ご当地ダービーはなくならない

昨年、地方競馬のダービーシリーズをやっていた頃、

来年から大井のダート三冠が始まるため、ダービーシリーズは今年が最後になること。

また、東京ダービー以外の「ダービー」とついたレースがなくなることが話題になった。

ヨーロピアンスタイルの3歳ダート三冠

ダービーシリーズが終わるのはそうだろうと思っていたが、ご当地ダービーがなくなるのは意外だった。


もっとも名称変更して同様のレースを継続する可能性は否定されてなかった。

このようなこともあり昨年の2歳世代で「兵庫ダービーを目標に――」なんていうことも公然と言われていた。

ところでJRAは1月はじまりの年度で様々な事項が発表されるのだが、

地方競馬では地方公共団体の年度と同じで4月はじまりの年度で考える。

このためJRAと地方競馬では開催日程の発表時期がずれるのが常だった。

南関東では今年から1月はじまりで年間スケジュールを出すようになったが。


そんなわけで来年のご当地ダービーはどうなるんだろうと気になっていたが、

現時点で門別(昨年中に変更点の概要が馬主その他関係者に配布されている)と、

兵庫(例年12月に翌年度4~12月分のスケジュールを発表する)は判明した。

結論から言えば、どちらも従来のダービーに相当するレースは残るという。

ただ、全体的な位置づけは変わるように思える。


門別については越冬する3歳馬向けの手当を充実させることと、3歳重賞の賞金増額・追加を行うとのこと。

というのも、従来は2歳時に門別でデビューして有力馬は南関東に移籍するものが多かったが、

新しいダート三冠は中央・地方全国交流競走、門別所属でも参戦できるのだ。

昨年から設けられた在厩3歳馬手当を一定の条件を満たす馬では増額、

遠征馬への奨励金、輸送費に足が出る場合の補助金も用意した。

3歳重賞の充実では3冠レースのうち 北海優駿と王冠賞の賞金を増額、

詳細は明かされていないが3歳牝馬重賞も追加するとのこと。

あと「全日本的なダート競走の体系整備」ですでに示されていたが、

交流重賞の北海道スプリントカップが3歳限定になり、賞金も増額される。

4歳以上馬に比べると持ち賞金で不利な3歳馬に賞金加算の機会を与えるための3歳戦化だが、

門別にとっては3歳重賞の充実の一環として捉えているようである。


もともと北海優駿(ダービー)という表記だったが、ダービーの副名称が外れるのだろう。

特に変わらないばかりか賞金増額というのは驚いたが。

門別所属のまま大井のダート三冠へ向かう道は示しつつも、

現実には地元のレースで稼ぐための方策も示したということなんだろうな。

なお、北斗盃・北海優駿・王冠賞はいずれも地方全国交流競走である。


兵庫(園田・姫路)についてだが、

すでに4月末の兵庫チャンピオンシップ(JpnII・3歳限定)が1870mから1400mとなることが発表されていた。

ダートの3歳短距離王決定戦となり、将来的にはG1級の格付けになるべきと考えられている。

従来は兵庫の三冠レースの1つだったが、位置づけが大きく変わることとなる。

なのでここは変化が大きそうだと思ったが、意外に変化は少なかった。

同時期に東京ダービーの指定レース「西日本クラシック」が追加されたからである。

そして兵庫ダービーは7月上旬に後ろ倒しとなり「兵庫優駿」というレース名に。

東京ダービーからも転戦可能としたことで、全国的なレース体系との整合をとったという体ではないか。

どちらもレースの命名は雑な気がするけど。


どちらかというと変化が大きかったのが古馬戦のようで、

5月頭の兵庫大賞典が1870m→1400m、6月上旬の六甲盃が2400m→1870mとそれぞれ短縮される。

大半のレースが1400mなのに、1400mの重賞は意外に少なく、兵庫大賞典はその観点での短縮だったんだろう。

ただ、チャンピオン決定戦にふさわしいのは1870mという思いを持つファンも多いよう。

その巻き添えを食らったか、年間唯一の2400m戦だった六甲盃が1870mに。

まだ明らかではない部分もあるが、園田の2400m戦はなくなるのではと。


この変更はそれぞれ、さきたま杯(今年からJpnI)と帝王賞(JpnI)を意識したものでは?という指摘が。

地元重賞と全国チャンピオンを両立できる可能性を持たせていると。

それが現実的なのかという話はあると思うんですけどね。

ただ、昨年、兵庫所属のイグナイターがJBCスプリントを優勝し、

兵庫から全国チャンピオンというのもあり得ることを示したわけですよね。


とはいえ、今のところは馬主・厩舎関係者の反応は鈍そう。

というのが昨年11月の兵庫ジュニアグランプリのことなんですけどね。

兵庫ジュニアグランプリは1400mの2歳限定JpnII、

来年からのレース体系を考えれば兵庫チャンピオンシップにつながるレースとなる。

さらに前哨戦として各地の地方競馬で「ネクストスター」と付けた地元馬限定のレースが行われ、

兵庫でも「ネクストスター園田」として10月下旬に行われた。

しかし、フタを開けて見れば兵庫ジュニアグランプリには

ネクストスター門別・名古屋の上位馬はいたが、ネクストスター園田からの馬はいなかった。

なぜか? 全日本2歳優駿(川崎1600m・JpnI)に向かったわけでもない。

ネクストスター園田の上位馬は年末の園田ジュニアカップ(1700m)を目指したためである。

兵庫ダービーあらためて兵庫優駿を見据えた結果なのだと思うが、

これでは来年の兵庫チャンピオンシップもどうなることやら。


これは別に兵庫に限った話でもなさそうである。

年末の東京大賞典にしてもJRA7頭と南関東2頭で9頭と寂しかった。

かしわ記念と川崎マイラーズが同時期(今年から解消)というような明確な不備はないが、

地元重賞とダートグレード競走の関係を意識したところで、その通りに転戦してくれないと。

それだけ地元重賞の賞金が高いってことなんですが。


あと、六甲盃の距離短縮についてだが、南関東ではすでにこういう短縮が多く行われていて、

実は東京大賞典も1962~1988年は3000m、1989~1997年は2800mだったという。

交流重賞化もあり東京大賞典は帝王賞と同じ2000mに短縮されたわけである。

かつては大井には2000m超の重賞がいくつもあったのだが多くは短縮、

現在は東京記念(2400m)と金盃(2600m)の2レースが残るのみである。

東京記念については来年から格付けがSI→SIIと格下げ、すなわち賞金減額であろう。


ダートで2100m超(SMILE区分のL・E)のレースは世界的に見ても少なく、

有名なのはアメリカの3冠最終戦、ベルモントステークス(2400m)程度か。

日本国内のダートグレード競走でもダイオライト記念(2400m)のみ。

新しいダート三冠を考えるにあたり、菊花賞(芝3000m)やベルモントステークスのことは意識したと思うが、

前身となったレースの距離を継承し、1800m・2000m・2000mとなった。

2100m超のレースをやってもつながる先に乏しいのが実情なのだと思う。


他の主催者はまだ情報が上がってませんけど、どうなんでしょうね。

ただ、3歳重賞の充実とか短距離重賞の充実というのはわりと共通的な気がする。

3歳重賞の充実という目的では従来のダービー相当のレースは結局残るんだろう。

それが悪いわけではないが、ダートグレード競走の充実に水を差さないか。

表向きはダートグレード競走との関係性を意識していても、実態が伴わなければ意味は無いですからね。