参議院議員選挙の結果が出て、全体としてはこんなもんかなぁという感じだけど、
選挙区別に見てみると、異様なのが大阪府選挙区。
4議席中、日本維新の会が2議席、公明党と自民党が1議席ということで、
日本維新の会が2議席取ってること自体が驚きだが、それぞれ1位・2位なんだよね。
確かに同じ政党が2議席取っている選挙区は、千葉県と東京都(いずれも自民党)があるけど、いずれも1位と最下位で2議席なんだよね。
1位でも最下位でも1議席には違いないので、こういう作戦が一般的だと思うのだが。
ところで、日本維新の会というのは、現存する国政政党で唯一、東京都に本部を置いていない政党である。
ここでいう国政政党というのは、政党助成金などの対象になる政党のことだ。
(国政に議員を送り出していた政治団体ならば沖縄社会大衆党などもあるが)
日本維新の会の本部は大阪市に置かれている。
日本維新の会とその前身となった政党以外にそのような政党があったかは確かではないが、
国会が東京都に置かれていることを考えると、明らかに異質である。
日本維新の会 のルーツは大阪府の地域政党「大阪維新の会」である。
現在は 日本維新の会の大阪府総支部の別名が大阪維新の会となっている。
このような別名を持つ支部がいくつかあるようだ。(京都府総支部が 京都維新の会 であるなど)
ここに至るまでにはいろいろな紆余曲折があって、前身となった (旧)日本維新の会→維新の党 は既存の国政政党から合流する議員も多かった。
ただ、それゆえに地域政党である大阪維新の会との意見の食い違いも伝わってくるような状況で、
2016年に維新の党は民主党に合流し、民進党に改名した。(後に同党は国民民主党に改名しているが、立憲民主党に加わった議員も多い)
このときに「おおさか維新の会」として独立した国政政党が、現在の日本維新の会である。
実態は「大阪維新の会 国会支部」みたいなものでは? と思ったけど、改名前はまさにそんな名前だった。
その後に全国政党としての体裁を整えていったというのが実情かなと。
都道府県別の比例代表の得票数をいちいち各都道府県の選挙管理委員会のWebサイトから集めたのだが、
これを見ると日本維新の会の得票の歪さがよくわかる。
日本維新の会の得票率は全国平均で9.8%で、比例代表での獲得議席は5議席となっている。
ここで、平均以上の得票率だったのは 大阪府・兵庫県・奈良県・滋賀県・京都府・富山県・和歌山県 の7府県である。
特に大阪府は34%もの得票率で、これは全政党筆頭の得票率である。(自民党が筆頭ではないのは全国で唯一)
近畿地方の6府県と富山県ということで、あからさまに近畿地方に偏っている。
富山県は県内出身の候補者が立候補していて、その個人票で稼いだのが要因のようで、これも地域特有の事情である。
これら7府県で日本維新の会全体の43%の得票を獲得している。
7府県の投票総数は全国の17%に相当するので、それに比べると明らかに多すぎる。
日本維新の会 が強いと言うことは、他の政党に取っては不利ということだろう。
共産党と公明党は全国平均並ということで、そこはあまり食い合うところではないらしい。
国民民主党は全国平均7%ほどの得票率なのに、大阪府では3%台ということで、えらく低い。
国民民主党は地域ごとの得票率のムラが大きいのは確かだが、それにしても低い。
立憲民主党も全国平均15%ほどの得票率に対して、大阪府では8%ほどと低い。
なにより影響が大きかったのは自民党だろう。全国平均で35%ほどもあるのに、大阪府では20%ほど。
大阪府選挙区は改選数4と多いからか、共産党・立憲民主党・国民民主党がそれぞれ候補者を立てていて、
それで分散したのか、自民党の候補は4位当選とはいえ、5位に大差を付けての当選だった。
ヒヤヒヤしただろうというのが兵庫県選挙区(改選数3)で、3位当選した自民党の候補者と、4位で落選した立憲民主党の候補者の差は小さく、
大阪府ほど極端ではないとはいえ、日本維新の会の影響で厳しい戦いになってしまったのかもしれない。
大阪府・兵庫県はそれぞれ公明党の候補者が立候補しているので、自民党は自力で稼ぐしかない。
それでも同様の条件の 埼玉県・東京都・神奈川県・愛知県・福岡県 では自民党候補がトップ当選ですからね。
日本維新の会の支持が近畿地方に偏っているとは言うけど、ある程度は全国的な支持が広がっているのも確か。
近畿地方と富山県で43%の得票を集めているということを裏返せば、他の地域で残り半分以上を稼いでいるということ。
他の地域の選挙区でも東京都・神奈川県で各1人当選者を出している。
大選挙区制の選挙区もある参議院選挙らしいことではあって、
これが小選挙区制の衆議院選挙にも当てはまるかというと、それは難しいんだけどね。