この時期は株式の配当金の支払いが多い時期で、かなりの金額の配当金が入ってきている。
そんなわけで証券会社の預かり金に集まった配当金を出金することにした。
来月はクレジットカードの請求金額がやや多いが、それを打ち消すには十分な金額だった。
ここだけみるとホクホクに見えるが、株価の変動により評価額が下がっているものが多いんだよね。
今、売るわけではないのだが、評価額のマイナスの方がはるかに大きいのが実情でもある。
届いた配当金計算書を集めて、証券会社の入出金明細と見比べて、家計簿に記録してとやっているのだが、
記載内容が他とちょっと違う配当金計算書があった。
「配当に関するご説明」という書類が同封されていて、事情が書かれていたのだが、
どうも、この会社の今回の配当金、資本剰余金を原資としたものなので、税務上の扱いが違うらしい。
一般的に配当金は利益剰余金から支払われる。
会社の利益の一部を配当金に充てるのが通常で、利益が積み上がっていく先が利益剰余金である。
過去に利益剰余金に積み上げた中から配当金を支払うこともあって、
その年度だけ見ると、損失が出てるけど、過去に積み上げた利益があれば、そこから配当金を払うことも出来る。
資本剰余金とはなにかという話だが、資本取引で生じた剰余金とのことだが、これではちょっとわかりにくい。
この会社について言えば、資本剰余金のほとんどは新設合併時に発生したものである。
会社が合併して新しい会社ができる場合、両社の株主資本の合計を資本金・資本準備金・利益剰余金に自由に割り振ることができる。
そして、いずれにも割り振られず残った分は その他資本剰余金 として計上される。
合併前の両社が持っていた余剰な資本金・資本準備金、あるいは長年積み重ねてきた利益剰余金が、合併を機にその他資本剰余金に移ったということだ。
資本金は会社の根本となるお金だから、資本金に手を付けるには株主総会での特別決議が必要となる。
資本準備金はもともと取り崩しも想定されているお金だが、株主総会の普通決議がないと取り崩せない。
利益剰余金が大きくマイナスになっているような会社だと、資本準備金や資本金に手を付けて立て直すことはあるが、それなりの手続きが必要だ。
一方、その他資本剰余金は、単純に余分な資本なので、株主総会の決議もなく、配当の原資にすることも許されている。
でも、それって「タコ足配当」じゃないの?
タコ足配当 とはタコが自分の足を食べるかのように、利益不相応に資産を取り崩して配当することを表している。
利益剰余金ではなく、資本剰余金から配当するということは、まさに資産を取り崩して配当しているように見えるが。
でも、この会社は連結では営業利益を出しているので、利益不相応とまでは言えないと思う。
ただ、さっきも書いたように、この会社は合併時に利益剰余金は0円からスタートして、合併前に長年積み重なった利益剰余金はその他資本剰余金に移っている。
なおかつ、この会社自体は持株会社で、連結での利益の多くは子会社で発生しているが、子会社から配当されるまでは親会社の利益にならないんだよね。
ところが子会社から親会社への配当はあまり行われていなくて、子会社の利益の多くはその会社で留保されている状況だ。
連結でみると利益剰余金の金額は十分ありそうだけど、親会社単独でみるとさっぱりないという状況になっている。
事情を考えると、そういうこともあるかもしれないなぁとは思うが、なぜこうしているのかはよくわからない。
資本剰余金を原資とした配当金は税務上の扱いが違うと書いたが、
これは資本の払い戻し、言うならば株の一部を売ったような扱いになってしまう。
例えば、資本剰余金から配当して純資産が1%減ったとする。これを純資産減少割合という。
その場合、その人は株式の1%相当を売った対価として、配当金を手にしたかのような処理をする必要がある。
例えば、1株1000円で100株買った株から、1株あたり15円の配当金を受けとったとする。
すると、1000円×100株×1%=1000円で購入していた株を、15円×100株=1500円で売ったことになり、500円の譲渡益が発生する。
ところが、1株2000円で購入していた場合は、15円×100株-2000円×100株×1%=-500円 と500円の譲渡損が発生する。
取得価格によって、配当金を受けとったことによる損益額が異なるので、各自で計算して、各自で税金の申告をする必要がある。
あと、この株を将来売るときには、すでに一部は売却したということで、取得価格も純資産減少割合だけ減らす必要がある。
特定口座を使っている場合は、証券会社で勝手に補正してくれるので、こちらで考えることはない。
今回のケースでは、譲渡益が発生したことになっていた。
取得時よりも株価が下がっていたので、含み損が出ていたのだが、配当金を受け取ったことで、取得価格を下げる補正も行われて含み損が減少した
これがいいことなのかは、なんとも言えないが……
まぁ配当金を受け取って勝手に譲渡損が発生しなかったのはよかったのかね。