研究室で銀行の話になったときに、指導教員が高金利の定期預金を求めて銀行をさまよっていた時期の話をしていて、
「けど、定期預金って金利が高いといっても知れてるでしょ」と言うと、
「確かにそうだ。9割は定期預金で持っているが、1割でFXやってる方がよっぽど稼いでいる」と言う。
「FXで稼ぐというのも危うい話だと思いますが」と返すと「FXの利益の半分はスワップポイントだからねぇ」と言う。
そういや、オーストラリアドルやニュージーランドドルを買ってるって言ってたなぁ。
FXでは持っているポジションに応じてスワップポイントの受け渡しが発生する。
スワップポイントというのは金利差を調整するお金のことだ。
FXで円を売ってオーストラリアドルを買うということは、言うならば円を借りてオーストラリアドルを預けているということだ。
このとき円を借りる金利を支払い、オーストラリアドルを預けたときの金利を受け取ることになる。
今は円とオーストラリアドルの金利を比べるとオーストラリアドルの方が金利が高いから、
このポジションを持っていると金利差相当のスワップポイント1日単位で計算して受けとることになる。
これでかなり儲かっているのだという。
レバレッジ10倍のコースで、実際には保証金の3倍程度の円を売り外貨を買っているのだという。
それなら円定期預金を減らして、FXで積んでいる保証金の3倍ぐらいの外貨預金をするのと一緒ではないか?
確かに理論的にはそれでいいはずだが、実際にはいろいろな事情でFXでスワップポイントを稼ぐ方が有利なのだろう。
まず、スワップポイントがどれぐらいかという話だが、SBI証券のFXで円を売ってオーストラリアドルを買うと1取引単位で1週間あたり525円受け取ることになるそうだ。
1取引単位というのはオーストラリアドルだと1万ドル、すなわち956000円程度だ。すなわち金利差は年利2.8%ぐらい。なるほど。
住信SBIネット銀行でオーストラリアドルの外貨預金を見ると普通預金で1.5%、定期預金(3ヶ月・6ヶ月)で2.6%だから、普通預金よりはかなり良い。
SBI証券の外貨MMF(1日単位で分配金を計算する投資信託)で見てもオーストラリアドルは2.075%だから、確かにFXのスワップポイントはいい。
もう1つメリットがあるとすれば為替コストだろう。
住信SBIネット銀行ではオーストラリアドルの売り買いには1ドルあたり40銭の為替手数料がかかる。これでも安いんだけどね。
それがSBI証券のFXだとスプレッド(売買のレート差)が1ドルあたり1.8~2.2銭、片道だとこの半額だから0.9~1.1銭という計算になる。
1万オーストラリアドル売り買いするときの片道の為替コストは、1ドルあたり40銭だと4000円、1銭だと100円だから大違いだ。
為替コストが安いので機動的に売り買いできる点もFXの優れているところなのだろう。
あと、為替差益の課税方法も違うね。外貨預金の売り買いのときに出た為替差益は雑所得として総合課税される。
一方、FXは店頭FXでも20%の分離課税だ。どっちがお得かは人にもよるが。
そんなわけで外貨預金的にFXを使っておられるわけだけど、ここで気になることがある。
外貨預金は確かに金利がよいが、為替レートの変動リスクを負っている。
金利差で稼いだ分以上に買っていた通貨が下落してしまうと損をしてしまうことになる。このリスクというのは十分考えられる。
為替レートというのは金利差を打ち消すように動くという説があって、これを金利平価説というそうだ。
円に対してオーストラリアドルの方が金利が高いのなら、時間の経過につれてオーストラリアドルは安くなって、金利差を打ち消すはずだというのだ。
だから、金利差で儲けようという試みは失敗するはずだというのだけど……実際にはそうでもないよね。むしろ逆だったりする。
このことについて調べてみると、円キャリートレードのように低金利の通貨を借りて、高金利の通貨で儲けようというするからこうなるのかもしれないのだという。
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みんなで低金利の通貨を売って高金利の通貨を買うから、金利平価説だと安くなるはずの高金利の通貨が高くなるのだという。
けど、低金利の通貨を借りてる以上はどっかでそれを返すために、高金利の通貨を売る必要が出てくる。
一旦、低金利の通貨が高くなると、一気にキャリートレードの巻き戻しが起きるので、そのときには低金利の通貨が暴騰すると。
だから短期的には金利差でも為替レートの変化でも儲けられるけど、長期的には怪しいと。
だからこそ機動的に売り買いできるFXで為替レートでの損益をコントロールすることに意義があるんだろうけど。
金利にまつわる不思議な話はいろいろある。
僕は「エマージング・ソブリン・オープン(為替ヘッジあり)」という投資信託を持っている。
これは外国の債券に投資しているのに、為替ヘッジにより為替レートの変化を打ち消すようにしてある。
為替レートの変化によらず、わりと安定して稼げているのだけど、一体どういう仕掛けなのだろうか?
外貨を買うと、金利差が生じる代わり、為替レートの変動を受け、金利平価説によれば金利差を打ち消すように動くはずだと。
為替ヘッジはこの逆だ。金利差の受け渡しが生じる代わり、為替レートの変動を打ち消すことができると。
じゃあなんで金利差は為替ヘッジで消えるのに、わざわざ為替ヘッジして外国の債券を買うのか?
それは投資対象がアメリカドルやユーロ建てで発行される新興国の債券だから、アメリカドルやユーロの短期金利より高いからだね。
新興国の債券はやはり信用リスクが高いので、その分、アメリカドルやユーロの短期金利よりもかなり上乗せされていると。
その金利差で儲けるというのが為替ヘッジ付きの投資信託だったわけだ。
円と投資対象の債券の金利差ではなく、アメリカドルやユーロの短期金利と対象の債券の金利差で儲けると。
こうすれば為替リスクは消え、対象の債券の信用リスクやアメリカドルやユーロの金利変動リスクを負うだけで済むと。
アメリカやヨーロッパの人がそこの通貨で発行されている新興国債券を買うのと同じことができるわけだ。
片や金利差のために為替リスクを取り、片や為替リスクのため金利差を捨てる。
通貨を越える上で肝心なのは金利差なんですね。
通貨間の金利差で稼ぐことの是非はともかく、外貨との金利差を得る方法としてFXはなにかと有利なことは事実のようだ。