電子書籍を購入するとき、基本的にはBOOK☆WALKERを選んでいるが、
取扱がないときには楽天Koboを選んでいる。そういうこともある。
でも、その両方で取り扱いが無い電子書籍があった。
電子書籍といってもデジタル版しかないもので、商流が限られているのもそのためかなと思う。
普段使っている2ストア両方で取り扱いが無いなら、どこから選んでも一緒だということで、
出版社直販のストアで買ったのだが、噂によればスクリーンショットができないらしい。
そんなわけで試してみた。
まず、Android版、電源+音量ボタンでスクリーンショットを撮ろうとすると「スクリーンショットの取得は許可されていません」と表示が出る。
サードパーティのアプリでキャプチャしようとすると真っ黒になった。
Windows版もあるので、試してみると、まずPrintScreenキーを押しても反応しない。
Windows Vista以降の標準となったスクリーンショット切り取り用ツール、Snipping Toolを起動しようとすると、起動が拒否される。
カハマルカの瞳でキャプチャを取ると、ダミーの画像がキャプチャされる。
というわけで、確かにスクリーンショットは完全にブロックされている。
こうなってくると、仮想マシンぐらいしか方法が思い浮かばないので、AndroidとWindowsそれぞれ試してみた。
AndroidはBlueStacksというエミュレータ、Androidゲームの動画配信に使われているらしいが、これでやってみた。
BlueStacksを起動すると、その中は完全にAndroidなので、Google Playからアプリをダウンロードすればよい。
それでアプリを起動して、電子書籍をダウンロードすると、普通に表示できた。
あとはBlueStacks上のキャプチャボタンを押すと、あっさりキャプチャ出来てしまった。
Windowsだが、Microsoftは開発者用に35日間限定のWindows 10仮想マシンを提供している。
VMWare用をダウンロードして、VMWare Workstation Playerで起動させれば、無料でWindows 10の仮想マシンを作れる。
Windowsは評価目的、VMWareは非営利という条件付きだが、今回の試験はまさにそうでしょうと。
ちょっと試すだけにはなにかと時間がかかってしまったが、これも仮想マシンの外側からスクリーンショットを取ればキャプチャできた。
そもそも、どうしてこの電子書籍ストアはスクリーンショットに厳しいのかという話だが、
おそらく閲覧できる時間を区切って販売されるコンテンツが多いからだろう。
今回購入した電子書籍は恒久的なものなので(サービスが継続する限りは)ずっと読めるから必要性は薄いのだが、
閲覧できる時間を限定したとしても、何も対策しなければ静止画なので簡単にキャプチャできてしまう。
しかも、自己使用のためにキャプチャすること自体は、著作権法で認められている私的複製の範囲にあたる。
利用規約でも、ウォーターマークを消すことなどは禁止しているが、私的複製までは禁止していない。
スクリーンショットを回避する手段を埋め込んでおきながら、私的複製を禁止しないのは理屈に合わない気がするが、
著作権法の例外規定を公然と否定するのは難しいと考えているのだろう。
Androidについて言えば、外部画面出力ができたとしてもHDCPによってコピー禁止がかかる仕組みになっている。
すなわち、本来はAndroidの画面を外部からキャプチャすることはできないということ。
一方で、Androidは特に禁止されていない限りにおいてはスクリーンショットを撮影することができる。
今回の電子書籍アプリは設定によりスクリーンショットを禁止しているということである。
これが守られていれば、どこにも穴はないはずなのだが、BlueStacksはAndroidの外部(Windows)から画面全体をキャプチャできてしまう。
BlueStacks自体はAndroidのゲームをWindowsでプレイする手段として、大手企業にも広く認知されたツールなのだが……
Windowsについて言えば、このアプリはHDCPを強制していないので、そこが穴になっている。
それはHDCPに対応していないVMWare内のWindowsでアプリが起動できたことからもわかる。
なので、Windows PCの外側からキャプチャすることは、真っ当にやろうと思えばできてしまう。
ただ、WindowsでHDCPを強制させるのは、現実的ではない事情もある。
全てのPCのディスプレイがHDCP対応しているとは限らないから。そもそもアナログ出力だとどうしようもありませんからね。
Blu-ray動画などどうしてもHDCPが必須のものは仕方ないが、たかが電子書籍でHDCP強制はあり得ない。
どうしても汎用PCでコンテンツを保護しようとしても、どこかに穴が出来てしまうんだよね。
家電製品、例えばBlu-rayプレイヤーなら、出力先にHDCPを強制するのは簡単だし、内部をハックするのも難しい。
HDCPで出力されたものを回避して複製する行為は禁止されている。
Androidはコンテンツ保護にはかなり気を遣っているとは思ったのだが、オープンなOSなのでBlueStacksのようなエミュレータは作れる。
BlueStacks自体は悪いものではないが、コンテンツ保護という観点では不十分な点があるのは否定できない。
スクリーンショット禁止というのも難しいもんだなと思った。
その昔、ふと気になってAndroidのBOOK☆WALKERのアプリ上でスクリーンショット操作をしたら、
あっさりキャプチャできて、そういうもんなの? と思ったもんだけど、一般的にはそれで済ませてるんだよね。
違法な複製の温床にもなりかねないのだが、そもそも紙の本なら普通にスキャンできるし、完全に禁止する難しさも知っているのかもしれない。
電子書籍アプリを開けば、恒久的に読めるものを、あえてキャプチャする必要性も乏しいので、
スクリーンショットを撮影されることを必要以上に恐れても仕方ないという考えも成り立つ。
でも、この電子書籍ストアは、閲覧できる期間を区切って販売しているので、スクリーンショットされることはまさに脅威。
動画配信でも似たような売り方があって、似たような問題はあると思うけど、動画をキャプチャするのはそれなりに手間がかかる。
なんとしても回避したいところで、けっこう頑張っているのだが、穴はあるんだよね。
けど、これだけ困難なら、容易には回避出来ないと言ってもよいでしょう。
仮想マシンの外側からキャプチャするなんて、技術的には可能だとしても、普通はやらないことだから。
実験的にやってみたけど、実用上はこれはどうかと思うしね。BlueStacksはそこまで大変ではないけど。