パリオリンピックの追加種目、ブレイキン、確か東京のときにも追加種目候補だったはず。
次のロサンゼルスでは追加種目から漏れたので、とりあえずは1回限りである。
でも、今回のパリでの結果次第では正式種目への道も開けるかもしれない。
(柔道も1964年の東京で初実施後、メキシコシティーはやらず、ミュンヘンから現在まで継続して実施されている)
日本からの注目度も高く……でもダンスで競うってどういうこと?
というのでテレビ中継を見ていたのだが、2人の選手が楽曲に合わせて即興で踊って、
それで9人の審判の投票で票数を取った方が勝ちという競技だった。
審判の微妙な判定に揺れる種目が多い中ではあまりに雑なシステムである。
でも、いろいろ話を聞いていると、けっこううまい仕組みのようだ。
というのもブレイキンでは1試合2~3ラウンド、1対1のバトルを何度も繰り返す。
その中で同じような技をやると評価が低くなってしまうのだという。
すなわちブレイキンでトップを争うということは、相当に演技の引き出しが多くなければならない。
その中で演技の完成度とか、舞台への即応性が問われるわけである。
審判の判定尺度はあまり明確ではないことは確かだが、
見応えのある演技を繰り返せるのは相当な実力がなければならないことは理解できる。
なるほど、これがダンスで競うということなのかと。
技を競う種目の代表が体操競技とフィギュアスケートかなと思う。
現在の体操競技はかなり緻密な採点方式を採用していることで知られる。
難易度の高い技を成功できるかどうかというところに左右されるところが大きく、
今回のオリンピックだと男子種目別の鉄棒では落下や着地失敗などが多く、
これはそれだけ難しい技を成功させなければメダルは難しいということである。
そんな中で技の難易度はそこそこに完成度が高かった岡選手が金メダルというのは、意外な結末だったとも言える。
【体操】鉄棒決勝で6/8人がミスの大波乱 落下&転倒でも銅メダル獲得 (日テレNEWS)
でも、基本的には難易度勝負というのが現代の体操競技である。
フィギュアスケートは体操競技に比べれば緩い採点方式とは言える。
基本的な考えは技術点(TES)と演技構成点(PCS)を1:1程度で配分するというもので、
TESは技の難易度を基礎として、GOEと呼ばれる出来映えによる加点・減点がある。
どのように技を並べて、それぞれどれぐらいの完成度を出せるかで決まる。
PCSはコンポジション、プレゼンテーション、スケーティングスキルの3つの尺度で評価する。
滑走全体としての完成度を評価する仕組みも並行してあるのが体操との違いかな?
ただ、これも結局のところ得点が読めるのはTESの部分だと言われている。
特に男子ではPCSの上限問題があり、トップ選手では体操に近い考えになっている。
審判にとってある程度客観的に評価できる尺度があることはよいことである。
ただ、演技全体としての良さを評価していく仕組みとしてはいろいろ難しさがある。
結局は曲芸対決じゃないかと、競技が成熟して行くにつれて問題になる。
そんな中でブレイキンの1対1のバトルを繰り返すという方法は、
1ラウンドごと、審判ごとの判定は非常に揺らぐものであるが、
繰り返し高評価を得るということはそれだけの技があるとは言える仕組みになっていると言えそうだ。
時の運もあるだろうし、非常に競り合う勝負は難しいとは思うんだけど
そんな中で演技をたたえ合う文化もありますからね。
そんなブレイキン、女子の初代オリンピックチャンピオンは日本のAMIだった。
ブレイキン女子 AMI 湯浅亜実が金メダル パリオリンピック (NHK)
男女ともメダル有力候補と言われていたのが日本勢である。
強みは技のバリエーションの多さである。
この辺は体操やフィギュアスケートの日本勢の強みにも通じるところなのかもね。
これも知らなかったのだが、日本におけるブレイキンの聖地というのは川崎市の溝口なんですね。
世界に知られる「ミゾノクチ」、ブレイキン踊るため国内各地から川崎に移住 (読売新聞)
元はアメリカの不良文化、改札前の広場で踊る人が出てきたのが当地に根付いたきっかけである。
それを地域で認められるスポーツに育て上げたのはすごいことだなと思う。
川崎市としても気合いが入っていてパブリックビューイングを実施していたよう。