貿易赤字が減る要素なし

EUも結局、日本に似た巨額の投資を行う約束で「トランプ関税」の15%までの引き下げが実現したよう。

トランプ大統領 EUからの輸入品 関税15%で合意したと明らかに (NHK)

ロシアから調達している天然ガスの代替調達という目論見もあり、

アメリカからエネルギーの輸入を大幅に増やす約束をしている。


ところでアメリカが巨額の貿易赤字を計上しているのは明確な理由があって、

それは全世界からアメリカに投資が集まっているからである。

貿易収支・サービス収支・所得収支などからなる経常収支と、投資の出入りを表す金融収支は打ち消し合う関係にある。

近年の日本は所得収支の黒字が大きいため経常収支が黒字だが、これらは外国への投資に向かっている。

その向かう先の1つがアメリカで、日本はアメリカ国債を大量に保有していることが知られる。

アメリカ国債が多く流通していることでUSドルは世界の基軸通貨でいられるわけである。

結果としてアメリカは金融収支での流入を打ち消すように経常収支で赤字を出す必要がある。

しかし、サービス収支も所得収支も黒字、となれば貿易赤字になるしかないんですね。


さて、日本とEUがODAのごとくアメリカに巨額投資をすることになったが、

これは金融収支の資金流入を増加させる向きに働く。

単純に考えればこれは貿易赤字を増やす向きなんですよね。

そうなんですよ。トランプ大統領は貿易赤字に不満を言っているが、

アメリカに世界から投資が集まるということは貿易赤字につながるんですよね。

貿易赤字の削減を目的とするなら悪手である。


一方でほとんどの輸入品に高率の関税が課税されるわけである。

その分は輸入品の価格に最終的には反映される形になる。

このためアメリカは物価高に見舞われることが予測されている。

輸入を減らせばこの影響は軽減できることは確かである。

現実的に難しいとは思うのだが、実際にこれで貿易赤字が減ったと仮定する。

すると金融収支での資金流入を減らす必要がある。

となれば国債などをアメリカ国内で消化する必要が出てくる。

今までは外国の投資家に消化してもらっていたアメリカ国債、

国内での消化割合を増やすには金利上昇は避けられない。


実際にどうなるか見通せないところはあるが、物価上昇と金利上昇は避けられないだろう。

今でも金利が高くてトランプさんは不平を言っているけど、

とても金利を下げられる状況にないのはこの通り。

そういう中でもトランプ大統領の考える重要分野にはじゃぶじゃぶ資金が投入されるのである。

かなり不平が起きそうな予感はしますけどね。


貿易赤字の削減というのは必ずしも目標にはないと信じたいところですが。

しかし、どういう形になるんでしょうね。

結局はインフレで高関税は持たないのでは? という読みはある。

しかし、そう簡単に引っ込めるとも思えないんだよな。