ライセンスの切れ目が製品の切れ目

職場で定時後・残業前の休憩時間にチップスターを食べている人がいた。

その人が、「そういえばヤマザキナビスコが社名変更したんだって」と言っていた。

確かに新聞に「ヤマザキビスケット」という新社名を宣伝する広告が出ていたな。


調べたところ、ヤマザキナビスコ は日本初のアメリカとの合弁会社だったそう。

ただし、後にアメリカのナビスコ社の持分はなくなっており、日本の山崎製パンと双日の資本だけになっている。

ヤマザキナビスコはナビスコ社のブランド名を使って商売をしていたのだが、このたびライセンス契約が切れることになった。

そのため、社名変更してヤマザキビスケットとなったわけである。略してYBCと。


チップスター や エアリアル はヤマザキナビスコの自社ブランドなので、これによる変更は何もない。

ただ、ナビスコからライセンスを受けて製造・販売していた リッツ、オレオ、プレミアム などは製造できなくなる。

これに伴い、YBCでは新製品として ルヴァン、ルヴァンクラシック を発売した。

聞くところによると、ルヴァン は リッツ、ルヴァンクラシック は プレミアム の後継商品のような扱いらしい。

YBCは名実共に自社ブランドとなったルヴァンを抱えて、日本以外での売り込みをしていきたいとの考えだそう。


一方のナビスコは日本撤退というわけではなく、

親会社のモンテリーズの子会社、モンテリーズ・ジャパン を通じてナビスコ製品の販売を行う。

ただし、日本国内での生産ではなく、外国からの輸入販売となるとのこと。

リッツとプレミアムについてはYBCの後継商品という選択肢もわりと現実的だが、

オレオについてはこれといった代替製品がないので、輸入される製品に期待するしかない。


ライセンス契約の切り替わりと言えば、イソジン の日本での製造・販売が切り替わるということが話題になった。

今年3月まで日本ではイソジンの製造・販売はMeiji Seikaファルマが行っていた。

Meiji Seikaファルマ? 変な名前の会社だなと思ったかも知れないが、明治製菓 って医薬品事業でけっこうな規模があったらしい。

明治製菓・明治乳業が合併するに際して、医薬品事業はMeiji Seikaファルマに分社化され、残りは 明治 となっている。

菓子を作らないのに製菓はおかしいが、明治製菓のブランド名は今後も生かしたいという判断だったのだろう。

それはさておき、イソジンはドイツのムンディファーマ社のブランドで、Meiji Seikaファルマはライセンスを受けて使っていた。

ところがムンディファーマは日本におけるイソジンの製造を自社で行い、塩野義製薬と提携して販売することにした。

医療用はムンディファーマが、家庭用は塩野義製薬が設立した子会社、シオノギヘルスケア が行うことになった。


ここで既存のイソジンは Meiji Seikaファルマ から ムンディファーマ に製造・販売を移管するという手続きをしている。
(cf. イソジン®製品に関するムンディファーマへの製造販売承認移管のお知らせ (Meiji Seikaファルマ))

一方のMeiji Seikaファルマは自社で新しいポビドンヨード製剤の製造・販売を行うことにした。

家庭用の商品名は明治うがい薬、明治きず薬 など、医療用はジェネリック医薬品として ポビドンヨード外用液10%「明治」 など。

家庭用製品のパッケージはほとんどMeiji Seika時代のイソジンと変わらない。イメージキャラクタもこれまで通り。

医療用は後発品の扱いなので今までより薬価が安くなる。

イソジン は名前も薬価もそのままだけど、ムンディファーマの製造に切り替わっている。

一方のMeiji Seikaファルマの ポビドンヨード製剤 は後発品という扱いではあるが、以前のイソジンとなにも変わらないと思われている。

なんとなくオーソライズドジェネリック(cf. ディオバン改めバルサルタン錠「サンド」)と重なるが、

ムンディファーマの許諾が得られなくなくなった結果生まれた後発品なので、オーソライズドとは真逆のことだ。


イソジンの一件はジェネリック医薬品という考え方があった医薬品だからこそ起きた入れ替わり劇とも言える。

YBCのビスケット新製品はナビスコ時代の完全互換というわけにはいかないけど、

なじみの味の製品がほとんどこれまで通りに買えるとすれば、そっちの方がうれしいよね。


余談だけど、僕が働いている会社では、大昔に外国のあるメーカーと提携関係にあった。

その時代に新しい分野に進出する足がかりとして、提携を結んだそうだ。

とっくの昔にこの提携関係は切れているのだが、聞くところによると、ライセンス生産してた製品の名残が未だに自社製品にあるらしいね。

しかも、もはやその提携先はそのタイプの製品の生産をしていないらしく、なぜかかつての提携先だけに延々と残り続けているという。

うちの製品としても、とんでもなく古いタイプの製品なんだが、一定のニーズがあるらしい。

あまりに古いタイプの製品と書いたが、この時代に自社の技術でこの製品を発展させていったのよね。

そして、提携解消後も発展を続け、その結果として僕が今働いている職場があると。ちょっと大げさな言い方だけど。

一方のかつての提携先は合併でブランド名がなくなっちゃったんだよね。業界内での地位も落ちてたようだが、買収されちゃったそうで。

そういうこともある。