2着・安田記念3着)が182票で選定されているが、
次点が安田記念を勝った香港のロマンチックウォリアーで66票となっている。
確かにロマンチックウォリアーは香港のチャンピオンホースであり、
これが日本で結果を出したなら表彰に値するというのはもっともな話である。
ただ、ロマンチックウォリアーでは香港では2000mを中心に走っているので最優秀マイラーには違和感はあるが、
JRA賞の選定では外国馬はJRAのレース以外見ないとすればそれもあるのかもしれない。
対照的にJRA所属のソウルラッシュは香港マイルで加点して最優秀マイラーなんですよね。
そんなフォーエバーヤングも特別賞という形では評価されることになった。
ダートの活躍馬を評価する仕組みはまだ不十分なところはある。
NARグランプリとの関係もある。
最優秀3歳牡馬受賞となれば風穴を開ける結果だったと思うが、
そうはならずとも昨年の日本競馬で大きな話題を生んだ馬であったことは確かである。
今年は早速地元ダービー馬としてサウジカップ・ドバイワールドカップと世界チャンピオンを目指すところから始まる。
頑張って欲しいですね。